2006年04月24日

次ではなく今を

53f74096.jpeg今日の1枚。
なんでヴァネッサ特集になってるんだろう?

VANESSA WILLIAMS / NEXT (1997)

2年半のインターバルをおいて発表された4作目。
前作は、彼女の音楽的な趣味の意向が大きく反映されて、豊かな音楽性で高レベルな作品を作りだしてくれたが、セールスはレコード会社が期待したものには程遠いものだった。そこで以前作の持ち味であったR&B路線に戻し、売れっ子プロデューサーのジャム&ルイスを起用するなどして回生を期した1枚だ。

さすがにこのクラスのアーティストは、プロデューサー陣が豪華だし、演奏も抜群、アレンジも卒はないし、もちろん曲も悪くない。1のファンキーな歌いまわしや、ジャム&ルイスが手がけた2のコンテンポラリーなリズムとセンスのいいアレンジ、3の重心と落としてしっとりとした歌唱、4のサビでの盛り上がりなど、前半の完成度は抜群だ。前作ほど曲調はバラエティではないものの、R&Bの王道ともいうべき曲調に、変幻自在の表現力で歌いあげる歌唱力と、センスのいいアレンジが被さり、お洒落で品がよく、なおかつ奥深い。さすがだ。

ところが、この後が個人的に聴いていて苦しい。5から13の最終曲まで、延々と似たようなスローバラードが続いてしまう。もちろんどの曲も単体で聴くと、メロディアスでサビで盛り上がりのある水準以上のものなんだけど、これだけ同じような曲を並べられると、変化がなく全体で単調なイメージになってしまう。焼肉を食べていて、野菜を食べずに肉ばっかり食べて胃が食傷気味になるイメージだ(どんなたとえだ)。12などは、けっこうドラマチックに盛り上がるんだけど、似たような曲に挟まれて長所が引き立たないような気がする。

結局本作は、前作よりもさらに売れずに、彼女は音楽業界からいったん遠ざかってしまう。
売れることを優先すると、大多数を平均的に満足させる必要があるために、どうしても突出した部分をなくして、結果個性が乏しくなってしまうことがよくある。彼女の場合はウケのいいバラードを前面に押し出したのだろうけど、かえってそれが個性を失わせ、楽曲を息苦しいものにしてしまったように思う。
無難に平均化されて、同じような音楽が溢れかえってしまうようなレコード会社やプロデューサーの意向が強い90年代以降の音楽シーンを苦々しく思っている僕としては、その犠牲の1枚のような気がしてならない。彼女のやりたいようにしてほしかった。惜しい。
posted by ひろりん at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカのロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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