イタリアンプログレッシブロックフェスティバル vol2 春の陣2012 ロマンの誕生 (長いタイトルだ)に行ってきた。
今回の目玉はなんといっても、絶対に無理だと言われ続けられていたプーの来日。ここ数十年にわたって、プーがフェイヴァリットバンドだった僕にとっては驚天動地。思わず、3日全部チケットを買ってしまったのだった。
というわけで、クラブチッタ川崎に行ってきた。
最初はニュートロルスUT。
ニュートロルスもかなり思い入れのあるバンドで、イタリアンロックに興味を持ち出した頃、PFMやオザンナなんかと一緒に聞いたんだけど、いちばん心の琴線に触れたのがニュートロルスであり、アルバム「UT」でした。
その「UT」を中心に演奏するために結成されたのがニュートロルスUTだ。
中心人物のスカルツィとニコは参加しておらず、名前がわかるところでは、当時在籍していたジャンニ・ベレーノとマウリツオ・サルヴィが参加していた。
1 studio
2 XX2 strada
3 I CAVALIERI DEL LAGO DELL'ONTARIO
UTの冒頭から3曲。ドラの音が響き渡り、流麗なピアノの調べが流れ出すと、一気に会場も僕も大興奮。まさか、このバンドのこの曲が僕の目の前で演奏されているとは。
イタリアンロックを聴きはじめた頃に感じた、英米のロックには感じられない気品と情熱を鮮烈に思い出し、そして涙がでた。
4 C'E'TROPPA GUERRA
UTからのハードロックチューンの曲。ツェッペリンのようなグルーブのあるリフが心地よいね。
5 CHI I PUO'CAPIRE
UTからのバラード。サルヴィではないキーボードの人の声が伸びやかに響き渡る。ニコの声で聴きたかったなぁ、とは思っていけないよ。
6 L'AMICO DELLA PORTA ACCANTO
UT後、分裂期に出た、ニコ・ジャンニ・フランク・マウリツオ名義のクエスチョンアルバムから。ほえ〜、この曲をやるかぁ。分裂の原因になったハードロック志向がよくあらわれた曲だと思っていたけど、かっこいいね。
7 DIVINE MOUNTAIN / JOURNEY OF LIFE (PART 1-4)
歴史をたどるかのように、クエスチョンアルバムのあとに結成したイビスの名作「サンシュプリーム」から。繊細なギターが響きわたると、震えとともにこみ上げるものが。
何度も感じるんだけど、まさかこの曲が目の前で見られるなんてね。
8 NATO ADESSO
UTからのメランコリックなナンバー。途中からのインプロヴィゼーション的なギターソロがかっこいい。
9 TEMPO:ALLEGRO
一度幕が閉じ、そして日本人女性ヴァイオリニストが登場。ロックの雰囲気から一変してコンチェルトグロッソの世界へ。何度か競演されているようで、バンドとの呼吸もぴったり。というか、このバイオリンの方がいなかったら、どう再現していたんだろうかね。
10 TENPO:ADAGIO
ボーカル入り2曲目。これぞイタリアの情熱のほとばしり。題材はロミオとジュリエットの悲劇だけど、会場は一番の盛り上がりを見せる。70年代を代表する名曲だ。
11 TEMPO:CADENZA
コンチェルトグロッソ1の3連発。冒頭のスリリングなバイオリンの完璧な再現に全身に震えが。
う〜ん、カメリアダイヤモンド。とても数曲前にハードロックな曲ををやってたバンドとは思えないね。
12 TENPO:VIVACE
コンチェルトグロッソ2の冒頭曲。安心して聴いていられる安定感。各楽器のバランスがとてもいい。
13 TENPO:ADAGIO
そして2曲目に。バイオリンの方が演奏しはじめた途端に、マウリツオがそれを制止。なぜか、再びコンチェルトグロッソ1のアダージョを演奏。
僕はすっかり???になってしまった。
隣の客の会話を盗み聞きしたら、「時間の都合でリプライズして終わりにしたんじゃないの?」とか言われてたけど、なんだったんでしょうか。
以上でニュートロルスUTが終了。
バンドの演奏力は申し分なく、ボーカルもよく声が出ていて、とても充実感のあるライブでした。
もうお腹いっぱい。今日はこれでいいかな。と、そのときは思ってしまった。
次は、待ってました我らがプー。待望の来日初公演。
1 DOVE COMINCIA IL SOLE
冒頭のSEが会場に響き渡ると大興奮。
そして幕があいた!
ロビーが、ドディが、レッドが目前にいる!!!
その事実だけで、目頭がジーンと。みんなは拍手をしていたけど、僕はただただ呆然としてしまっていた。
ドディのギターが泣き始め、ロビーの声が入る。
最初モニターの音が大きいのか、さかんに裏に合図していたけど、すぐに持ち直した。
さすがに、イタリア最強のロックバンドにしてライブバンド。演奏も申し分なし。みんな声がよく出ていた。
2010年最新作からのシンフォニック大作にして大傑作。
45年もバンドをやってきて、今、この曲を作るのが信じられないし、現役バリバリのロックバンドだということを改めて再認識した。
中盤からの、必殺のドディのギターソロに失神寸前でした。
ちと冷静になると、当初は来日メンバーは、古城ライブのときと同じ6人だと言われていたけど、セカンドギターの人が居なかったね。
最初は期待が大きすぎたせいか、3人が小さく見えたんだけど、楽曲が進むにつれてどんどん大きく見えてくる。
2 L'AQUILA E IL FALCO
続いて、最新作から。レッドの作った男らしい勇壮な曲。3人のコーラス、そしてレッドの歌いだし。古城のライブで何度も見てるけど、ただただ興奮です。
3 ISABEL
そして最新作からの重厚なナンバー。オーケストラアレンジと、ドラマチックな展開に、何度も聞いているけど感心してしまいます。
4 CANTERO'PER TE 〜 IO SONO VIVO
お馴染みのメドレー。ここで、ひろりんを含む一部のプーファンのボルテージは一気に最高潮!
