2016年05月23日

PROGRESSIVE ROCK FES 2016

PROGRESSIVE ROCK FES 2016に行って参りました。
天気は快晴の5月の日比谷野音。最高でした。
席はB席1列目で、ちょうど前方のアーティストの前には警備の人しかいないという、ほぼ最前列。
毎回毎回、素晴らしい席を確保してくださり心の底から感謝です。

4時開演だったが10分早く、「吹けよ風、呼べよ嵐」の暴力的なフレーズが会場に鳴り響く。
ピンクフロイドのトリビュートバンド、原始神母。
目を閉じて聴くと、最早叶うことがなくなったピンクフロイド公演が広がる。こういう形でしかもはや体験することはできないんだなあと感傷的になるとともに、バンドの方々を含め会場の全体がピンクフロイドを好きなんだという一体感のようなものを感じた。
演奏はそれほどかっちりしてないものの、感覚的だった初期フロイドの雰囲気はこんなんだったんだろうなと感じることができた。
そしてコーラス隊の二人の女性がお綺麗。風が吹いてきて、深いスリップの入った黒いドレスがヒラヒラするたびに、目線はくぎ付けでした。しかも、ただのビジュアル担当かと思いきや、「タイム」のあとに、そのまま「虚空のスキャット」に突入して、オイオイもしかして歌うのか?と思ってたら、まあしっかりとした声量で歌い切るじゃありませんか。ミヲリさんとレイナさんの名前を覚えておこう。今思えば、この後はラクダ顔や馬面のおっさんばかり出てくるので、唯一華やかな一時でした。
クラブチッタで「狂気」全曲やりますと告知してたけど、東京に住んでたら行きたいなと思った。

そして次はスティーブ・ハケット登場。
ジェネシスそしてソロと、プログレ界を休むことなく牽引するギターヒーロー。
僕は96年の来日時に見てるので、20年ぶりの再会でした。
現在66歳だが20年前とまったく印象が変わらない。

1.Out Of The Body
2.Wolflight
3.Love Song To A Vampire
4.Loving Sea

もしかしたら最高傑作かもしれない最新作より。
ハケットを中心に鉄壁のテクニックで、演奏にまったくブレがない。
目をひいたのが、キルトのスカートを履いた元カジャグーグーのニック・ベックス。
3は、クリス・スクワイアがベースで参加してたんで、クリスの足真似をしてたのか。

5.A Tower Struck Down
6.Shadow Of The Hierophant

75年の初のソロ、侍祭の旅より。
おなじみのフレーズのリフレインに畳みかけられる。
スターシリウスと、エース・オブ・ワンズも見たかったな。

7.The Cinema Show
8.Aisle Of Plenty

以降はジェネシス曲にシフトチェンジ。
シンフォニック教の総本山、月影の騎士より。
地声も似てるんだろうけど、ナッド・シルヴァンのビーガブそっくりの声は、もはや名人芸だ。
キーボードの人も、バンクスの繊細なきめ細やかさを、しっかり再現できている。
ジェネシスのメンバーが再結集しても、もはやここまでの感動のある演奏ができるかどうか。

9.The Lamb Lies Down On Broadway

英国田園からニューヨークの下町へ。幻惑のブロードウェイより。
狂ったように聴き続けた高校生の頃。まさかこれを聴けるとはね。

10.Can-Utility And The Coastliners
フォックストロットより。
ウィッチャーオブザスカイやって欲しかったなんて思った僕は贅沢者。

11.Dance On A Volcano

ガブリエル脱退後のトリック・オブ・ザ・テイルより。
さすが名人ナッド、フィル・コリンズの物真似もできるんだね!
ドラムもまあ、凄いのなんのって。というか、フィルコリンズってやっぱり凄いドラマーだよなと、逆説的に再確認。

12.Firth Of Fifth
アルバムが総本山なら、その本尊ともいうべき大名曲。
この曲はやっぱりフルバージョンでないと。
そこでフルートじゃないのかよ!というツッコミは些細なこと。
今まで何度となく聞いたどのファース・オブ・フィフスよりも鳥肌がたって、涙腺崩壊しました。
こんなに素晴らしい曲と、素晴らしいアーティストに出会えたことに心の底から感謝です。ありがたや。

そしてアンコールもなく、ハケットは去って行った。
フェスだからしょうがないけど、もっと見たかったな。

そして最後はキャメル。
中心人物アンディ・ラティマーが重病になり、もはや復帰は不可能と思っていたが、病気から復活。
16年ぶりの来日。僕は初めて見ます。
叙情派シンフォニックのもうひとつの総本山。このバンドが居なければ、僕の大好きな世界中のバンドの半分は居なかったでしょう。

ラティマーが登場すると、会場は大歓声。
みんなが彼の復活を待っていて、そしてみんながそれを喜んでいた。

1.Never Let Go
ファーストの疾走感あふれる代表曲。
イントロが聞こえると、ゾクゾクと鳥肌が。
ああ、ラティマーが目の前にいる。
けして我々はあなたを手放さない。

2.The White Rider
ミラージュより。
1曲目は目の悪い(全盲?)のキーボードの人が歌っていたけど、ラティマーの歌声が入った瞬間に、ああこれだよなあと。
ギターが泣きはじめる。ああこれだよね。

3.Song Within A Song
大好きなムーンマッドネスより。
もうひとつのラティマーの特徴はフルート。
今は亡き、バーデンスの旋律と絡むフルートに感傷的になる。
見上げると満月の月が・・・と思って見上げたけど見えなかった。

4.Unevensong
レインダンスより。
夢見心地。

5.Rhayader
6.Rhayader Goes To Town
スノーグースより。
大御所プログレバンドと比べると後発で、いろいろな無駄なものがそぎ落とされて軽快になって、疾走感と明快さがこのバンドにはある。
場面展開もせわしなくなく、次々と流れるように展開する。いいバンドだねとしみじみ。

7.Spirit Of The Water
おっと、ドラマーまでリコーダー吹かせてる。
歌っているコリンバースの存在感。この人がいると居ないでは、ぜんぜんバンドの重みが違うだろう長年の盟友。
サバ・ハバスとして、インドネシアで大ヒットを飛ばした人物と同一人物だと知ったときは驚いたよ。
あのデンパサールムーン書いた人とは、未だに信じられん。

8.Ice
リモートロマンスより。
後期の名作。永遠に続くともしれないギターソロ。永遠に続いてくれ。
ギターと同時に斜め上を向いて陶酔するラティマーの姿が神々しい。


9.Mother Road
10.Hopeless Anger
91年のダスト・アンド・ドリームより。
うわわ、持ってないよこのアルバム。すぐ買わねば。

11.Long Goodbyes
ステーショナリー・トラベラーより。
80年代キャメルを支え、昨年亡くなったクリス・レインボーにささげた曲。
しっとりと聴かせるが、心のどこかでこれがラティマーとのロンググッバイになりませんようにと。
そしてメンバーが整列して一旦終了。
えっ、まさかこれで終わりじゃないよね?とハラハラと。

12.Lady Fantasy
また出てきてくれて、ほっと一安心。
最後はこの代表曲。うんこれで終わるのがいちばんいい。
ミラージュのバンドを代表する名曲。
そして終幕。
本当によかったありがとうキャメル。終始ニコニコして元気そうだったラティマー。この調子なら、また元気に日本に戻ってきてくれそうだし、新作にも期待してるよ。

そんなんでフェスも終わってしまいました。
キャメルを見たいという夢がまたひとつ叶いました。
チケットを手配してくださった方、誘ってくださった方、久しぶりに再会して変わらず接してくださった方々、その後お付き合いくださった方々、お酒に付き合ってプログレ館に行きランチにお付き合いしてくださった方々、そして何より子供が生まれて間もないのに、快く送り出してくれた出来た妻に感謝です。皆様本当にありがとうございました。
明日からまた頑張ります。

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2015年12月03日

永遠

PINK FLOYD / THE ENDLESS RIVER (2014)

前作から20年ぶりとなるピンクフロイドの2014年作。
本作の最大のテーマは08年に他界したリック・ライトだろう。元々は20年前の「対」のレコーディングの際の音源を何とか世に出せないものかと思ったギルモアのエゴにある。音源とはいっても要は前作の余り曲。それを丹念に再編集してピンクフロイドらしく仕立て上げた裏方のマンザネラやユースの努力の結晶が本作だ。
音は、よくできたピンクフロイド流ヒーリングミュージックといったところか。最終曲をのぞきすべてインスト曲で、感情の抑揚のあまりない夢見心地の空間。フロイドミュージックの空気を作り出すリックのキーボード、感情のドラマを紡ぐギルモアのギター、40年間変わらず独特のリズムを刻むニックのドラム。そのどれもがピンクフロイドそのものだ。
ただ、「狂気」や「ウォール」「対」といった驚異的な傑作群とは比べようもないクオリティの低さだ。でもそれ以上に、リックの死をきっかけにしたピンクフロイドの最後の作品という事実が、心を感傷的にさせる。遠くの世界にいったシドに成功のプレッシャーのエゴをぶつけ、他人との壁にエゴをぶつけ、政治や親にもエゴをぶつけ、最後はリック追悼というギルモアの自己満足のエゴにつきあわされた。でも結局、そのどれもが、僕を含め世界中の人の心の中で心地よく共鳴していたのだった。50年間お疲れさまでした。ありがとう。

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2015年05月04日

オリンピア

BRYAN FERRY / OLYMPIA (2010)

フェリーさん2010年作。
純粋なスタジオアルバムとしては「フランティック」以来8年ぶりの13作目。マンザネラ、イーノ、マッケイの3人が、ロキシーの「フォー・ユア・プレジャー」以来37年ぶりの共演でも話題。その他、デヴィッド・ギルモア、ジョニー・グリーンウッド、フレアなど豪華ゲスト。ドラマーとして息子タラ・フェリーのクレジットもある。オリジナル8曲に、ティム・バックリーとトラフィックのカバーを含む全10曲。
最初聴いたときの印象は「フェリーが帰ってきた!」だ。2007年のディランのカバー集が聞き手置き去りな自己満足の作品だとするなら、本作は「ボーイズ&ガールズ」以降のいわゆるフェリー節が全開。著名な敏腕ミュージシャンを侍らせ、抑揚のない楽曲を自己主張を許さずに彩らせる。声量のないボーカルを逆手にとった枯れた色気を醸す。いつもながらの傑作。誰にもマネできない偉大なるマンネリ。これからもずっとこんな作品を作り続けてくれるだろうという信頼すら感じるところだ。
冒頭のイントロを「アヴァロン」から拝借していたり、ジャケットにスーパーモデルのケイト・モスを起用(モネのオリンピアをモチーフにしてるそう)していたりとロキシー時代からのファン心もくすぐってくれる。
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2015年05月03日

アヴァンモア

BRYAN FERRY / AVONMORE (2014)

フェリーさんの最新作。
ジョニー・マー、ナイル・ロジャース、マーカス・ミラーがフル参加。フリー、ロニー・スペクター、マーク・ノップラー、メイシオ・パーカー(サックス)、トッド・テリエ(ノルウェイのプロデューサー)なども参加。プロデュースは、ロキシー時代からのお馴染みレット・デイヴィス。
オリジナル8曲に、スティーヴン・ソイドハイム「悲しみのクラウン」とロバート・パーマーの「ジョニー&マリー」のカバーを含む全10曲。
ジャズ物やディランカバー集をのぞけば、80年代からお馴染みのフェリーの音。著名ミュージシャンを贅沢に起用配置しながらも、すべてフェリー色に染まる楽曲群。肩の力がまったく入ってないボーカルと、それを逆手に取るメロディ、タイトなリズム、一方緻密に構築されてオーバーダブの重ねられたアレンジと、ぜーんぶいつもと一緒。今更変えられても困るし、誰も期待していないんだが。
ワインにたとえれば、複数のぶどうをブレンドするボルドーの赤ワイン。しかし熟成していない芳醇さ。ここの感覚が、69歳ながら現役バリバリの色気だろう。
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2015年05月02日

マグノリア

PINEAPPLE THIEF / MAGNORIA (2014)

Kスコープレーベルに所属するイギリスのネオプログレバンド、パイナップルシーフ10作目のアルバム。ドラマーが交代している。
プログレ系としては素直なメロディと曲展開の2分から5分台の曲の全12曲。ハードな曲は一転してメロウになったり、スローなバラードはどこまでも美しかったり、個人的にツボの部分が多い。Kスコープということで、音響処理やストリングスアレンジなどで独特の空間色を感じるところだ。本作を制作中に亡くなった友人のことを歌ったという最終曲「Bond」が美しい。
曲作りも含め、ギター&ボーカルのブルース・ソードが最重要人物。U2のボノに声や癖が似ていると思う。
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2013年11月25日

PAUL McCARTNEY OUT THERE TOUR 2013 11/21 東京ドーム

行ってきました。
今でこそ、ムゼオがどうだヤクラがどうだと言っているひろりんだが、元々はビートルズ大好きにしてポール派にして、ファンクラブにも入っていた。
過去の来日は、66年には生まれておらず、90年93年は中高生だったため、02年はどうしても行けない用事(何の用事だったんだろう?忘れた)で行けず。今回ようやくポールに会う夢がかないました。
そんなわけで、なんとなく東京最終日が盛り上がるんじゃないか、というだけの理由で最終日に。幸運にもチケットをゲット。行ってきました。

01.Eight Days a Week

7時開演予定が、20分遅れで、ついにポール登場。
ポールが、ポールが目の前に居る。
遠い席だったんで、豆粒のような小ささだが、同じ空間に、あのポールがいる。それだけで体の中からこみあげるものが。
横の巨大なディスプレイで、ポールを拡大してくれているのがとてもありがたいが、豆粒くらいのポールに僕の目は釘付けだ。
ヘフナー抱えて、体型もスリムで、若々しい。

ビートルズ初期の名曲。
これってジョンの曲だよね?
最初から盛り上がるねぇ。

02.Save us

続いて最新作のオープニングナンバー。
ポールに関しては、ライブ前の予習なんてまったく不要だけど、最新作だけは急いで買いました。
71歳にして、こんな曲を作り、それを力強く歌う。
ロック界最大の大御所だと思うけど、この現役感は何なんでしょ。
「コンバンワカエッテキタヨトーキョー」
会場は大盛り上がりだ。

