PROGRESSIVE ROCK FES 2016に行って参りました。
天気は快晴の5月の日比谷野音。最高でした。
席はB席1列目で、ちょうど前方のアーティストの前には警備の人しかいないという、ほぼ最前列。
毎回毎回、素晴らしい席を確保してくださり心の底から感謝です。
4時開演だったが10分早く、「吹けよ風、呼べよ嵐」の暴力的なフレーズが会場に鳴り響く。
ピンクフロイドのトリビュートバンド、原始神母。
目を閉じて聴くと、最早叶うことがなくなったピンクフロイド公演が広がる。こういう形でしかもはや体験することはできないんだなあと感傷的になるとともに、バンドの方々を含め会場の全体がピンクフロイドを好きなんだという一体感のようなものを感じた。
演奏はそれほどかっちりしてないものの、感覚的だった初期フロイドの雰囲気はこんなんだったんだろうなと感じることができた。
そしてコーラス隊の二人の女性がお綺麗。風が吹いてきて、深いスリップの入った黒いドレスがヒラヒラするたびに、目線はくぎ付けでした。しかも、ただのビジュアル担当かと思いきや、「タイム」のあとに、そのまま「虚空のスキャット」に突入して、オイオイもしかして歌うのか?と思ってたら、まあしっかりとした声量で歌い切るじゃありませんか。ミヲリさんとレイナさんの名前を覚えておこう。今思えば、この後はラクダ顔や馬面のおっさんばかり出てくるので、唯一華やかな一時でした。
クラブチッタで「狂気」全曲やりますと告知してたけど、東京に住んでたら行きたいなと思った。
そして次はスティーブ・ハケット登場。
ジェネシスそしてソロと、プログレ界を休むことなく牽引するギターヒーロー。
僕は96年の来日時に見てるので、20年ぶりの再会でした。
現在66歳だが20年前とまったく印象が変わらない。
1.Out Of The Body
2.Wolflight
3.Love Song To A Vampire
4.Loving Sea
もしかしたら最高傑作かもしれない最新作より。
ハケットを中心に鉄壁のテクニックで、演奏にまったくブレがない。
目をひいたのが、キルトのスカートを履いた元カジャグーグーのニック・ベックス。
3は、クリス・スクワイアがベースで参加してたんで、クリスの足真似をしてたのか。
5.A Tower Struck Down
6.Shadow Of The Hierophant
75年の初のソロ、侍祭の旅より。
おなじみのフレーズのリフレインに畳みかけられる。
スターシリウスと、エース・オブ・ワンズも見たかったな。
7.The Cinema Show
8.Aisle Of Plenty
以降はジェネシス曲にシフトチェンジ。
シンフォニック教の総本山、月影の騎士より。
地声も似てるんだろうけど、ナッド・シルヴァンのビーガブそっくりの声は、もはや名人芸だ。
キーボードの人も、バンクスの繊細なきめ細やかさを、しっかり再現できている。
ジェネシスのメンバーが再結集しても、もはやここまでの感動のある演奏ができるかどうか。
9.The Lamb Lies Down On Broadway
英国田園からニューヨークの下町へ。幻惑のブロードウェイより。
狂ったように聴き続けた高校生の頃。まさかこれを聴けるとはね。
10.Can-Utility And The Coastliners
フォックストロットより。
ウィッチャーオブザスカイやって欲しかったなんて思った僕は贅沢者。
11.Dance On A Volcano
ガブリエル脱退後のトリック・オブ・ザ・テイルより。
さすが名人ナッド、フィル・コリンズの物真似もできるんだね!