立ち上がりたいけど、みんな立ってないのがもどかしかった。
たたみかけるような演奏に大興奮です。
5 INFINITI NOI
パルシファルからのバラード曲。この曲って、あんまりやってないよね?日本だけの独自かいな。切々と熱をこめて歌い上げるドディとロビー。ドディって歌、相当うまいね。
6 IL TENPO,UNA DONNA,LA CITTA'
古城ライブでも再現していた、今回の目玉、ロマン組曲の最終曲。
レッドのアップライトベースが見えないし、肝心所のギターソロも、セカンドギターの人がいないし、どう再現するんだ!?とハラハラしていたけど、なんなく普段のベースとドディのギターで再現してました。心配して損した!
ひろりんのプー好きを決定付けた、大のお気に入り「ロマン組曲」。これを目の前で本人たちの演奏で見られるこの事実。ロマンですなあ。
7 UOMINI SOLI
90年のサンレモ音楽祭のグランプリ曲。冒頭のドディのギターの艶っぽさといったら!
切々と3人で歌い上げる、おそらくバンドにとっても重要曲。胸をうたれます。
8 VIVA
プーの演奏力が飛躍的に向上したように感じる70年代後半、その時期の代表的インスト曲。ロビーの印象的なキーボードと、ドディのとにかく音数が多いギターソロ。
凄いよ、このバンド。
9 PARSIFAL
そして、おそらく会場がいちばん期待していたであろう、パルシファルの完全再現。
近年してなかったけど、全盛期にもずっと演奏してきたプログレ期を象徴する大名曲。
気高く、そしてただただ美しい。アレンジも、より原曲に近く鉄壁かつ完璧、大満足。
終わった瞬間には、アンコールでもないのに会場が総立ちになった!(プログレフェスでまさかの)
10 ELEONORA MIA MADRE
まさかこれをやるとは!!
ロマン組曲中、もっとも哀愁を感じる楽曲。
繊細なピアノソロも完璧な質感。何度目かの涙腺緩みポイントでした。
こんな繊細な楽曲なのに、なぜか会場は総立ちのままなのがおかしかった。
11 NON CIAMO IN PERICOLO
ライブでは必ず演奏される82年のシングル曲。
プーらしい温かみのあるポップな曲で、いったんメンバーはステージ中央に。
大歓声の中、僕の両手を挙げて手を振ったのに、ロビーが指をさしてガッツポーズをしてくれた(←自意識過剰)。
いったんメンバーは舞台裏に。
アンコール
12 L'ANNO,IL POSTO,L'OLA
パルシファルの冒頭曲。
近年出たレジェンドのDVDで、レッド加入前にすでにこの楽曲が演奏されていたので、「プーにクラシックの要素を持ち込んだのはレッド説」は弱くなっているけど(どうでもいい情報)、レッド歌いだしのこの曲は、やはりかっこいい。
13 TANTA VOGLIA DI LEI
ライブでお馴染み。オペラプリマから。
イタリアのライブでは大合唱が起こるんだけど、さすがに日本では無理。でも僕を含め何人か歌ってたよ。
14 NOI DUE NEL MONDO E NELL'ANIMA
お馴染み、アレッサンドラの2曲目。
個人的には、コンチェルトグロッソと並び、ユーロロック、ユーロポップスの中の重要曲。
15 DAMMI SOLO UN MINUTO
ロマンの誕生より。ライブではお馴染み。
これもイタリアでは大合唱曲で、普段はロビーが客に歌わせるけど、さすがに歌わせなかった。
16 NAASCERO'CON TE
怒涛のお馴染み曲が続く。アレッサンドラから。
レッドの歌いだし、そして必殺の高音大合唱のサビ。
イタリアでみんな歌ってるけど、あんなに高音で歌えるんかいなね。
17 PENSIERO
そしてお約束の流れで、この代表曲。
さすがにこの曲では客に歌わせてた。
ロビーも「ペンシェーロ」って客が言ってくれるか不安だったと思うけど、意外なほど、みんな手を挙げて言っていて、僕もロビーも安心して、そしてこんなにもプーファンが日本に居るんだ!と僕もロビーも胸が熱くなりました。
18 CHI FERMERA'LA MUSICA
そしてラストはこの曲。BUONA FORTUNAから。
ステファーノの卒業ライブDVDのラストもこの曲。あのDVDでも、未来に向けて音楽をやっていくんだ!という前向きのメッセージに涙したけど、きっとまた日本に来てくれるだろうというメッセージと受け取りました。
そのときまで、そしてそれからも、僕はプーの音楽を聴き続けるよ。
前向きに、そしてひたむきに、僕は僕の人生を生きていきます。
そして、幕は下りた。
DOVE COMINCIA IL SOLEのオーケストラバージョンが流れる中、僕は一人、最後までぼーっと座りつくしていたのだ。