03.All My Loving

ビートルズ初期の名曲。エド・サリバンショーで最初に歌って、アメリカ進出を成功させたのだ。
50年も前の曲を、作った本人が歌っている。
当たり前のことだけど、それだけで感動だ。
走り回るベースラインを弾きながら、いとも簡単に歌うポール。
バンドやろうと思ったときに、ポールになりたくて、ベースを買ったよ。

04.Listen to What the Man Said 

東京2日目は「ジェット」だったけど、元に戻った。
うおーーー
ひろりんのテンションは早くも最高潮。
75年の大ヒット曲。
ポールのソロを熱心に聴いていたのは高校生の頃だけど、その頃に刻み込んだ細胞が呼び覚まされるような感覚。

05.Let Me Roll It

つづいて「バンド・オン・ザ・ラン」からのハードなナンバー。
ライブ映えする曲だ。
今回ウイングス時代の曲が多いのは、「ロック・ショウ」がようやく再発されたからだろうね。
そして、ジミヘンドリックスに捧げる「Foxy Lady」へ。
なんで今、ジミヘンに捧げるんだろうか。

06.Paperback Writer

「これはレコーディングに使用したギターです」とMC。
当時の映像で、とんでもないベースラインの中で歌うポールがかっこよかったけど、さすがに今回は違った。
まあ展開といいコーラスといい、複雑怪奇とんでもない曲。
9月に見に行ったニュートロルスなんかと繋がる。

07.My Valentine

「ツギノキョクハナンシーノタメデス」とMC。
昨年の「キス・オン・ザ・ボトム」からで、今まで大盛り上がりだった周囲も、「この曲って何?」っていう感じだった。
PV同様、ジョニーデップとナタリー・ポートマンが手話で歌詞を伝える映像が流された。

08.Nineteen Hundred and Eighty-Five 1985

「ウイングスファンのために」と、両手であのWの形を作ると大歓声。
昔、僕が音楽を聴きはじめた頃、洋楽好きのトレンドはガンズやMRBIGのメタル好きばかりで、僕は一人でポールやエルトン・ジョンなんかを聴いていた。
あの頃の僕も、一人じゃなかったんだな、と。
「バンド・オン・ザ・ラン」の最終曲。
ピアノを激しく鳴らしながら、シャウトするポールがかっこいい。

09.Long and Winding Road

早くも、名曲登場。
ビートルズ解散直前の風景が頭をよぎるのとシンクロして、自分の今までの人生がフラッシュバックしてくる。
僕の近くにいたお姉さまが、泣き崩れてしまっていた。

10.Maybe I’m Amazed

「ツギハリンダノタメデス」と言ってはじまった、ライブの定番名曲。
ウイングス時代、そしてソロ時代と、常にポールの横にはリンダがいた。
それが、亡くなってからの映像には、当然リンダはいない。
それでもポールは歌い続けている。
リンダが歌わせているんだろうね。

11.I’ve Just Seen a Face 

ここからはアコースティック・セットに。
それにしても、ベースにギターにピアノにと楽器チェンジが多い。
準備する裏方は大変だろうねえ。
ウイングス時代からもやっていた軽快なフォーク調ポップ。
ポールも好きなんだろうね。

12.We Can Work It Out

この曲で僕の涙腺が緩んだ。
ミドル部分の「人生は短い、喧嘩をしている場合じゃない」というジョンが書いた一節。
そしてワルツ形式にしたのはジョージのアイデア。
もう居ないジョンとジョージが、曲を通して僕の心に現れる。
リンダもそうだけど、ジョンとジョージがポールに、今もなお歌わせる力を与えているんだと。
そしてそれを対象化できるのが、もうポールしか居ないということ。

13.Another Day

ソロ初期の名曲にして、僕がもしかしたらポールの全楽曲の中で一番好きかもしれない1曲。
これを本人の声で聴く事ができた。
言葉にできない感動。

14.And I Love Her

ビートルズ初期の名曲のひとつ。
この曲で再び泣き崩れる人が見えた。
それぞれの人に、それぞれのビートルズとポールが居るのだ。

15.Blackbird

一人で弾き語り。
歌い初めとともに、ステージが上昇。
ホワイトアルバムのジャケットを見ながら聴いている昔の自分が見えた。

16.Here Today

「ツギノキョクハジョンノタメデス」
ジョンの死後に、ジョンに対して送ったレクイエム。
あからさまな感情の発露は、それだけジョンの存在がポールにとって大きかったということ。

17.NEW

一転して、最新作からの元気いっぱいのポップス。
どこか懐かしい展開とメロディ。
こんな名曲のオンパレードライブの中で、浮き上がっていないのが凄い。

18.QUEENIE EYE

続いても最新作から。
これまた懐かしい肌さわり。
最新作は「ビートルズを意識して作った」というのも、この2曲を聴くと大きくうなづける。

19.Lady Madonna

そして曲は一気に45年前に。
やはり会場のボルテージは、ビートルズ時代の曲の方が断然盛り上がる。
この曲が入っていた「パストマスターズ2」(今はもう売ってないのかな)のジャケットが脳裏に浮かぶ。

20.All Together Now

イエローサブマリンからのコミカルソング。
会場が一体になって盛り上がっていく。

21.Lovely Rita

サージェントペパーから。
これを聴けるなんてね。
交通違反をしたポールが、取り締まったリタさんへの恨み(だろうよ)を歌った曲。
中間のピアノソロや、後半の曲の締め方とか、凄い曲だよなあと改めて。

22.everybody out there

最新作から。
コーラス部分を客に歌わせる。
「オオオオ♪」

23.Eleanor Rigby

再びアコースティックセットになって、この名曲。
ポールしか作れないよね。こんな曲。
ブロードストリートで、「エリナーの夢」っていう10分以上になる曲があったけど、あれが大好きだった。

24.Being For The Benefit Of Mr.kite

サージェントペパーからの、ジョンの名曲。
ジョンの曲なんだけど、ポールが歌うなら、それを誰も咎めません。
当時の録音アレンジ技術の最高峰。
キーボードのウィッグスのキーボードさばきが冴え渡る。

25.Something

来た。ウクレレを抱えて最初は一人で、そしてバンド演奏に。
スクリーンには、ポールとジョージの写真が次々と流れる。
隣の若い女性が泣き崩れた。ジョージファンだったのかな。
この曲でも、ポールを通してジョージが現れる。
素敵な曲をありがとうジョージ。

26.Ob-La-Di, Ob-La-Da

「イッショニウタオウ」とポール。
会場は大合唱だ。


27.Band on the Run

イントロが流れると、悲鳴にも似た歓声が。
みんな好きなんだな、この曲が。
ウイングス全盛期の3部構成の大名曲。
アルバムジャケット撮影時の映像が流れる。

28.Back in the U.S.S.R.

ジェット機のSEが響きわたると、それだけで大歓声。
僕が座っていたのは2階席で、それまで一部の人が立ち上がっていただけだったけど、この曲で総立ちに。
もの凄い盛り上がり。

29.Let It Be

会場の大興奮を落ち着かせるかのように静かに歌いだす。
いったん静まりかえる会場だが、徐々に一緒に歌う声が多くなっていく。
世界遺産的な大名曲。
まさにポールは動く世界遺産。
同じ時代に、ほんの少しでも時間を共有できたことは一生の宝物になるだろう。

30.Live and Let Die

007の主題歌。
そして曲に合わせてのものすごい爆発音とともに炎が立ち上る。
大迫力。こりゃすげー!!!
日本のライブ会場でここまでやっていいの?法律とかクリアしてる?とか、余計な心配をしてしまった。
曲終わりには、ポールが「耳がキーンとしてる」とポーズ。「スゴイネ」とおどけてみせた。

31.Hey Jude

そしてアンコール前のハイライト。
世界遺産的名曲。
もう聞き飽きていて、普段絶対にCDで聴くことはないんだけど、歌いだした途端に体中の震えがとまらない。
そして後半は、お約束の大合唱。
「ダンセイダケ」「ジョセイダケ」と、観客をあおって大盛り上がり。
この曲でこんなに感動するとは思わなかった。
メンバーはいったんステージから下がる。


 アンコール@
32.Day Tripper

すぐに出てきた。
前のおじさんが、トイレに行きかけたけど、あわてて戻ってきた。
終盤にきて別れを惜しみたいんだけど、それを軽くあしらうかのようにノリのいい曲が続く。

33.Hi, Hi, Hi

異常な盛り上がり。
ポールもノリノリだ。
日本で麻薬逮捕歴のあるポールがこれを歌うのは、20年前でも許されんかっただろうね。

34.Get Back 

終盤にきて、キター。
バンドはじめて、はじめて演奏したのがこの曲でした。
会場全体がタテノリ。ドームが揺れてなかったか?

再びステージから退場。


アンコールA
35.Yesterday

アコースティックギターを持って登場。
そしてこの日、会場の全員にポールに内緒で配られたサイリウム。
「日本に来てくれてありがとう」という気持ちをポールに送ろうと。
次々に灯っていく、今回のテーマカラーでもある赤く発光するサイリウム。
そしてそれが会場全体を覆いつくす。
僕は2階席から見ていたので、この光景は圧巻。
最高に感動するハイライトだった。

36.Helter Skelter

感動に浸る暇もなく、この曲に。
ポール71歳。今までノンストップで歌ってきて、いったいどれだけパワーがあるんだと。。
声も出ているし、とんでもないジジイだ。
会場はいちばん盛り上がってたか?

37.Golden Slumbers/Carry That Weight / The End

そしてついに最後の曲。
ビートルズ最後の曲として、ビートルズファンすべての人にとって特別なこのメドレーが、今回も大トリ。
「君は重荷を背負っていくんだ♪」
ポールを見たという、かけがえのない想い出。それを背負って、これからも生きてゆくよ。


そしてついに終わってしまった。
ポールがステージを降りた後も、鳴り止まない拍手と歓声。

みんな言うことだけど、71歳とは思えないステージ。
また会おうと元気にステージを降りていった。
この調子なら80までやれそうな気もするけど、一方でこれが最後との覚悟もしておかないと。

ポールありがとう。
ジョン、ジョージ、リンゴ、リンダ、みんなにありがとう。
またひとつ夢がかないました。
そして、またもやコンサートのチケット代をポーンとだしてくれた妻にも感謝なのです。
おしまい。

posted by ひろりん at 17:01| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月25日

ソルティドッグ


今日の1枚。

PROCOL HARUM / A SALTY DOG (1969)

名盤との評価が高い3作目。
ソルティ・ドッグ」とは、イギリスの船乗りをさすスラングで、航海をテーマにした作品のようだ。

プロコルハルムといえば、デビュー作の「青い影」や、後年の「グランドホテル」といったイメージで、クラシックとロックを融合させた英国的な気品のあるバンド、といったイメージだが、本作は土臭く、イギリスというよりはアメリカっぽい雰囲気もある。
「青い影」の呪縛から逃れたかったという部分と、当時の英国ミュージシャンの多くが憧れたアメリカ南部のザ・バンド的なサウンドへの憧憬、ジミ・ヘンファンのロビンの趣味などの要素が散りばめられ、そしてバンド本来の魅力であるストリングスとの融合なども残し、バラエティに富んだ作品になった。そして、それらの要素が奇跡的にまとまったのが本作の魅力だと思う。コンセプト作としてまとめあげた影のメンバーである詩人キース・リードの存在も大きいだろうし、本作限りで脱退するマーク・フィッシャーがうまくプロデュースしたといえるかもしれない。

1の表題曲はバンドの代表曲。カモメのSEから始まり、ほのかな哀愁を漂わせつつ、ゆったりと盛り上がる絶品だ。これが根幹となり、あとは絶品とは言えないまでも魅力のある小品的な作品が並ぶ。2と4の躍動感、3と5の春の陽光のようなたおやかさ、プログレ的な大仰な展開をみせる7、陰りのある気品をもったプロコルハルムらしい8、「青い影」の改訂版のような10と、個性豊かだ。
その中で、ロビン・トロワーの趣味がもろに出ている6と9は異色ながら、息のあった演奏に納得させられる。バンドのまとまりの良さ、本作にかけるメンバーの意気込みを感じる。

個人的には後年作の「グランドホテル」が好きなんだけど、ゲイリー・ブルッカー、ロビン・トロワー、マーク・フィッシャーの3人が揃い、それぞれが高いテンションで個性をだせている点で、バンドの歴史で見たときに本作が完成度が最も高いように思う。いい作品だ。ジャケットもいいね。
posted by ひろりん at 23:31| ウィーン ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月08日

宇宙の船乗り

860284bd.jpeg今日の1枚。
KHAN / SPACE SHANTY (1972)

なぜかカンタベリーな1枚だ。
邦題は「宇宙の船乗り」。スティーブ・ヒレッジとデイブ・スチュワートというカンタベリーの最重要アーティストである二人が絡んだ唯一作。60年代の伝説のバンド、ユリエルでの共演後、スチュワートはEGGを結成、
ヒレッジは大学進学のためにケントに行き、そこで結成したのがカーン。レコーディングに際し、スチュワートがゲスト参加したという経緯だ。

とにかく本作は、ヒレッジとスチュワートのプレイの素晴らしさにつきる。ヒレッジのディレイを多用した空間的なフレージングや緩急自在の独創的なフレージング、そしてそれに付かず離れず絡むスチュワートの息のあったジャジーでイマジネイティブなオルガンプレイ。緊張感のある掛け合いを見せたかと思うと、メロディアスな人懐っこい表情になったりと、聞き手を最後まで飽きさせない。そして、二人を支えるリズムセクションも目立たないようで、よく走るベースラインと手数の多いドラムと最良の仕事をしている。

一応は、すべてボーカルが入っていて、その隙間を素晴らしいインストプレイが覆うという感じだが、このボーカル部。数回聞いていたときは、たいした声質ではないし淡々としているような印象で要らないんじゃないかとも思ったけど、この緩さがあるからこそインスト部が引き立つのだろう。結論として、カンタベリーの名作中の名作だが、それはすべての要素が有機的に結びついて、さらに二人の類稀な才覚が加味された産物だといえるだろう。

フュージョン色のない、純カンタベリージャズロックの傑作。僕は難解なEGGより、こちらの方が好みです。
posted by ひろりん at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月09日

