2006年07月07日

デンパサール・ムーン

maribeth.jpg今日の1枚。

MARIBETH / ALONE AGAINST THE WORLD (1993) フィリピン

以前にも書いたフィリピン産シンガー、マリベスのデビュー作。
ソニーレコード主催のコンテストで優勝したため、ソニーが強力にバックアップ。プロデュースやジャケット撮影やレコーディングに至るまで日本を中心にデビューが進められたようだ。全10曲のうち、5曲をマット・ビアンコのマーク・フィッシャーがアレンジやプロデュース、曲作りに携わっている。

一聴して、とても耳触りのよくちょっとお洒落で軽いAORタイプの楽曲が並ぶ。素直なメロディと素直な展開。南国の不純物のない紺碧の海の色と白い砂浜のようなイメージだ。その心地よさは、ややもすればBGMに成り下がりもするのだけど、随所にセンスの良いアレンジやメロディがちりばめられている。特にマーク・フィッシャーが関わっている1,2,4,7,10の、この手の音楽を知り尽くしたかのようなツボを得たアレンジとメロディは特筆すべきものだ。インドネシアで大ヒットしたという9のサバ・バハス(誰?)がバリ島にインスパイアされて作ったというエキゾチックなダンスナンバーも素晴らしい。それらと比べてしまうと、日本人がてがけた他の曲で、ややクサくサビにもっていく展開で中庸な部分が耳についてしまうのが残念だ。

声質は、コンテストのグランプリということだけど、それほど声量もなくどちらかというと軽い印象で個性に乏しい。どうもプロデュースによって抑えられた感があって、潜在的な歌唱力や表現力などが、隠し切れずに随所に顔を出している、かのような印象だ。しかしこれが、ぽっと出のアイドルが無い歌唱力をごまかすとは逆のことをやっているからなのか、紛い物ではない本物を感じさせる空気を作っているように感じる。当時彼女は21歳、普通の女性シンガーのデビューとしては遅いということもあって、落ち着きを感じさせる安定感にも繋がっていて、好感度は高い。

ワインに例えるなら、淡い黄金色で若草の香りがするキリっと冷やしたロワールのソーヴィニョンブラン。じめじめした今の時期にもってこいの、清廉な心地よい作品だ。



posted by ひろりん at 22:32| Comment(2) | TrackBack(0) | ヨーロッパ以外のロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ひろりんさん、こんにちは。

サバ・ハバス・ムスタファの名前が出ていたのでお邪魔します。

サバ・ハバス・ムスタファの正体はコリン・バースという英国人ミュージシャン(主にベースとヴォーカルを担当)で、本名では主にキャメルのメンバーとしての活動が知られています。で、キャメルが活動していなかった80年代に3ムスタファズ3というワールド・ミュージックグループに参加します。

このグループは世界中のあらゆる音楽をミックスした実にユニークな音楽をやるグループで、メンバーはみな、「かつては文化の交差点だったが今はない東欧の村シェゲレリから文化地獄のEECに流れてきた」という設定のもと、「(ほにゃほにゃ)・ムスタファ」という名前を名乗っていたのです。サバ・ハバスというのはそのときの名前なんですね。

彼らは三枚のアルバムといくつかのシングルを残し、来日公演(!)後に出たサード・アルバムでは美空ひばりの「チャルメラそば屋」をカバー。サバ・ハバスは片言の日本語とアメリカ英語でリード・ヴォーカルを取ってます。各メンバーがそれそれ数語づつ、グループ全体では15ヶ国語を駆使できるのが彼らの売りだったようで、ライヴではアラブの曲をヘブライ語で歌い、続けてその逆をやったりして客を煽っていたとか。

90年代に入ると次第にグループの活動は沈静化するのですが、サバ・ハバスは復活したキャメルに本名で関わりつつも、一人でムスタファ名義の活動を続けます。その第一弾となったのが、以前に彼らと沖縄のりんけんバンドとのコラボレーションを実現させたソニー傘下のWAVEレーベルから発売されたアルバム「デンパサール・ムーン」だったのです。

このアルバムでも「貿易先で船が難破したシェゲレリの民が流れ着いたインドネシアの島で夜毎行われていた大饗宴」というシェゲレリ物語が続いていて、当時は「世にもインチキな偽インドネシア歌謡アルバム」として大絶賛されました。とはいえ今聴くとサバ・ハバス氏のヴォーカルはジョン・ウェットンのようで、お里が知れるなぁ...という印象です。が、いつの間にか「本物」のインドネシア歌謡になっていたんですね。マンフレッド・マンが書いたアフリカ風オリジナル曲「シケレレ」がマン氏の故郷、南アフリカで受けていることを思い出します。いい話だ...。

しかし、こうして見てみると、自分の文章はどこぞの資料からのコピペばっかりだな。中身のない人間なのがまるばれじゃ。反省...。
Posted by fxhud402 at 2006年07月17日 01:13
fxhud402さん、こんばんはです。
ようこそです!
Jさんちで見かけるマニアックな書き込みに、ニヤリ(笑)とさせていただいてます〜。

>サバ・ハバス・ムスタファの正体
(ノ゜凵K)ノびっくりです!!
コリン・バースなんですね!
まさかプログレ畑の身内(笑)の方が絡んでいらっしゃったとは。
だから、あんなに良い曲で、気に入ったんだなあ。Jさんにも聴かせたい。
詳細に教えてくださってありがとうございます。勉強になります。
それに、「世界中のあらゆる音楽をミックスした実にユニークな音楽をやるグループ」というのに、ビビッと反応してしまいます。
どんなだろう。買ってみますね!

「デンパサール・ムーン」は、インドネシアではカヴァー曲が100曲もあるそうですよ。
印税ガッポリ入ったんでしょうね。

>マンフレッド・マンが書いたアフリカ風オリジナル曲「シケレレ」がマン氏の故郷、南アフリカで受けていることを思い出します。いい話だ...。
いい話ですね〜。
ポールが日本を思って書いた「フローズン・ジャップ」が日本でウケなかったのとは、えらい違いです。

>しかし、こうして見てみると、自分の文章はどこぞの資料からのコピペばっかりだな。
いや〜、サバ・ハバスに反応くださる時点で、只者ではないです。
それに、ぜんぜんコピペっぽく無いですよ〜。
たくさんの情報を的確にまとめて、分かりやすく教えてくださったと感じています。
またイロイロと、ツッコミや教授くださることがあったら、おねがいしますね。
Posted by ひろりん at 2006年07月17日 15:28
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