2006年05月02日

幻想のバリケード

c4512770.jpg今日の1枚。
PATSY / DES ILLUSIONS (1993) フランス

1969年生まれ。デビューは88年のようで、ビートルズを連想させる「リヴァプール」というデビュー曲で有名なのだそうだ。僕は知らないなあ。本作は93年に発表された2作目。日本盤も出ていて、全曲に邦題がつけられている。

かなりの良質のフレンチポップスだ。ダンサンブルなものから、バラード、ロック、ファンクと音楽性が多彩で、流れるような素直なメロディとセンスのいいアレンジがよくできている。そしてソフトでメロウな声質と思いきや、無機質なクールな表情になったり、しっとりと歌い上げる表現力があるボーカルも好印象だ。けして声量があるわけではないけど、そこを逆手にとってアンニュイな雰囲気を出したりと様々な魅力を感じる。

もちろんフランス語で歌われている。一般にシャンソンなどでは、フランス語独特の吐き捨てるようなイントネーションが耳について、それが最大の魅力だったりするんだけど、この人のボーカルにはそういった面が少ない。意図的にフランスらしさから離れようとしたのか、世界を意識したのかわからないけど、面白いポジションだと思う。シャンソンと英米のポップスの合成物といえると思うのだけど、わざとらしさは微塵もなく自然に融合が果たされている感じだ。どっちつかずの中途半端なイメージはない。

どの曲も本当によくできている。呪文のようなボーカルが面白い2や、エキゾチックなロック調の6、典型的な90年代ダンス調の7など耳に残る。そしてバラードの完成度はかなりのものだ。エルトン・ジョンが作りそうなノスタルジックな展開から一気に空気を変えて盛り上がる3や、しっとりとした雰囲気が繊細な美しさをもって広がりをみせる4、哀愁のストリングスが愁いを醸し出す9など、佳曲が揃っている。

日本盤まで出てこれだけの完成度を誇りながら、(少なくとも日本では)ネットで検索してみてもほとんどひっかからずに、何の話題にもなっていない。そんな時代に見放されている作品のよさに気付けたことがうれしい。
posted by ひろりん at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。