ラブ・デラックス

c43c35f4.jpeg今日の1枚。
SADE / LOVE DELUXE(1993)

なぜかシャーデーだ。
1959年アフリカのナイジェリア生まれイギリス育ちのシャーデー・アデュを中心に、サックスとギターのスチュワート・マシューマン、キーボードのアンドリュー・へイル、ベースのポール・スペンサー・デンマンの不動の4人組ユニットだ。84年にデビュー、本作は4枚目になる。

シャーデー・アデュのブロンズ像のようなヌードが美しいジャケットで有名な本作は、彼女たちの最高傑作であるだけでなく90年代を代表する名作だと思う。シャーデーというと、ハスキーでありながらしっとりとした表情のボーカルと、ジャズ系のお洒落なサウンドというイメージなんだけど、本作では余分な装飾を取り除いて、歌声を中心に深みのあるサウンドに仕上げた。これが、作品の質感をぐっと高めていて、今聞いても古臭くはないし、おそらく50年後に聞いても印象は変わらないように思えるほど、絶対普遍の名作のオーラを携えている。

とにかく声の力が強力だ。一聴すると、周りの空気を一変させるほどの存在感は、似て非なるものなどないシャーデーワールド。人間的な深みや、気品、女性らしさなどの要素が別次元のものだ。本作のテーマは「愛」ということに間違いないのだろう。単なる「アイラブユー」ではない、もっとおおきな視点での人間界の愛を歌っているんだけど、大きなテーマなのでややもすれば軽薄で陳腐なものになってしまいがちなのが、この声のフィルターにかけられると、よこしまな想いや邪念は浄化されて崇高な精神性をもったものに聞こえてくる。
そしてこの声を効果的に聞かせるバックの演奏も素晴らしいものだ。しっかりとしたベース音を中心にゆったりとしたリズム感の1、2、控えめなアコースティック調の4、キャッチーなメロをもった5など、バラエティ豊かでいながら、どの曲も歌に説得力をもたせて、なおかつ心地よさとお洒落さも内包していて文句のつけようがない。特筆すべきはボーカルの入らない最終曲9のインスト曲で、ボーカル無しでもアルバム全体の雰囲気を受け止めて優しく聞き手の心を着地させてくれる名演。シャーデーが、優れたボーカリストと優れたバンドが一体となったものだということがよくわかる。

近年、世界情勢はますます混迷をきわめている。北朝鮮問題、アフリカ飢餓、爆弾テロ、異常気象。。そんな時代だからこそ「愛」が求められるだろう。人を愛することの尊さと重さ、人を愛することによって生まれる人間の強さ。僕がこんなブログで書いても何の説得力もないけど、彼女の声から発せられたそんなメッセージは、ぐっと心に響いてくる。
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2006年04月27日

あなたと僕の15分間

6a49e043.jpeg今日の1枚。

THE SMITHS / Same (1984)

なぜかスミスが聴きたくなった。

23歳になっても定職にも就かずに家の中に引き篭もっていた自閉症で文学かぶれのモリッシー(vo)と、イケメンなのに古臭いセンスのファッションと音楽を愛するジョニー・マー(g)が出会ったのがこのバンドのはじまりだ。ベースのアンディ・ルークとドラムのマイケル・ジョイスは、まったく触れないというのが、このバンドを語るときの通例だ(かわいそうに)。

本作はファーストアルバム。音楽的には次作以降の方が優れているに決まっているので、本作について特にいうことはないなあ・・。60年代のバーズなんかを彷彿させるシンプルなギターロックかな。ただもっともスミスらしいといえば本作に集約されると思う。
乱暴な言い方をするなら、スミスとは「フットボールアワー」である。
誰からも愛されたことがなく、被害妄想の塊で、屈折しまくった文学青年モリッシーが描く歌詞。それが軽快なギターサウンドに導かれながらドライブしていく・・。これはブサイク天然キャラの岩尾と、それをうまく転がすイケメンツッコミの後藤のコンビネーションと似ていると思うのだ(南海キャンディーズでもいいか)。だから何っていうわけでもないんだけど(苦笑)、虐げられつづけてきたアウトローの人間からの強烈な叫びは、誰もが持っている疎外感や孤独感と容易に結びついて共感というまやかしの連帯感を植えつけられる。スミスを聴いて、アウトローの人間でもいいんだ!と得心してしまったのが、思春期の僕の大きな過ちのひとつだ(爆)。スミスなんて、もう10年くらい聴くことはなかったんだけど、久しぶりに聞いてみてその歪んだ精神が、しっかりと自分の中に根付いていることに気付かされた。

・・・そんな1枚だ。(レビューになってない)
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2006年04月20日

当世仮面舞踏会

e217bf3c.jpeg今日の1枚。

FRUUPP / MODERN MASQUERADES (1975)

フループの4作目にして最終作である。キーボード奏者がジョン・メイスンに交替した。プロデュースはイアン・マクドナルド。邦題は「当世仮面舞踏会」。前作と評価を二分するフループの代表作だ。

音は初期と比べると、かなりすっきりした印象だ。ポップなメロディを前面に押し出した曲、ソフトマシーン張りのジャズロックを奏でる曲など、曲毎のメリハリがしっかりとしていて、洗練された感がある。この手の音楽の要であるキーボード奏者が変更して、バンドに不足しがちだった緊張感やモダンなアプローチなどが付与され、ほんわかとした童謡ロックといったイメージのあったバンドが、時代を代表するシンフォニックロックバンドへと変貌を遂げた。比較対称はジェネシスだろうか。3など、まったくの別バンドだ。時折にしか出てこない田舎臭いギターフレーズや、人懐っこいボーカルの表情が、もはや過去のものになっている。


やはりプロデューサーのイアン・マクドナルドの存在が大きいだろうか。ジャズのセンスや、楽曲の大仰でドラマチックなアレンジなど、明らかに彼のカラーを感じ取ることができる。1と4は、プログレシーンを代表する名曲だと思う。ただその一方で失われた温かさや、ファンタジー感は、初期から順を追って聴いてくると寂しいものがある。素晴らしい作品なのは間違いないのだが、どこか他人行儀な異質な雰囲気を感じてしまうところだ。だからこそ「仮面舞踏会」なのだろうか。

仮面の裏の顔は、はたして笑顔であっただろうか。起死回生の作品にすべく作品を磨き上げ、そして傑作を作り上げた。しかしセールスは振るわず、彼らは歴史の中に消えてしまった。続きを読む
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2006年03月12日

ジャスミンの次はジャスマン

546e19e9.jpg今日の1枚。
狙ってたわけではないんだけど(笑)

BABYLON ZOO / KING KONG GROOVER (1998)

ジャスマン・・、それはX-RAYを持つ少年
ジャスマン・・、90年代最高の詐欺師と呼ばれる男
ジャスマン・・、バビロンズーを操る男・・

「スペースマン」の大ヒットで一躍スターになったバビロンズー。しかしその当時から「彼らは一発屋で終わる」とほとんどの人が予感し、そしてその通りになってしまった彼ら。本作は衝撃のヒットから2年後に発表されたセカンドで、案の定、話題にもならないほどにコケて、そして消えてしまった。

前作で感じた予感。それはサウンドのチープさだ。近未来風のグラムロックとも評された彼らのサウンドだったが、重厚感のまったくないチープなギターサウンドが全面を覆い、近未来というよりも昔に制作されたSF映画を現代に見るような古臭さにあるように思う。(それはそれで、今になって冷静な耳で聴けば、意外といいんだけど)

しかし本作では、基本的にグラムロック路線ではあるのだけど、ギター中心のノイジーなサウンドからシンセサイザーやサンプリング、オーケストラなどのアレンジを巧みに施し、メロディの良さを全面に押し出した曲が多い。サウンドの安っぽさは、見事に改善されているのだ。3「ホナルーチー・ブギー」のモット・ザ・フープルのカバーが、見事なアレンジで90年代のグラムロックとして蘇っているのがそれを象徴している。それとともに感じるのが、ジャスマンの表現力の増したヴォーカルだ。例えるなら80年代クリムゾンのエイドリアン・ブリューが90年代クリムゾンで進化したような印象の、深みとともに多彩な表情が見える。声自体というよりも、声を効果的に聞かせるアレンジという面もあるんだけど。

特筆すべきは曲の良さだ。70年代ロックを愛好していた者にとって、どこか懐かしく、そして居心地のいい音。ちょっぴり切ないメロディと、必ずサビで開放される素直な展開。間奏部などもしっかりと作られていて、サビのメロディの余韻を受け止めてくれる。特に2〜5、7はどの曲も甲乙が付けがたい佳曲揃いだと思う。9のダンスポップ、10の心を洗われるようなバラードもなかなかの仕上がりだ。

結論を言うと、予想外に素晴らしい完成度。一発屋の称号の裏に、埋もれさせておくのはもったいない作品だ。「スペースマン」に飛びついて、そしてすぐに飽きてしまった人(ひろりんのこと)なら、その進化にきっと驚きます。

ジャスマン・・、中古CD界の帝王。
ジャスマン・・、ブックオフで315円(またこのオチか)

なお、水面下で7年ぶりとなるアルバムが制作されているようだ。
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2006年01月22日

まはりくまはりた

ロンドって面白いんだろうか?
配役や演出にお金をかけているようだけど、肝心の脚本が煮詰めすぎて息苦しい。
リタイヤしていいですか。


今日の1枚。

SALLY OLDFIELD / PLAYING IN THE FLAME (1981)

マイク・オールドフィールドのお姉さん。60年代後半に弟とのユニット、サリアンジーで活動後、10年のブランクを経て78年に再デビュー。本作は4作目にあたる。オフィシャルページを見ると現在も活動中で、コンスタントに作品を発表し続けているようだ。
この人の伝え聞く評判は、アニー・ハスラムとマディ・プライアーと並ぶブリティッシュ美声ボーカルということと、弟ばりに様々な楽器をこなすマルチミュージシャンということだ。そんなイメージからは牧歌的なフォークを想像してしまうのだけど、本作に限っていえば期待をいい意味で裏切ってくれた。
たしかに2、5、9などフォーク的な手触りの曲もあるが、1や6のディスコ調、3のスラップ・ハッピーを彷彿させる脱力系ポップスなど表情が驚くほどに豊かだ。このバラエティな曲調に美声が乗るわけだが、この声もかなり表情が多彩で、単に美しいだけでない人間味に溢れていたり無機質だったり、曲によってガラリとイメージが変わる。この頃、サリーは30代半ばくらいだと思うんだけど、女性として円熟した声というよりは、天性の声の奔放さのようなものを強く感じる。
マイクの姉という冠詞を外すとかなり地味なポジションだが、じっくりと聞けばジワジワと良さが出る曲が多い。2や9のバラードで見せる艶っぽい声が、最もこの人にカラーに合っているように思う。音楽的に器用すぎて損しているように思えるのは、姉弟に共通してしまうところか?

このジャケット、けっこういい。

声の魔法使い
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2006年01月21日

悪魔の申し子たち

今日の1枚

KEVIN AYERS,JOHN CALE,ENO,NICO / JUNE 1,1974 (1974)

74年6月1日、エアーズの「夢博士」の発売記念&プロモーションのために豪華メンバーを揃えて、ロンドン・レインボーシアターで開催された伝説のライブの模様。少し前に完全版が出る予定があったが、流れてしまったそうだ。日本では「悪魔の申し子たち」なんていう物凄い邦題がつけられている。メンバーは、4人のほかに、マイク・オールドフィールド、ロバート・ワイアットも参加し、とんでもないメンツ!A面(1〜4)がゲスト3人の曲、B面(5〜9)がエアーズという構成だ。

1,2はイーノ。ファーストソロアルバムからの曲。まだ「緑世界」以前ということで、風貌そのままのエキセントリックなポップスセンスが爆発している。たしかにこんな人が同じバンドに居たら、追い出したい気持ちがわかるほどに個性的で尖っている。爆発してドロドロとした液体が得たいの知れない怪物を生み出しているような雰囲気だ。3はケイルがプレスリーの「ハートブレイク・ホテル」をやっているようだが(笑)、まったく原曲が見えないほどに歪められて暗く重いものになっている。イーノに負けてない。そして極めつけは4のニコによる「ジ・エンド」。もちろんドアーズの名曲だが、原曲がただでさえ暗いのに、ニコりともしないニコが暗いトーンで歌う。歌うというより、何かに憑依されてヒステリックに呟いているような感じだろうか。淡々としたバックの演奏が、余計不気味さを増幅させる。

前半の3人だけを聴くと、まさに「悪魔の申し子たち」といった雰囲気。しかし一方、後半のエアーズサイドは、しっかりとしたライブだ。ライブの定番曲や、「夢博士」の収録曲などが、まともに(笑)演奏されている。5曲目のギターのイントロを聴くたびに、安堵感を覚えてしまう。しかし、演奏は素晴らしく、ライブらしい瑞々しい音に満ちている。特にエアーズの片腕オリー・ハルソールのギターは素晴らしく、5・6のソロがかっこいいのなんのって。8のソロはオールドフィールドらしいんだけど、こちらはまったりとした演奏が心に染みいる。観客も手拍子で応えるなど、ライブ感も満点だ。

前半と後半でかなりカラーの異なるライブ盤なんだけど、奇跡的なメンバーがテンションの高い演奏を繰り広げる圧巻の1枚。聞いておいても損はないと思う。


ニコの髪の匂いをかぐイーノ。
見つめあって微笑みあうエアーズとケイル。


みつめあう2人
悪魔の申し子たち~その歴史的集会より(紙ジャケット仕様)
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2006年01月19日

心のプラグはどこにさせばいいですか

今日の1枚

ERIC CLAPTON / UNPLUGGED (1992)