ドラムもまあ、凄いのなんのって。というか、フィルコリンズってやっぱり凄いドラマーだよなと、逆説的に再確認。
12.Firth Of Fifth
アルバムが総本山なら、その本尊ともいうべき大名曲。
この曲はやっぱりフルバージョンでないと。
そこでフルートじゃないのかよ!というツッコミは些細なこと。
今まで何度となく聞いたどのファース・オブ・フィフスよりも鳥肌がたって、涙腺崩壊しました。
こんなに素晴らしい曲と、素晴らしいアーティストに出会えたことに心の底から感謝です。ありがたや。
そしてアンコールもなく、ハケットは去って行った。
フェスだからしょうがないけど、もっと見たかったな。
そして最後はキャメル。
中心人物アンディ・ラティマーが重病になり、もはや復帰は不可能と思っていたが、病気から復活。
16年ぶりの来日。僕は初めて見ます。
叙情派シンフォニックのもうひとつの総本山。このバンドが居なければ、僕の大好きな世界中のバンドの半分は居なかったでしょう。
ラティマーが登場すると、会場は大歓声。
みんなが彼の復活を待っていて、そしてみんながそれを喜んでいた。
1.Never Let Go
ファーストの疾走感あふれる代表曲。
イントロが聞こえると、ゾクゾクと鳥肌が。
ああ、ラティマーが目の前にいる。
けして我々はあなたを手放さない。
2.The White Rider
ミラージュより。
1曲目は目の悪い(全盲?)のキーボードの人が歌っていたけど、ラティマーの歌声が入った瞬間に、ああこれだよなあと。
ギターが泣きはじめる。ああこれだよね。
3.Song Within A Song
大好きなムーンマッドネスより。
もうひとつのラティマーの特徴はフルート。
今は亡き、バーデンスの旋律と絡むフルートに感傷的になる。
見上げると満月の月が・・・と思って見上げたけど見えなかった。
4.Unevensong
レインダンスより。
夢見心地。
5.Rhayader
6.Rhayader Goes To Town
スノーグースより。
大御所プログレバンドと比べると後発で、いろいろな無駄なものがそぎ落とされて軽快になって、疾走感と明快さがこのバンドにはある。
場面展開もせわしなくなく、次々と流れるように展開する。いいバンドだねとしみじみ。
7.Spirit Of The Water
おっと、ドラマーまでリコーダー吹かせてる。
歌っているコリンバースの存在感。この人がいると居ないでは、ぜんぜんバンドの重みが違うだろう長年の盟友。
サバ・ハバスとして、インドネシアで大ヒットを飛ばした人物と同一人物だと知ったときは驚いたよ。
あのデンパサールムーン書いた人とは、未だに信じられん。
8.Ice
リモートロマンスより。
後期の名作。永遠に続くともしれないギターソロ。永遠に続いてくれ。
ギターと同時に斜め上を向いて陶酔するラティマーの姿が神々しい。
9.Mother Road
10.Hopeless Anger
91年のダスト・アンド・ドリームより。
うわわ、持ってないよこのアルバム。すぐ買わねば。
11.Long Goodbyes
ステーショナリー・トラベラーより。
80年代キャメルを支え、昨年亡くなったクリス・レインボーにささげた曲。
しっとりと聴かせるが、心のどこかでこれがラティマーとのロンググッバイになりませんようにと。
そしてメンバーが整列して一旦終了。
えっ、まさかこれで終わりじゃないよね?とハラハラと。
12.Lady Fantasy
また出てきてくれて、ほっと一安心。
最後はこの代表曲。うんこれで終わるのがいちばんいい。
ミラージュのバンドを代表する名曲。
そして終幕。
本当によかったありがとうキャメル。終始ニコニコして元気そうだったラティマー。この調子なら、また元気に日本に戻ってきてくれそうだし、新作にも期待してるよ。
そんなんでフェスも終わってしまいました。
キャメルを見たいという夢がまたひとつ叶いました。
チケットを手配してくださった方、誘ってくださった方、久しぶりに再会して変わらず接してくださった方々、その後お付き合いくださった方々、お酒に付き合ってプログレ館に行きランチにお付き合いしてくださった方々、そして何より子供が生まれて間もないのに、快く送り出してくれた出来た妻に感謝です。皆様本当にありがとうございました。
明日からまた頑張ります。