よく聞いた作品だなあ。
MTVの番組として収録されたアコースティックライブの模様。
当時これが発売された頃は、クラプトンは大昔に全盛期を過ぎた過去の人という印象だった。一通りクラプトンの代表曲を聞いて、そして91年暮れのジョージの来日公演のバックバンドで耳にとまったぐらいかな。80年代の作品がピンとこなかった僕にとってはそんな存在だった。そんな中で本作が発売された。さっそく洋楽好きの友人が手に入れて「クラプトンの新作、すっげー渋いくてカッコいいよ」という感想を聞いて買ってみた。聞いたことのないブルースのカヴァーや、過去の名曲がアコースティックにアレンジされて、ゆったりとした雰囲気の中で円熟味のある歌声を聞かせていた。一聴して好きになってしまったが、趣味性が強すぎてこれは売れないんじゃないかという印象をもった。・・しかし、蓋をあけてみると、全米1位でグラミー賞受賞。世界中の多くの人が、自分と同じ感じかたをしたということが嬉しかった。

髪を短くして眼鏡をかけたクラプトンの姿が本作を象徴している。息のあったバンドメンバーたちと、とても落ち着いた雰囲気の中で、ルーツであるブルース曲や過去の自身の名曲渋く歌い上げている。名曲「LAYLA」や「NOBODY KNOWS YOU」は、ぐっとテンポを落として原曲のイメージをガラリと変えるお洒落でジャジーな雰囲気に仕上げていて全く違う魅力をだしている(これがかっこいい)。またブルース曲では、原曲の雰囲気をうまくクラプトン流アコースティックに消化して、とても楽しげに演奏を楽しんでいるのが伝わってくる。グラミー賞をとった「TEARS IN HEAVEN」や新曲「LONLY STRANGER」など聞かせ所のうまい楽曲も散りばめていて、よく楽曲が練られている。
クラプトンといえばギターなんだけど、本作の主役は間違いなく声だと思う。この人ってこんなに歌えたんだ、っていうくらいに声が艶っぽくて情感豊かに歌っている。少し濁声で渋い歌声が、こういったスローなアコースティックライブに向いているとは思うけど、クラプトンの人間としての円熟といったものを強く感じさせる。子供や友達の死や、ヘロイン中毒など、壮絶な半生を生き抜いてきたからこそ出る味なんだろうと思いたい。
クラプトンは「死に損なった男」というイメージがあるんだけど、生き残った男が本作を作ったというのが、言葉にあらわせない感動を覚える。

Unplugged
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2005年12月13日

80%記憶喪失

今日の1枚。
ELVIS COSTELLO / BRUTAL YOUTH (1994)

久しぶりとなるアトラクションズとの競演、デビュー時からのつきあいであるニック・ロウもベースで参加した15作目。原点回帰ともいえるストレートで明解なロックンロールだ。
大好きな1枚。とにかくギンギンにコステロ節が爆発だ。単純明快なロック曲を勢いで歌いきり、メロディアスなバラードを熱唱する。そしてどの曲にも、必ずコステロ節というようなちょっと屈折したメロディを入れてくる。ただデビュー時のような若さ爆発という感じではなく、どこか過去を懐かしがるような懐古的な雰囲気が円熟味を感じさせる。歌詞に目を向けると、「粗暴な若さ」というような意味のアルバムタイトルのとおり、自伝的な部分を含め「若さ」というものへの喜びや惨めさをあらゆる視点から捉えたシニカルな面がいかにも彼らしい。
冒頭3曲が強力。当時最初に聴いたときはこれでヤラレタ。前作のブロードスキーカルテットとの競演盤が???だったんで、コステロはやっぱりこうでなくちゃ、と、以前作をロクに聴いてないのにそう思った。そして本作でいちばんのお気に入りポイントは、4、6、10のしっとりとしたバラード。荒削りなんだけど、声が濁声なんだけど、これが心にぐっとくる。屈指のメロディメイカーだと思う。
そういえばこれを買ったのは、僕が親元を離れて一人暮らしを始めて間もない頃だった。あの頃若かった僕でも、その頃よりも若い自分を思って、どこかノスタルジーを感じていた。どの年代になっても、過去を振り返りそれぞれに感じる「若さ」=「青さ」がある。そういったものをこれから先も本作を聴くたびに気付かされて、ほろ苦い気分にさせられそうだ。

Brutal Youth
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2005年12月10日

ひろりんも踊れない

GENESIS / WE CAN'T DANCE (1991)

空前の成功を収めた「インヴィジブル・タッチ」から5年のインターバルを経て発表された16作目。前作ほどではないが、数曲シングルヒットをとばし、アルバムもまあまあヒットした。
リアルタイムで聞いていた1枚。もちろんプログレを知る前で、「アイ・キャント・ダンス」がヒットしていたのがきっかけで聴いたのが最初のジェネシスだった。出てきたばかりの若手のバンドでは出ないスケールの大きな雰囲気で好感をもった。2「ジーザス・ヒー・ノウズ・ミー」の風変わりな疾走感に息を呑み、1のじっくりコトコトと盛り上がっていく展開に興奮していたのを思い出す。
ただ、プログレを聴き、ジェネシスを一通り聴いてから本作を捉えたときは、なかなか評価が難しくなる。80年代を制した大衆向けポップ路線からは大きく方向を変え、内省的で深みのある表情。ジェネシスのお家芸ともいえる、時代糾合型ポップスセンスは影を潜め、プログレ時代に戻ったかのような雰囲気。ポップスファンには期待はずれだし、プログレファンにとっても中途半端な印象を残す。結果として失敗作のレッテルが貼られてしまったのは致し方ないところだろう。
今になって、本作を聴くときに思うことは、フィル・コリンズが参加した最後の作品になってしまったことだ。本作の制作は、ラザフォードやバンクスが、ソロで成功してもうグループには戻らないだろうと思っていたところで、フィルが急遽アルバムを作ろうと言い出したのだという。もしかしたら、フィルは本作を最後にしようとしていたのではないか?と考えると、本作の重要性がいろいろと浮かび上がってくる。ポップだったりプログレだったり一見散漫に見える曲構成は実は今までの集大成、そして最終曲「フェーディング・ライツ」の歌詞を見ると、まるでファンに別れを告げているようだ。ピーガブ脱退後にフロントに立ち、そして一時代の築き上げたフィルズ・ジェネシスの最終作として見るならば、なかなか相応しい雰囲気を醸し出していると思う。

We Can't Dance
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2005年12月04日

べべ観音って何?

今日の1枚。
DURAN DURAN / THE WEDDING ALBUM (1993)

セールス的に下降線を辿って行く中で発表された起死回生の大ヒット作。
リアルタイムに聴いていた1枚。当時は、もうデュランデュランは80年代とともに終わったバンドだと、おそらく誰もが思い込んでいた矢先の、93年の「オーディナリー・ワールド」のシングルチャート上昇。どんな曲なんだろうとラジオかなんかで聞いて、即耳から離れなくなってしまった。印象的なアコースティックギターと、サビの解放感は、当時の湾岸戦争後の閉塞とした空気と経済の失速という世相の中で大いにウケて、全米3位まで上昇した。個人的には90年代を代表する1曲だ。これを聞くと、オーディナリーに生きていた過去の自分に会えるような気がする。
そんなわけで、とにかく「オーディナリー〜」に尽きてしまうのだけど、他の収録曲もよく出来ている。全米7位の「カム・アンダーン」の色気のあるクールさがたまらない。アイドル視されていたときも、楽曲的には優れたものを作っていたけど、一皮剥けて大人にも聞き得るバンドへの進化を象徴する曲だと思う。派手な展開を見せる1や11など、過去の姿を彷彿させながらも、より洗練され深みが出ている。
充実作となった最大の功労者は、ギターのウォーレン・ククルロだろう。ニックの存在感を隅に追いやり、楽曲に合わせて、あるときは前面にばっとでて印象的なフレーズを奏で、あるときは味のあるバッキング、あるときは実験的なフレーズで緊張感をもたらしたりと、背面六腑の活躍をしている。最近のライブでのアンディーが演奏する本作の曲を聞くと、ギターの存在感の違いに愕然としてしまう(天才芸術肌のククルロと努力家でやんちゃなアンディはまったく違うタイプだしね)。ククルロ、最近一時期ポルノ男優やってたらしいけど、大丈夫だろうか。
80年代を華麗に彩った多くのバンドが消えていく中で、デュランデュランは今も生き残っている。おそらく本作がコケていたら、それで終わりだっただろう。しぶといというか、うまく93年という時代性と、バンドの熟成が合致したからだと思う。新参者であるククルロに、かなり自由にやらせただろう他のメンバーの音楽的な懐の大きさと、バンドの旧来からもっているポテンシャルの高さを感じる。

Duran Duran : The Wedding Album
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2005年12月03日

牛久大仏に行ってみたい

今日の1枚。
T2 / It'll All Work Out In Boomland (1970)

イギリスのジャズロック寄りのハードロックバンド唯一作。メンバーは、ピーター・ダントン(ds、vo)、キース・クロス(g、key)、バーニン・ジンクス(b)のトリオ編成。
70年というブリティッシュロックがプログレやハードロックなどに多様化していく時代を反映したかのような音。サイケやブルースなどともに、ジャズ的な即興アプローチなどもみせる。根源にあるのはハードロックだろうが、オーケストラやメロトロンがここぞというときにブワーっと挿入されていて、プログレ的な興奮が満点だ。
全4曲。1は、いかにもこの時代のハードロック。畳み掛けるような演奏がオープニングにふさわしい。2は、一転してメランコリックなバラード。終盤のメロトロンとオーケストラの掛け合いが心を揺さぶる。3はヘビーなリフに鬼気迫る勢いで弾きまわるギターと爆音ドラムのコンビネーションと、一転してみせるウィッシュボーン・アッシュのようなトラディショナルなボーカル部、そして時折入るオーケストラ音などが素晴らしい。4は21分におよぶ大曲。しっかりしたテーマ部を軸に、緊迫したインタープレイが炸裂して行くへヴィーかつ緊張感に満ちた21分。ブルースだったりジミヘンだったり多彩な表情を見せるギターと、高速で手数が多いながらドッシリとリズムを刻むドラムは只者ではない。
いかにもB級的な、ドタバタした土臭さを漂わせながらも、仄かなドラマを感じさせる静と動の対比など、そこかしこにくブリティッシュロックの魅力の痕跡が散りばめられている。雑然としたごちゃ混ぜ感や、新しい音を手探りで求める熱気なども、超一級の名盤などでは味わえない本作の魅力だ。B級ブリティッシュロックの名作だと思う。
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2005年12月01日

スティーブ・ハウはどの曲で参加してるんだろうか

今日の1枚。ついでにやるか。
FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD / WELCOME TO PLEASURE DOME (1984)

80年代初期に絶大な人気を誇ったリヴァプール出身の5人組。「リラックス」「トゥー・トライプス」「パワー・オブ・ラブ」の3曲全英1位曲を収録した本作は大ヒット。初回出荷だけで100万枚を売ったほどだ。トレバーホーンのZTTレーベル最大のヒット作?アナログでは2枚組。
ゲイを売り物にしていたとか、放送禁止になった「リラックス」の過激な歌詞、「トゥー・トライプス」のビデオクリップなどなど、話題性は豊富だが、後年から遡って聴く僕のようなリスナーにはそんなことはどうでもいい。一応バンドだが、ボーカル以外は特に(全く)存在感は無く、過剰なまでのアレンジを施したプロデューサー、トレバー・ホーンの力量が光る1枚だ。シンセサイザー系のサンプリングを多用して、驚異のダンサンブルポップスに仕立て上げている。「リラックス」のような単調な曲をあれだけゾクゾクする展開にするセンス、ユーロビートを先取りする「トゥー・トライプス」の一歩先を行くトレンドセンス、バグルスの延長線上にある屈折したポップスセンスの爆発する「オンリー・スター・イン・ヘブン」など名曲揃い。そして多くの曲が、今聴いても全く古臭くないのが驚きだ。アレンジされる前の素の部分が出ているスプリングスティーンのカバー8「明日なき暴走」や9などのバンドの音がする曲が、どうしようもなく惨めな佇まいを見せるのが対照的だ。
超時代的なセンスのエレクトロニクスポップス作。2の13分を超える曲の実験精神、11の退廃的な哀愁の漂うインスト曲など80年代の「プログレ」という称号は、こういう作品こそがつけるべきだと思う。ただその一方で失った物(人間演奏のグルーブ感など)は、リミックス技法を含め本作のような手触りのクローンが席巻した80年代〜90年代のポップスシーンを考えると、その功罪の大きさに慄いてしまう。

Welcome to the Pleasure Dome
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2005年11月22日

もう我々はジョージを解放してあげてもいいのではないだろうか。

今日の1枚。
GEORGE MICHAEL / PATIENCE (2004)

オリジナル作としては前作「オールダー」から、なんと8年ぶり。
待ち焦がれたというのが憚られるほど、この8年の間に彼に起きた出来事の数々は音楽に集中するには酷なものだった。恋人(もちろん男)の死、トイレ事件、レコード会社との確執、母の死・・。ゴシップの帝王のように扱われ、誹謗中傷の渦中にいた8年間、そういった音楽業界コマーシャリズムに特に疲れきったようだ。引退をほのめかすような発言を繰り返し、本作を「最後のコマーシャルな作品」と称している。
発売は1年半前、ジョージ・マイケルの新譜が発売されたと聞いて一目散に買って聴いたとき、さすがに高レベルな楽曲が並んでいるなあ、でもちょっと地味かな〜と思いつつも満足できる作品だと一旦は安心した。しかし歌詞を見て愕然となってしまった。「ジョージは本当に引退しようとしている・・」。最愛の母のこと、若き日の友のこと、亡くなった恋人のことなどをストレートに歌にしてそれまでの人生をふりかえって総括するような雰囲気、そして最後の曲で「束縛はもうたくさん、こんな人生はタダでくれてやる」と括るのだ。最終曲は、これまでファンでいた人間にはあまりにもツラく哀しい曲だ。
そんな状況にも関わらず、音楽的には、「オールダー」の重苦しいほどの完成度が薄れてその分、表現力がさらに深みをまして、素晴らしい完成度だ。ダンスナンバーやバラードなど、様々なジャンルで名曲を作り出してきた才能が、ここでも存分に発揮されている。2「アメイジング」のいかにもジョージらしいダンサンブルポップ、屈指のメロディーメイカーぶりを見せ付ける5や11、そして先行してシングルになって物議を醸し出した6「シュート・ザ・ドッグ」や12「フリーク」なども収めて、つなぎ曲や捨て曲など一切ない聴き応えのある曲ばかりだ。自分の素直な想いを曲に乗せた7、8,9は、ボーカルの艶のある表現力の凄さに思わず溜息をつくほどだ。前作までも、もちろん傑作揃いだけど、精神的な深みや表現力の生々しさを携えた本作は、さらに一段上の完成度だ。これだけのレベルに行き着いたアーティストは、もしかしたら古今を問わず誰もいないかもしれない。(←ファンなもので・・)
彼ほど現代のポップスシーンで音楽的に才能のある人間はいないと思っているんだけど、87年のソロデビューから18年で僅か4作。もちろんアルバムなんて作ろうと思えばいくらでも作れただろう。でもここまで制作意欲を失わせた要因は、レコード会社だけではなく、我々のリスナーを含めた音楽業界全体にあると思う。才能のある人間には、必ずそれを利用して利益を得たい者が集まり、そしてそれに踊らされる人間がいる。ここらで、音楽ビジネスのあり方について、もう少し考えなければいけない時期にきているのではないだろうか。Patience
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2005年11月20日

燃ゆる灰

今日の1枚。
RENAISSANCE / Ashes Are Burning (1973)

いわゆるアニーハスラムを中心とした新生ルネッサンスの2作目。プログレ史上に燦然と輝く名盤だ。
久しぶりに聴いているんだけど、やっぱりいいねえこれ。長いこと世界中のシンフォニックロックを捜し求めているけど、その発端となったのはジェネシスの「月影」でありキャメルであり、そしてこのルネッサンスの本作。アニー・ハスラムの天性のクリスタルヴォイスは、清流のような透明感をもち、ジョン・タウトのクラシカルなキーボードは、宝石のようにキラキラと輝く。影のリーダーのマイケル・ダンフォードが仕掛けるアコースティックで牧歌的な雰囲気が加わり、至高ともいえる世界が出来上がっている。時折入るオーケストラも、うるさくなくて効果的に随所に散りばめられて、優雅さと気品を添えている。
1曲目が特に素晴らしい。華麗かつダイナミックに展開するバックの演奏、そしてふっと美声が入ってくる瞬間は気を失いそうになる美しさだ。2、3、4、5の小曲も、どれをとっても聴き応えがあって無駄なものは何ひとつない。2のアニーの歌声が裏声になる部分や、静かなピアノをバックにしっとりと歌う5は何度聴いても鳥肌がたつほど。そして最終曲6では、美しいピアノで静かに始まり徐々にドラマチックに展開していく11分の大曲。後半では、同じマネージメントの縁で、ウィッシュボーン・アッシュのアンディ・パウエルの情感のあるギターソロを入れるどして、彩りをそえている。
これだけの名盤ともなると、インプットされている情報も多すぎてうまく語ることが難しいなあ。でも、どうしてもプログレの名盤として語られることの多い本作、実際にはプログレ的な部分は曲が長いことくらいしか無いと思うので、多くの人にこの作品の美しさを知ってもらいたい。ジャンルを無理矢理作るならトラッドシンフォニーといったところかな。ただ、今日気付いたんだけど、ベースの動きに要注意。曲を引っ張るゴリゴリと歪んだベース、これだけはプログレの耳触りだ。
Ashes Are Burning
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2005年11月16日

ビューティフル・ナイト

今日の1枚。
PAUL McCARTNEY / FLAMING PIE (1997)

もうこの作品も8年前か・・。ジョンの「BEATLES」命名に関する発言の中からアルバムタイトルを引用したことからもわかるとおり、ビートルズらしい雰囲気を随所に感じさせる名作だ。
ビートルズらしさの伏線は、もちろんアンソロジープロジェクトにある。そこでビートルズ時代の曲作りやレコーディングの雰囲気を思い出したことが本作の懐かしい肌触りの原因だ。さらに、レコーディング中に、リンダが癌で病床に伏せ、彼女を励ますためにも仕事をしたという精神状態も、天才の感性をより研ぎ澄ましたように思う。
ツアーを意識したバンド中心の前作とはガラリと変わり、演奏やプロデュースなどのほとんどをポールがこなし、もはやビートルズ関連の仕事に欠かせないジェフ・リンのポールを知り尽くした丁寧な仕事ぶりなど、パーソナルな雰囲気が全体を覆う。またジョージ・マーティンが6のプロデュースと13で素晴らしいオーケストラアレンジを施すなど、ノスタルジーを漂わせている。
ポールらしいメロディアスな楽曲はどの曲も文句がつけようがない。様々なタイプの曲を効率よく配置して、聞かせどころも随所に散りばめている。隙はないんだけど、息苦しいような重い完成度はカケラもなく、軽快に聴きとばしていける。最初に聴いていみてすぐに気に入って、なおかつ、その好感が何年も続くような飽きのなさ。もしかしたら、ポールの歴史でも大傑作といえるかもしれない。(言い切る自信はまだないけど)
4や13のメロディの美しさと、素晴らしいオーケストラアレンジを聞いていると、昔ビートルズをCDが擦り切れるほど聴いたときに感じた感覚が、ふっと体の中から蘇って胸がいっぱいになってしまう。それこそ、ビートルズなんて僕が生まれるずっと前に解散していた伝説のバンドなのに、そこで数多くの名曲を作り出したポールが、リアルタイムでこれだけの良質な作品を作ってくれるという事実。そのことが、たまらなく幸せだ。

Flaming Pie
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2005年11月13日

ノーバディ・ラブズ・ミー

今日の1枚。
BRYAN FERRY / FRANTIC (2002)

ソロ11作目にして現時点での最新作。
80年代以降のフェリーのソロ作は、練りに練って作りこまれすぎた酸素の薄い作品が多くてそこに熟成されたワインのような濃い魅力があったんだけど、リラックスした前作「AS TIME GOSE BY」のマニアックなカヴァー集、そして原点であるロキシー再編成ツアーなどを経た本作は、やや偏執狂的な部分がとれて、今までのキャリアをすべて内包した上で、時代とも糾合させたバランスの良い好作に仕上がっている。豪華なゲストを見ると、ブライアン・イーノ、ポール・トンプソン、クリス・スペディング、などロキシーやソロでゆかりのの懐かしい人脈の他、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドなどが参加していて、過去プラス新境地といった図式がそのまんま当てはまるのが面白い。
収録曲も、ソロ1作目1曲目で見せたディランのカヴァーを本作でも1曲目に持ってきていて、原点回帰を思わせる確信犯的な選曲だ。2、5は70年代のソロ時代、4はロキシー時代を彷彿させるなど、過去のフェリーの姿を見ることができる。さらに、6、8、10など、いかにもフェリーらしいダンディー&セクシーな肉感溢れる色気をみせる楽曲が散りばめられている。そしてそのすべてが、まったく古臭くない現代のポップミュージックとしてアレンジされている。天秤座らしいフェリーのバランス感覚は、いつの時代も健在だ。
フェリーのソロ作は、特に80年代以降は駄作がひとつもないと思っているけど、その中でも満足度がとても高い一枚だ。声を張り上げるタイプのボーカルではないので、枯れた部分を巧みに仕立てる6のような美的なセンスがある限り、これからもずっと信頼して期待できる作品を生み出して活躍してくれそうだ。

Frantic
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2005年07月20日

あなたの心に

今日の1枚。

BRYAN FERRY / IN YOUR MIND (1977)

ソロ4作目。
ロキシーが「サイレン」で活動を休止してから、はじめて本格的に作り上げた作品で、それまでのフェリーのソロはカヴァー集と相場が決まっていたが、今回はすべて自作曲で占められた。また、参加ミュージシャンが豪華多数で、曲によってパートを贅沢に振り分け、そしておそらく時間をかけてアレンジが施され、ゴージャスなサウンドに仕上がった。数年前にキムタクドラマで使われて有名になっちゃった「トーキョー・ジョー」も収録。
一聴して「サイレン」の続編ぽい。まあロキシーの活動と並行したソロという構図が崩れた時点で、ロキシー=フェリーという図式が当てはまるのが妥当なんだと思うけど、アメリカ謳歌的なメロディや、男の哀愁を歌う歌詞など、ロキシーと従来のフェリーのソロとの合成物といった表現が合っていると思う。4曲目は、それが最もあからさまで、前半の躍動感のある楽曲が、後半では一転して力強いベースラインに導かれて、退廃的に重いものに変化していく。
この人には珍しく、曲よりも歌が前につんのめっているような勢いが、やや作りこまれすぎの感のある重いアレンジの楽曲に雪崩のような疾走感を与えて、メロディ的に甘くても強引に聴かせられてしまうのが悔しい。ただ、ここまで「嬉」の感情をオープンにして歌っている姿は、かなり貴重。この頃は、まだ、花嫁はベールを付けていたからか。


In Your Mind
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2005年07月18日

レッツ・スティック・トゥギャザー

今日の1枚。

BRYAN FERRY / LET'S STICK TOGETHER (1976)

ロキシーの活動休止後に発表されたソロ3作目。とはいうものの、直近に発表されたシングルや、ソロ1作目2作目収録曲からシングルカットされた曲のB面曲などに、当初発売予定だった「EXTENDED PLAY」という4曲入りのミニアルバムをくっつけたというレコード会社の思惑の見え隠れする契約消化盤といった体裁。ちなみにもう少しのところで、タイトルは「ミスター・ダンディ」になるところだった。
ところが、内容が良い。寄せ集めの楽曲、録音時期も異なるとなれば、普通は散漫な印象になってしまうところなんだけど、一貫したカラーがあって、正規のソロアルバムとして成立しうるクオリティを持っている。過去に名曲のカヴァーのセンスは前作、前々作そのままだし、全体的にアップテンポで明るい曲が多いために、腕組みをしながら聴くような体勢はまったく無用に楽しめる。それに、シングルB面曲は、ロキシーの楽曲のセルフカバー5曲なんだけど、この人にかかれば自分の曲なのにガラリと印象が変わって聞こえるとともに、原曲に新たな発見をみつけたりできて楽しい。10「リメイク・リモデル」は、その真骨頂。ぶっ飛んだ実験ロックが、まるでムード歌謡になっちゃってて素晴らしい。
1「レッツ・スティック・トゥギャザー」のジェリー・ホールの奇声が衝撃的だ。ジョンが歌詞が最悪だと自虐した8「イッツ・オンリー・ラブ」も、この人が歌えば絵になってしまうのがさすが。フェリーの高レベル作品群からすると地味なポジションの作品だけど、聴き所エピソード満載で満足度が高いです。



Let's Stick Together
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2005年07月16日

いつかどこかで

BRYAN FERRY / ANOTHER TIME,ANOTHER PLACE (1974)

ソロ2作目。
前作に引き続き今回もまたカヴァー集。プラターズの「煙が目にしみる」やスタンダード曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」など耳にしたことのある曲もあるが、アイク&ティナ・ターナーやラムゼイ・ルイスのヒット曲など、どちらかというとロックファンに馴染みの薄い地味な選曲になっている。それらをフェリー流に料理して独自のテイストに染め上げて、ゴージャス感のあるバンド演奏とともに、贅沢に仕上げている。バラードあり、スタンダードあり、ハードポップありと、全体的に統一感はなさそうななんだけど、それを最終曲である自作の「いつかどこかで」で歌われる現実世界と妄想世界の境界を見せることで、コンセプト(傷心的な恋に身を焦がす男か?)として纏め上がっているようだ。
音楽的には、ジョン・ウェットンが参加して存在感のあるベースラインで、乾いていてタイトなアメリカンポップス調といった70年代のフェリーの形ができあがっている。ロキシーから唯一参加のポール・トンプソンのドラムも、ブラックなリズムを志向する80年代以降のフェリーでは味わえない野暮ったさが、本作の雰囲気とよくあっている。並行活動していたロキシーとセットで聞くと、明確に色づけが分かれていて面白い。
しかし、本作で最も重要なのは、音ではなくジャケットにあるように思う。ロックの発展が反体制を軸に進み、長髪だったり派手な衣装に身を包むことで自分を顕示しようとするのに対し、白いタキシードに蝶ネクタイでプールサイドに佇むフェリーは、現代から見ても衝撃的だ。既成の物事を否定することを糧に拡大してきたロックが、曲のカバーを含め既成の物事を肯定して着こなした(歌いこなした)フェリーによって懐が大きくなったといえるのではないか。まあ、本人は単なるナルシスト趣味の一環なんだろうけど・・。

ちなみに「いつかぬかどこで」は、「いつかどこかで」とかけてあるんだね。
新鮮なCDを部屋のプレイヤーという糠床に漬けて聞き込んで、自分の味にして楽しもうという意味があるのだね。
知ってた?


Another Time, Another Place
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2005年07月08日

愚かなり、我が恋

今日の1枚。
BRYAN FERRY / THESE FOOLISH THINGS (1973)

ロキシーミュージックの活動と平行して制作されたソロ1作目。
先鋭的な才気溢れるロキシーの音楽とはガラっと異なった、全編カバー集。ボブ・ディランやレスリー・ゴーア、プレスリー、ビートルズ、ストーンズなどの、フェリーが敬愛するであろう有名アーティストたちの楽曲を取り上げて楽しそうに歌い上げる。フェリーの歌声は、声量もないしこの時代はまだ表現力に乏しいんだけど、独特のアレンジがされて歌いまわしを微妙に変えるだけで、本来の楽曲イメージをフェリー色に染めることができているのに驚く。この時代では、カバー集という概念すらなかったのに、たいしたものだ。ロキシーとは違う方法論で「リメイク・リモデル」をやってみたといえるかもしれない。お気に入りはボブ・ディランをハードに歌いきる1と、ジャズのスタンダード曲であるタイトル曲13。特に後者は、ピアノとボーカルだけではじまり、やがてレゲエになってしまうという展開。この時代のレゲエって、かなり早いと思う。
でも、本作の重要義は選曲にあると思う。時代の先端を走るアーティストの根底にあるのは、50年代60年代の楽曲であるということを提示することで、ロキシーがけして突発的な進化を遂げたものではないということをアピールするバランス感覚ではないだろうか。もちろん本人が言っているように、カバー集は気分転換という意味もあるんだろうけど。
邦題は「愚かなり、我が恋」。どうしようもない愛や、報われない愛に身を焦がす楽曲ばかりを集めたコンセプトが、いかにもフェリーらしい。カサブランカの世界だ。男の哀愁の世界に、同調とともに強烈な憧れを覚えずにはいられない。


These Foolish Things
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2005年06月23日

ディス・ワン

とつぜん今日の1枚。

PAUL McCARTNEY / Flowers In The Dart (1989)

89年作。「タッグ・オブ・ウォー」以降、セールスも評価も下降線を辿っていた中で出した起死回生の1枚。
本作のポイントはエルヴィス・コステロの参加だろう。ジョンのように辛辣な性格のコステロの効果は、共作した4曲はもちろん、ポール単独の楽曲にも影響力を及ぼし、ビートルズ以降のポールでは出にくかった屈折したメロディが新鮮でいて懐かしい。そしてそれがアクセントとなり、ポールの最大の魅力のメロディアスな楽曲が引き立っていて、甘ったるいだけになりがちだった(それも魅力だが)それまでの作風が、より深みを帯びて時代に流されるポップミュージックとは一線を隔す完成度に繋がったと思う。ここにいるのは元ウイングスというより、元ビートルズのポールだ。また、楽曲ごとにプロデューサーを変えるなど、より良い物を作ろうとする姿勢も本作にかける意気込みが滲み出ているし、そしてそのプロデューサーたちが最良の仕事をし、渾身の力作を名作に押し上げた。
楽曲がどれもよくて、どの曲をとっても多くを語れてしまうんだけど、個人的に名曲だと思っているのが4「ディストラクション」。もの悲しいスローなバラードなんだけど、メロディが素晴らしくそして雰囲気を抜群に盛り上げるアレンジが凄い。途中のギターソロや、最後のファルセットで歌うところは鳥肌が立つほど。シングルカットさえされていないのに、なぜか当時この曲のPVが作られていたんだけど、それもまたよかった。もう1曲の名曲だと思うのは5「幸せなる結婚」。静かにはじまり徐々にドラマチックに盛り上がっていく僕好みの曲。そして背景にある「ジョンとシンシアが結婚したのを思い出しながら書いた曲」というエピソードが泣かせる。あからさまな「ヒア・トゥデイ」よりも、よほどジョンに対するポールの想いが伝わってくる。この2曲を聴きながら、さっき泣いてしまったんでピックアップ。
ポールに関しては、藤田朋子に負けないくらいファンなので、感覚が麻痺しちゃっているんだけど、いちばん好きな作品かも。そして、これ最高傑作なんじゃないかなあと。

Flowers In The Dirt
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2005年06月01日

ヌード

復活してみよう。

今日の1枚。ちょっと今タイムリー?

CAMEL / Nude (1981)

9作目。「スノー・グース」以来となるアルバム1枚を費やして語られる聴く小説作。
邦題は「Mr.Oの帰還」。戦争に召集され南の島へ赴くが、終戦を知らずに逃亡を続けて、29年後に保護、そして帰国して英雄と称えられるも、文明社会に馴染めず国を出るというお話。そう、これは太平洋戦争の29年後にルパング島で保護された小野田少尉のお話なのだ。
「スノー・グース」に比べると、ボーカルが入ってイメージを固定しやすく、また題材も日本人にとっては身近なものなので、作品自体には入り込みやすい。一聴して、代表曲と呼ばれうる曲が皆無で全体の印象が平板に映るんだけど、細かいところまで作りこまれているし、疾走感や泣きといったキャメルの魅力も実は織り込まれている。アジアンテイストを盛り込んだり、80年代という時代を感じさせるキーボードワークなど、叙情性の追求から緩くなりそうなサウンドをぐっと締めているし、前作のポップス化や当時のMTV勃興の時代ということも考えると、かなりの力作だと思う。
コンセプトは、空港に降り立って背筋をピンと伸ばした軍服姿の小野田さんが見せた日本人としての気概だとか誇りを考えるとやや軽妙なものに映ってしまうんだけど、戦争の無益さや帰還後の悩みなどはよく音であらわせていると思う。それに、けっこうシリアスなテーマなのに、キャメル風のファンタジーに仕立てあがってしまっているのはたいしたもの。浮世絵風で富士山が描かれた風変わりなジャケットも、見慣れればあんまり気にならない。
戦争が終わってもう60年、日本人兵が生存というニュースを聞いて、ふとレコードを引っ張り出してみて、戦争や兵士たちや小野田さんに想いをはせる。それ自体、なんら生産的な行為ではないんだけど、平和ボケの僕にとってはいい刺激になってしまった。キャメル、えらい。

名作度 6 (賛否両論)
聴き込み度 5 
気に入り度 7 


Nude
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2005年05月06日

赤い靴

今日の1枚

KATE BUSH / RED SHOES (1993)

今年になってようやく新作が発表されるというケイト・ブッシュだが、前作はなんと12年前の本作。
赤い靴を履いてしまって踊り続けることになってしまった、グリム童話の「赤い靴」を題材にした「レッド・シューズ」を含む本作は、全英で2位、アメリカでも好セールスを上げるなど、大ヒットした。
ケイト・ブッシュというと、偏執狂的な童話ロックというイメージなんだけど、本作は割と日常的というか現実世界に近い雰囲気。曲調も、深窓のお嬢様ロックというよりは、外界に向かって開かれた表情も見えて、随分と大衆に近いところに降臨しているといった感じだ。とはいっても、歌詞は凝っているし、曲もよく作りこまれているし、聞き込むごとにケイト・ブッシュにしか作り出せない世界が広がりを見せてくる。そう考えると、巧妙に計算されたアルバムの全体のイメージに、踊らされている自分を見せられるようで、やはりケイト・ブッシュは凄いなあと平伏してしまうのだ。
ゲストは、クラプトンにジェフ・ベックにプリンスと超豪華。スティーリーダンみたいに、曲にあったミュージシャンを配置しているんだけど、クラプトンもベックもすっかりケイトワールドに埋没してしまっている。そんな中で、一聴してわかるのがプリンスの存在感。考えてみれば、ケイトもプリンスも密室で一人でコツコツとレコーディングするタイプなので、案外似たもの同士。プリンスをケイトの中に同化させないのは、彼女なりの敬意なのかも。
従来作と雰囲気が違うんだけど、完成度は相当高い。「ラバー・バンド・ガール」の明快なポップス、「嵐が丘」的な童話ポップス「レッドシューズ」、スケールの大きなバラード「ユアー・ザ・ワン」と根幹となる曲が強力で、隙間を埋める曲もそれぞれに個性が強くてかつ深みがあって、惰性で聞かせるようなところがほとんどない。さすがだなあ、と感心しきりの僕は、もちろんケイト信者。新作が早く聴きたい。

名作度 6 (ファンの間では評価は低いぽい)
聴き込み度 6 (昔はまったく聞かず、最近になってちょくちょく)
気に入り度 7 (じわじわと上昇中)


The Red Shoes
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2005年05月02日

慨視感

今日の1枚

POLICE / SYNCHRONICITY (1983)

ポリス最大のヒット作にして最終作。全米チャートで8週1位の「見つめていたい」、3位の「キング・オブ・ペイン」、8位の「アラウンド・ユア・フィンガー」、11位の「シンクロニシティ2」と、出すシングルがすべてヒット、アルバムの17週1位を記録するなど、80年代を代表するメガヒットアルバムになった。
個人的には「完璧」という言葉が最も似合うと思うほど、完璧な作品。音楽的には、デビュー作以来発展させてきたものの集大成であり、前作に大衆に受けるポップ性を加味したものだと思うけど、個々の楽曲のクオリティ、バラエティに富んだ音楽性、それらを効果的に聞かせる曲順までもいい。前半は、実験的な尖った曲、後半はヒット曲のオンパレードとメリハリもついていて緩急も自在。テンションも高いし、スティングのボーカルも存在感たっぷりに聞かせる。アルバムタイトルの「シンクロニシティ」は、スティングが当時傾倒していたユングの心理学用語といった具合に、外見からもインテリ心を刺激する。さらには、アルバム自体とは無関係なんだけど、ゴドレイ&クレームが作成したPVの素晴らしさも特筆もの。シングル曲が流れると、ぱっと脳裏に印象的でカッコいい映像が浮かぶほど、視覚イメージもバッチリ。・・といった具合に、誉め言葉が次々に浮かんでくるだけだ。
これを聞いたのは、たぶんロックを聴きはじめた最も初期の頃だったと思う。でも、何度聞いても、外部からいろんな情報を得ても、最初に聴いた鮮烈なイメージがそのまま持続しているような、飽きが来ない作品。そして、これだけの作品を作っておきながら、スパッと解散(休止)してしまった引き際の美しさも見事で、ポリスというバンドが自分の中で神格化されるに十分な要因が揃っている。
クールでスマートな傑作。おそらく、僕の生き方までも影響を及ぼしたんじゃないかと思えるくらいに、体の一部になっている1枚です。

名作度 9 (多くが傑作と評価)
聴き込み度 10 (全曲頭の中で再生できます)
お気に入り度 10 (殿堂入り)


Synchronicity
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2005年05月01日

シークレット・ジャーニー

今日の1枚。

POLICE / GHOST IN THE MACHINE (1981)

「マジック」が全米で3位になるなど、英米で大ヒットした4作目。
一聴してわかるのが、シンセやホーンセクションの導入。サウンドのゴージャス感が増し、先鋭的なバンドサウンドから、煌びやかでバラエティに富んだ先鋭ポップス的な異次元サウンドに進化した。いちばんの要因は、プロデューサーが当時ジェネシスなどを手がけて売り出し中だったヒュー・パジャムを起用したことだろう。前作で確立したと思われたポリス流ロックが、あっさりと更新されて新境地に向けて走り出している。
ただ、「シンクロニシティ」に比べると完成度では見劣りするし、ミックスの問題かもしれないけど、スティングのボーカルのボリュームが下げられていて、明らかにサウンドの方が前面に出てきている。もしかしたら、先鋭サウンドの洪水に翻弄されているようなスティングのボーカルが、タイトルの「機械の中の亡霊」を表現しているのかもしれないけど、ポップスを聴く耳で捉えようとするとやや物足りない。
とはいえ、構成は緻密にして高度に計算され、洗練度が高い。かなり作り込まれているのに、清水のような爽快感すら漂う。マテリアルワールドのマジックだ。お気に入りの1枚。

名盤度 8
聴き込み度 8
気に入り度 8


なんとなく、こんなのをつけてみようかと試験中。
文章でいろいろ書くんだけど、実際にどれくらい聴いていてレビューしているのか、実際はどれくらい気に入ってるのか客観的に分かる方がいいのかなあとか思って。
とりあえず10段階で。


Ghost in the Machine
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2005年04月30日

ゼニヤッタ・モンダッタ

今日の1枚。

POLICE / ZENYATTA MONDATTA (1980)

80年の全英年間チャート1位に輝く「高校教師」、後に日本語バージョンを録音して失笑を買った「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」などを収録した3枚目。
1枚目が独自のスタイルで衝撃を与え、2枚目がそのスタイルを発展させたとするなら、この3枚目はスタイルの成熟とでもいおうか。エッジの尖っていたクールなポリスロックの角をとって、聞き易くしたような印象。ポップスに接近したともいえるが、その一方でリズムはエスニック志向を見せるなど、円熟の中にもスパイスは効いている。
平均以上の出来なんだけど、個人的にはポリス作品の中でおそらく一番聞いていない作品だったりする。久しぶりに聴いたんだけど、ドラムが凄いなあ。様々なテクニックを駆使して自己主張しながら、疾走感を失わず曲を引っ張る。ブレイクのときなんて、癖になるかっこよさ。ポリス全作品の中で、いちばんコープランドが目立っているか?あと、サマーズの変態具合が徐々に。1や3で、通常なバンドならギターソロがはじまる場面で、ビヤーン、ジャーンとけしてソロをひこうとしない。自己顕示欲の塊のギターソロをストイックに拒絶するサマーズが大好きだ。ドゥドゥドゥの直後曲の8では突如変なフレーズを奏でてるし。
ところで、ゼニヤッタ・モンダッタってどんな意味?誰だ、変な日本語を教えたのは。YMOか。


Zenyatta Mondatta
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2005年04月29日

白いレガッタ

今日の1枚。

POLICE / REGATTA DE BLANC (1979)

2作目。シングルカットされた「孤独のメッセージ」と「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」は全英1位のヒット、スティングのソロライブアルバムのタイトルにもなった「ブリング・オン・ザ・ナイト」と楽曲は粒揃い。アルバムも大ヒットした。
徐々に完成度を増して行くバンドだが、「シンクロ二シティ」を別格とするなら、いちばん好きなのが本作。
タイトルは「白いレゲエ」と訳すらしいんだけど、たしかにレゲエ的な手法を取り入れているものの、クールなリズム感をもったポリス流ロックといった感じで個性が確立されている。また3人の力の均衡といった意味では最もバランスが取れていて、バンドとしての纏まりを最も感じさせる。初期のスティングのボーカルは、基本的に線が細いんだけど、本作ではけっこう艶っぽい声をだしている。
本作で特筆したいのは、「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」。実はポリスというバンドの最重要曲ではないかと確信している1曲。無愛想なのに印象的なベースライン、神経質さと大胆さが同居したシンバルワークがほとんどのドラム、必殺のコードをここぞというときに効果的に鳴らすギターと、曲としては隙間だらけなのに、曲として成立している。昔、バンドでちょっとやってみたことがあるんだけど、楽譜どおりに弾いてみてもまったく雰囲気が出せなかった苦い思い出が。確かな技術とセンスをもった強者が最小限のバンド構成で巻き起こす音場マジック、そんな孤高ともいえる気高いオーラを最も放出しているのがこの曲だ。ポリスファンは多いと思うけど、フォロワーは聞いたことないでしょ?


Regatta De Blanc
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2005年04月28日

ろくさん

今日の1枚

POLICE / Outlandos d'Amour (1978)

チョイスに特に意味はないんだけど、ポリスのデビュー作。
元カーヴド・エアーのスチュワート・コープランド、元ソフトマシーンなどのアンディ・サマーズ、そして元高校(?)教師のスティングからなるロック界最強かもしれないトライアングル。
すでにコープランドとスティングは20代後半、サマーズにいたっては30代中盤とキャリアも年齢も高いだけあって、デビュー作にして完成度が高い。感じとしては、知的なパンクといった風だけど、本質はシンプルなバンド編成を軸に、ロックの疾走感やレゲエのリズム感、そして当時全盛だったパンクの勢いなどの要素をシンプルに抽出したといったところだろうか。プログレ系のバックグラウンドをもっている3人なので、同時代のジャズとポップのプログレの融合作であるUKとは別の方向で進化したプログレ進化形という感じもする。ともあれ、単純な解釈で測るのは難しいし、あれこれ音について考えさせられるのが、すでに彼らの術中のようで、作り手の方が一枚上の気さえしてしまう。デビュー作なのに。
後年に比べると、コープランドのドラムの存在感が大きく、超絶なリズム感をもっていながら手数が多く、曲をグイグイと引っ張っている。サマーズは、この頃からすでに一歩ひいて、3次元的なフレーズで楽曲に立体感を与えている。そしてスティングの独特のボーカルと、すでにポリスのスタイルが確立している。デビュー作なのに。
ヒット曲の「ロクサーヌ」「ソー・ロンリー」「キャント・スタンド・ルージング・ユー」などはシングルらしくキャッチー、その他の楽曲も面白く、全体のバランスもいい。文句なし。デビュー作なのに。
しかし、これをスタートにして、最終的に「シンクロ二シティ」の完全無欠の高みまで、徐々に完成度をあげていく。本作のレベルがスタート点であるというのが恐ろしい。ポテンシャルの高いバンドだ。


Outlandos d'Amour
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2004年11月24日

ナッシング・バウト・ミー

今日の1枚。まだつづく。
STING / TEN SUMMONER'S TALES (1993)

4作目。前作のシリアスな作風とは一変した明るい文芸ポップスになった。
タイトルはカンタベリー物語の1節である「SUMMONER'S TALE」(召喚士の物語)とスティングの本名であるゴードン・サムナーをもじったもので、10の寓話の主人公を登場させる召喚士がスティングといったところだろうか。プロローグとエピローグに挟まれた1曲ごとに完結するストーリーをもった10の短編曲集といった趣だ。
登場人物は、残酷な男や、雨乞いをする男、情けない男、執念の男など、さまざまなキャラクターが登場し、淡々とエピソードが語られつつもどこか可笑しいような展開だ。曲調も、話ごとに表情を変えて、カラフルでバラエティな仕上がりになっている。10「シェイプ・オブ・マイ・ハート」で、僅かに以前の研ぎ澄まされた表情が見えるが、あとは穏やかで温かみのある風景が広がり、社会性や攻撃的な部分がまるで後退してしまった。ついでに生え際も後退した。
大人が聴きながら脳裏にストーリーを描くという、「聴く絵本」といった感じの印象だ。楽曲もよくできているし、作品全体を通してのトータル感も素晴らしい。グラミー賞にも輝くなど、完成度の高い傑作だと思う。ただ以前の重々しいほどシリアスで生真面目なスティングを崇拝していた者としては、リラックスした雰囲気や、笑顔の表情に戸惑いを隠せないというのが正直な感想。ただエピローグで、「それでも僕のことはなにひとつわからないはずだよ」と、世界感に浸っている者をドロンと煙に巻くところはさすが。


Ten Summoner's Tales
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2004年11月20日

マッド・アバウト・ユー

今日の1枚。
STING / The Soul Cages (1991)

3作目。スティングの全作品中、最も地味な作品。
前作のミキシング中に母親を亡くし、その半年後に父親を亡くしたということもあり、前作は母親に捧げたが本作は制作段階から父親の死を念頭に置いてオマージュのような雰囲気になっている。暗く寒い雰囲気は、スティングの故郷でもあるイングランド北東部の港町の冷たい海のイメージだ。
豪華ゲストを呼んだ話題曲もなければ、軽妙にジャズを取り入れる遊び心も無い、ここで描かれている世界は装飾の無いスティングの等身大の姿に他ならない。父親の死を嘆くわけでも悲しむわけでもないが、静かにその事実を受け入れようとする姿に、自信過剰のインテリ男のイメージは皆無だ。タイトルは、檻に閉じ込めている魂をさらけ出すという意味なのかもしれない。
全体を通して地味ではあるが、演奏は円熟味を増し息のあったところを見せて、どの曲も丁寧に作りこまれている。派手な演出が無いので最初はピンとこないものの、何度も聴いていくうちにどんどん味が出てくるといったタイプの楽曲だ。歌詞も難解なところはなく内省的な面が練りこまれたもので楽曲に魂が込められていて、薄っぺらな流行曲では太刀打ちできない深遠で重厚な佇まいをみせる。
前2作のソロが個人的には気に入っているし、最高傑作は他にもあるとは思うけど、スティングを辿るときに本作の重要度は相当高いと思う。ソロの成功、両親の死を経て、ここでいったん立ち止まって魂の檻を確認する。フロイドでいうファイナルカットのような役割を果たしている気がしてならない。本作以後、明らかに作風が変わっていくのはここに理由があると思う。

ちなみに、本作以後のふっきれたように物事を達観して丸くなってしまったスティングを、未だに僕は受け入れることができないでいます。


The Soul Cages
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2004年11月19日

ロック・ステディ

妹に子供が産まれた!

今日の1枚。
STING / ...NOTHING LIKE THE SUN (1987)

セカンドアルバム。全作から引き続き参加のブランフォード・マリサリス(sax)、ケニー・カークランド(key)に加えピーガブバンドにいたマヌ・カチェ(ds)らを中心に、アンディ・サマーズ、エリック・クラプトン、マーク・ノップラー、ギル・エバンス・オーケストラなど、豪華多彩なゲストを招いてレコーディングされた。発売時のLPは2枚組。全米最高位は9位だが、日本のオリコンではCMの効果もあったのかなんと1位を獲得。翌年、本作中の5曲のスペイン語バージョンを収録したアルバムも出た。
基本的には全作の延長線上のジャズのエッセンスの香る大人のロックといった感じだが、スティング本人がベースを担当していたり、様々なタイプの曲があるためか、ジャズの緊張感が薄れて温かみのある丸い印象。だが、歌詞はより社会性を増し、直接名指しで政治家を糾弾するなど政治色も匂うようになった。特に前半はメッセージ性が強く、それが切れ味のある楽曲、適度なジャズ感といった要素と絡み合い、スティング流ロックともいうべき独自の世界ができあがっている。その中での白眉は、哀しみの滲み出る6「フラジャイル」と、親しみやすいメロディの6「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」だろう。
それに比べると後半はやや散漫。クラプトンやマーク・ノップラーが参加してるとはいうものの何をやってるかわからない7「ウィル・ビー・トゥギャザー」は思慮深い重い雰囲気を壊してしまっているし、他の収録曲も個々の楽曲を見れば悪くは無いんだけど、シリアスになったたり、ポップになったり、バラードになったりと前半の流れるような展開と比べて落ち着かない。個人的に前半の出来が完璧なだけに惜しいところ。ジミ・ヘンドリックスの「リトル・ウイング」のカバーが素晴らしいだけに残念でならない。
とはいえ、最もスティングらしさが現れている1枚だと思う。さすがに今の時代からこのメッセージ性をみると、多少胡散臭さのようなものも感じてしまうが、単純ともいえる素直な想いを込める姿勢は、効果や成果はさておきとても好感がもてるところだ。物事を達観してしまったかのような現在のスティングよりも、この頃の嘆きや憂いや迷いを歌詞に込める姿の方が魅力的だ。


Nothing Like the Sun
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2004年11月18日

蒼亀の夢

ボジョレー・ヌーヴォー解禁。
近所の酒屋さんに買いに行ったら試飲会をやっていた。
何を買うかは、はっきり決まっているのに、ひととおり全部飲んだ。
やっぱり値段に比例して美味しいし、ヴィラージュ格付けのものがいい。
味はどうなんだろうなあ。印象としては100年に一度の味と言われた去年と遜色ないように思うけど・・。
ま、季節の縁起ものだからね。今年も変わらず手元に届いたことで、まず満足。
何から飲もうかなあ。

今日の1枚。
STING / THE DREAM OF THE BLUE TURTLES (1985)

ポリスの活動休止中に発表されたファーストソロアルバム。元ウェザーリポートのオマー・ハキム(ds)、マイルス・デイビスバンドにいて、ストーンズのサポートですっかり有名になってしまったダリル・ジョーンズ(b)、ブランフォード・マリサリス(sax)、ケニー・カークランド(key)らニューヨークの一流のジャズ/フュージョンプレイヤーを招待してレコーディングされた。
もともとスティング自身、ロックよりもジャズに影響を受けたようで、一流のテクニックをもったプレイヤーを従えた作品を作るというのは念願だったようだ。とはいえ、本格的なジャズになるのではなく、ロックフィールドの中でのジャズの消化といった趣のサウンドに仕上がっている。ただ、ポリス時代のようなクールでパンキッシュなイメージではなく、ストイックで洗練された大人のロックといった雰囲気だ。ポリスとはガラっと変わった音楽性は、スティングのポリス離れとともに、サマーズとコープランドの存在感の強さを改めて感じさせられる。
楽曲の出来はどれも抜群で、無駄な部分があまりない。クールなソウル曲1「セット・ゼム・フリー」は全米3位、盛り上がりの心地よい10「フォートレス・アラウンド・ユア・ハート」は8位、2「ラヴ・イズ・ザ・セブンス・ウェイブ」は17位、3「ラシアンズ」は16位と4曲ものシングルヒットを放ち、商業的にも大成功した。さらに、某ドラマでも使われた大人のバラード9「バーボン・ストリートの月」、テクニカルなジャズロックを決める5「シャドウズ・イン・ザ・レイン」、さりげないジャズ小曲をはさむなど緩急も自在で、作品全体ととおした完成度はとても高い。歌詞も、旧ソ連を皮肉ったり戦争や核といったテーマにも立ち入り、社会派という高尚なイメージもより強まった。
知的でお洒落な大人の雰囲気、スティングは僕が高校生くらいの頃に憧れたアイドルスターの一人だ。そんな思い入れのあるアーティストの作品の中でも、最も気に入っている1枚。相変わらず感じてしまう胸の高まりに、未だに大人になりきれていない自分の未熟さを映されてしまいます。


Dream of the Blue Turtles
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2004年11月13日

アーク・オブ・ア・ダイバー

今日の1枚。
STEVE WINWOOD / ARC OF A DIVER (1980)

スペンサー・デイビス・グループ、トラフィック、ブラインドフェイスと渡り歩いた元天才少年のソロ2作目。アルバムは3位にランクイン、シングルカットされた「ユー・シー・ア・チャンス」も全米7位と大ヒットする出世作になった。演奏とプロデュースと作曲のすべてを一人でこなした。ついでに作詞もやれば完璧だったのに。
すべての楽器を一人でこなしているというとトッド・ラングレンやオールドフィールドを思い出すんだけど、どこか引き篭もった偏執的な音を感じる彼らに比べ、バンドらしいグルーブ感を持っているのが凄いところ。この人独特の白人ソウルフルな歌声と共存するリズム感や高揚感が素晴らしい。それに、シンセの響きやシーケンサーのドラムパターンなど時代を感じさせるのに、曲全体で見渡したときにピッタリとはまった独自のウィンウッド流R&Bに仕上げられているのも、作品の隅々まで息が届いている証拠だ。ベストトラックは、爽やかに盛り上がる1「ユー・シー・ア・チャンス」もいいが、黒っぽいリズムに、味わい深いギターワークと、渋く歌い上げるボーカルが絡み合うタイトル曲2できまり。
この後にゲストを多数入れたゴージャスな大ヒット作を連発するが、装飾をとった姿は本作のような形になるのだと思う。そういった意味で、ウィンウッドの音楽のエッセンスが凝縮された作品になるのだろう。
それにしても、この人の音楽には陰鬱な部分がない。感情移入を廃して完成された技術をひたすら磨く職人のような印象だ。作詞をしないのは意図的なものなのだろうか。


Arc of a Diver
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2004年11月12日

キャリー・ザット・ウェイト

今日の1枚。
PAUL McCARTNEY / Tripping The Live Fantastic (1990)

89年9月から90年6月にかけて行われたウイングス以来13年ぶりとなるワールドツアーの模様を収録した2枚組ライブ盤。同時にダイジェスト版の「ハイライト」なんかも出た。メンバーは、ベテランのヘイミッシュ・スチュワート(g、b)、元プリテンダーズのロビー・マッキントッシュ(g)、本ライブで名を挙げたクリス・ウィッテン(ds)、以降のツアーにも参加するポール・ウィッケンズ(key)、そしてリンダ、ポールの6人。
好評だった直近作「フラワーズ・イン・ザ・ダート」から6曲、ウイングス〜ソロから5曲と、それだけで大ヒット作名曲のオンパレードだが、本作のいちばんの話題は15曲のビートルズナンバーの再演。ウイングス時代も取り上げては居たものの、ここまであからさまに取り上げるようになったのは解散後20年を経てようやくポールがビートルズから自立できたということに他ならない。なにしろライブの終盤は「ヘイ・ジュード」〜「イエスタデイ」〜「ゲットバック」〜「ゴールデン・スランパー〜ジ・エンド」と連続放出だ。ファンが今もなおポールに求めるビートルズの幻影と、多くの葛藤の末に対象化できたポール自身のキャリアの中のビートルズ像の提示が一致をみたのが本作の最重要義である。「ロング・アンド・ワインディング・ロード」を当時は不満をもっていたフィル・スペクターのアレンジで演奏しているのが印象的だ。ここまで、解散して20年、ジョンが死んで10年かかったのだ。
とはいっても、ビートルズ以外の曲にも聴き所は多く、「カミング・アップ」の時代を先取りしていたような感覚や、パワフルなライブ映えする印象になった「幸せなる結婚」など、オリジナル以上の出来に仕上がっている。また、スティービー・ワンダーの代わりのボーカルを務めたり、ポール、ロビーとギターバトルをするなどして目立つヘイミッシュの堅実な存在感や、リンゴよりも(少なくてもライブでは)上手いドラミングのクリスなど脇を固めるメンバーの個性も十分にアピールされている。
個人的には、これを買ったのはまだ中学生だった頃で、ビートルズをひととおり聴いて、とにかくビートルズに飢えていたときで、そこへビートルズナンバー満載の本作が現れて狂気乱舞した覚えがある。すでに生まれる前に解散していた伝説上のビートルズが、目の前に蘇っているような。この感覚はリアルタイムで経験された方とは違った意味の感動、絶対に触れることができないものに擬似的にだけど触れられる喜びだと思う。僕自身あんまりライブ盤自体には興味を持つことは少ないんだけど、本作だけは特別。僕を育ててくれた1枚です。「ライブ」とは「生きてる」という意味なんだな。


Tripping the Live Fantastic
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2004年10月22日

ダーティ・ウィークエンド

先週までやってた何事かの練習の際に撮りためたビデオの編集中。
DV編集ってやつをやっている。
いろいろと凝ってみようと思っていたが、結果が芳しくなかったんで・・・最低限の編集。
もっと「笑い」を意識したカメラワークをしておけばよかった。
後世への資料にしかならんわん。

今日の1枚。
ROD STEWART / BLONDES HAVE MORE FUN (1979)

邦題は「スーパースターはブロンドがお好き」。ロッドの全作品中で最大のヒットアルバム。前作から引き続きジム・クーリガン(g)、フィル・チェン(b)、カーマイン・アピス(d)らのバックバンドが参加。プロデュースも引き続きトム・ダウト。
おそらくファンの間で最も賛否両論の多いであろう作品。その原因はアメリカをはじめ世界11カ国で1位になった「アイム・セクシー」にある。当時流行の最前線であったディスコビートを取り入れて売れ線狙いにはしったというのが理由だろうが、それほどロッドに思い入れはなく、当時のディスコ音楽好きの僕にとっては、ロッドのフェイバリットソングだったりする。シックのように走り回るベースライン、力強いドラミング、躍動するハスキーな歌声と、流行とロックンロールを迎合させた時代を代表する1曲だと思う。さらにロッドらしい卑猥さを散りばめて素晴らしい。
とはいえ、アルバム全体を見渡すと、ディスコっぽい曲は「アイム〜」と、9「シャドウズ・オブ・ラブ」だけで、それ以外は田舎くさいバラードや軽妙なロック曲といったオーソドックスなスタイルである。それ以前の楽曲と比べると、レゲエ調だったり歌詞が垢抜けている部分もあるが、むしろアメリカをクロッシングしてあれだけの成功を収めながら、昔の自分のスタイルを忘れていないといえるかもしれない。個人的には控えめなストリングスが美しい4や力強いバラードの5とか昔好きだったけど、どの曲も粒揃いで佳曲が並んでいると思う。
それにしても、ジャケットが素晴らしい。豹柄のボディスーツをきた女性を抱きしめながらニヤけるロッドがセクシーだ。「アイム・セクシー?」なんて言えて、しかもそれが許されるロックスターなんてロッドくらい。非リアルタイムなので、面白いもの見たさのような視点でも見てるんだけどね。



スーパースターはブロンドが好き
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2004年10月21日

フー・アー・ユア・ダディ?

レッドソックスが勝った!
昨日のシリングの血染めの足での怪投で勝負あったという感じ。
勝ち方を熟知しているはずのヤンキースのナインが、完全にレッドソックスの気迫と執念に呑まれていた。
もの凄いリーグ優勝決定戦だった。
いいものを見た。


今日の1枚。
BILL BRUFORD / Feels Good To Me (1977)

77年発表のソロ1作目。ジャケットに「BRUFORD」と記載されているために紛らわしいが、グループではなく「BILL BRUFORD」ソロ名義。ゴングで一緒だったアラン・ホールズワース(g)、ナショナル・ヘルスで一緒だったデイブ・スチュワート(key)、以降協調関係が続くジェフ・バーリン(b)ら豪華メンバーの他、アーネット・ピーコック(vo)などが参加。プロデュースはブランドXのロビン・ラムレイで、その人脈からかジョン・グッドソールの名前も見える。
発表時期としては、UK結成直前。UKのファーストのクールな即興性の部分が抽出されているかのようなジャズロック作品だ。1、6、8のような軽快な疾走感をもった超絶技巧作のほか、アーネット・ピーコックのアンニュイなボーカルを強引にのせた2、3、10、変態フレーズ大会の5、などバラエティなのか散漫なのか・・。ただ、纏まりのない表情は逆に緊張感をもたらしている。グループとしての纏まりを感じる後年作「ワン・オブ・ア・カインド」と比べると、各メンバーともに自由にひきまくっていて、存分に持ち味を発揮してくれているように思う。
ブラッフォードのリーダー作であり、自身が作曲までしているようだが、楽曲の印象からいってデイブ・スチュワートの貢献度はとても高いだろう。様々な音色を使い分け、楽曲の外郭を作り上げたり複雑な展開で曲を引っ張ったり印象的なメロディで前面に出たりと大活躍をしている。印象としてはキーボードとドラムで輪郭を作り、ギターとベースに自由に動きまわらせるといった感じだ。ジェフ・バーリンのベースはパーシー・ジョーンズの役割とダブる充実度で曲を盛り上げ、ホールズワースのギターはここぞという場面で流麗なソロを決める。各人のソロがぶつかり合う8は本作のエッセンスの濃縮バージョンだろうか。
個人的にブラッフォードおっかけ物(?)の中では、音楽的にブラッフォードのやりたかった部分と、僕がブラッフォードに求めている部分が最も合致しているという点で、最も気に入っている1枚。ロックとジャズの融合ではなく、プログレとジャズの融合作。傑作だと思う。


Feels Good to Me

6は、名曲だなあ。
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2004年10月19日

マスク

大リーグのリーグ優勝決定戦が面白い。
3連敗で9回裏まで追い込まれたレッドソックスが、まさかの連夜のサヨナラ勝ち。
ヤンキースを簡単に勝たせないしぶとさは、執念というか怨念というか、宿命のライバルといった図式をいやがうえにも意識させられる。
どっちにも役者は揃っているし、大スターたちの泥臭い激闘は野球の醍醐味を凝縮されているよう。
バンビーノの呪いは、こういう展開でとけたりしたらドラマチックだろうなあ。
そして明日の先発は、手術を延期して臨む執念の男シリング。
これで勝ったら、ひょっとしてひょっとするかも。


今日の1枚。ついでにもう1枚。
BRAND X / Masques (1978)

ライブ盤をはさんだ4作目。ジェネシスが忙しくなったコリンズが抜けてチャック・パーギが新加入、ロビン・ラムレイもプロデュース業(ビル・ブラのファーストなど)が忙しいのか本作でもプロデュースに専念し、代わりに元クォーターマスのピーター・ロビンソンが加入した。
基本的には相変わらずのテクニックを基本としたハイパージャズロックなのだが、即興的な部分や各メンバーのソロの応酬はやや抑えられ楽曲を重視したものに変わってきている。作りこまれているためか緊張感はやや後退した反面、かっこよく疾走感をもって展開していく曲が多く親しみやすさを感じるところ。このあたりは、派手に叩きすぎていたコリンズの不在が、良い方向に転んだともいえそう。ちょうどブラッフォードからホワイトに交代したイエスと似ていると思う。さらに、二ール・パートが3曲を提供するなど、メロディに新たな魅力も注ぎ込まれた。
それなりの評価と成功を収めてながらも歩みを止めず、メンバーチェンジを経つつ新たな領域を目指した傑作。多少大人しい印象だが、相変わらずグッドソールのギターは弾きまくっているし、パーシー・ジョーンズの変態的なフレットレスベースも快調にうごめいている。ジャズというよりは、ロックフィールドに近い部分で方向性を模索しているようだ。最強のジャズロックバンド、洗練成熟の1枚。


Masques
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2004年10月18日

モロッコ巻き

40日ほど朝5時前に起きていたので、少しは体が早起きに耐えられるようになったかなと思ったけど、一日で元に戻ってしまった。
農家らしくなるチャンスだったのだが。


今日の1枚。

BRAND X / Moroccan Roll (1977)

77年発表のセカンドアルバム。ファースト作成以前にメンバーだったモーリス・パート(per)を加えた5人編成になり、リズム隊がさらに強化されてしまった。
いきなりコリンズがサンスクリット語で歌うエキゾチックな曲にのけぞるが、2曲目以降は小曲をはさみつつ超絶技巧プレイの冴え渡る楽曲群がひしめく。2は緊張感溢れる即興風バトルでなんとオーバーダブなし一発録り。4は奇妙なグルーブを持つファンク風と、前半は表情も豊かでバンドの柔軟な方向性が提示されている。圧巻は後半の6、8、9の大曲。すべてのパートがこれでもかというほどに自己主張をし、高速で曲が展開する。特にパーシー・ジョーンズのフレットレスベースの高速フレージングと、弾きまくるジョン・グッドソールのギターの音数の多さは尋常ではない。さらに、エキゾチックなメロディを漂わせてジャケットも含めた全体のカラーの統一もはかっているという周到さだ。
テクニカルな面を強調しながらも、バンドの成長と成熟を感じさせる奥の深い傑作だと思う。ブランドXらしいといえばそれまでだけど、これだけのテンションを持ちつつも完成度も高めるというのは凄いの一言。

ジャケはヒプノシス。


Moroccan Roll
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2004年10月17日

異常行為

何事もなかったかのように、復活する。

今日の1枚。
BRAND X / UNORTHODOX BEHAVIOUR (1976)

1作目。邦題は「異常行為」。
当初は、「フィル・コリンズがジェネシスで思うように叩けない鬱憤を晴らすために叩きまくるためのユニット」のような紹介だったと思うが、実際は当時殆んど無名のセッションミュージシャンたちによって結成されたユニットにコリンズが参加したという経緯。メンバーはリーダー格のロビン・ラムリー(key)、元アトミックルースターのジョン・グッドソル(g)、パーシー・ジョーンズ(b)、フィル・コリンズ(ds)の4人。
切れ味するどく斬り込むホールズワース並みのギター、センスよく楽曲に彩りを与え時に緊張感も付与するキーボードワーク、個性的に唸りを上げるフレットレス・ベース、そして超絶技巧のドラムが激しくせめぎあう最高度のジャズロック。アメリカで吹き荒れていたクロスオーバー(フュージョン)の英国からの回答とはよく聞くコメントだが、ロックの持つダイナミズムとジャズの緊張感を高いレベルで融合した国民性なんていうものとは異次元のポジションだと思う。個人的には最強のジャズロックバンド。
時折爆発するように激しいインタープレイを繰り広げたかと思えば、間を意識したセンス勝負をしかけたりと、メンバーそれぞれかなりのテクニシャンだが、センスも確かだ。他のメンバーの息までもはかっているかのように、絶妙の即興アンサンブルを聴かせる。一番目立ってはいないが、キーボードの空間を描き出したり隙間を埋めるというような役割が、憎らしいほどのしたたかさだ。
傑作揃いのブランドXの作品の中でも、最もインパクトの強い1枚。最初に聴くならこれからかな。他のジャズロックがつまらなくなってもしりません。


Unorthodox Behaviour
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2004年09月01日

おせっかい

今日の1枚。
PINK FLOYD / MEDDLE (1971)

6作目。「原子心母」と「狂気」の間に挟まれていて存在感はやや薄いながら、代表曲「吹けよ風、呼べよ嵐」と大作「エコーズ」を含む重要作だ。
アナログA面は、5つの異なった表情をもった小曲が並ぶ。有名プロレスラーのテーマ曲でお馴染みスリリングな緊張感をもった「吹けよ〜」の疾走感で幕を開け、2「ピロウ・オブ・ウインズ」の牧歌的なメロディ、3「フィアレス」のフォーク的なリフとアレンジ、4「サン・トロペ」のコミカルなストーリーテラー、5のブルース調など、様々な音楽スタイルを取り入たり、それまでの彼らにはあまり見られなかったグループとしての纏まり感じられるなど、バンドとしての成長を感じる。バンドの人気と評価が落ち着いて、レコーディングに時間をかけられるようになったのか、曲の細部に効果音を散りばめたり、手間暇をかけて作りこまれている印象だ。
そして「エコーズ」は、必殺の単音ピアノではじまる、哀愁と幻想が織り成す23分の一大ドラマ曲だ。この曲に初期ピンクフロイドの魅力の視覚的なイメージを映し出すトリップ感や神秘的な霧のサイケ感などがたっぷり詰め込まれると同時に、以降に顔を見せる大仰な盛り上がりや、人間らしさもみせて、過去の集大成であり未来を予言した曲だと思う。個人的には最も、ピンクフロイドらしいと思っている1曲。ピンクフロイドってどんなバンド?と聴かれたら、これを大音量で聞かせたい。中盤の静寂の嵐は、最初はイマイチだったけど、このトリップ感がなければ随分素っ気無い曲になっていたことだと思う。
すばらしい代表曲2曲と、水準以上の小曲。実験色の強いアートロック志向から、大きな視野をもったロックバンドへの脱却が見事な傑作。


おせっかい
posted by ひろりん at 22:56| Comment(4) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月30日

ルルベル三世

ブログ、今日メンテナンスがあったらしく、少しはアクセスしやすくなったようだ。

今日の1枚。
PINK FLOYD / ATOM HEART MOTHER (1970)

通算5作目の初期の代表作。タイトルもバンド名もなく牛(名前はルルベル3世)がでーんとコチラを見る作品内容とはなんら関係のないヒプノシス作成のジャケットデザイン、直訳ながらインパクトに満ちた「原子心母」という邦題と、音以外ですでに話題は豊富。A面すべてを使った23分に及ぶ表題曲と、B面の小曲という構成。
大曲「原子心母」はバンドが作成したラフなテープに、ロン・ギーシンがチェロ奏者と10人の管楽器、20名にも及ぶ合唱団を起用して重ね合わせてアレンジしたものだが、本格的なクラシック作品にはなり切らず、ロックな部分やサイケデリックな部分などを残して作りこまれていない部分が逆に新鮮だ。ギーシンを含めバンドは、限られた時間と予算の中の製作ということで出来に満足はしていないようだが、長尺曲の構成力やテーマとなるメロディの壮大さなど、後の作風への試金石となっている部分が興味深い。
B面はニックを除く3人がそれぞれに曲を持ち寄っていて、ロジャーがアコースティックに脆弱さをさらけ出す「イフ」、リックの軽快なメロから意欲的な展開を見せる「サマー68」、デイブの牧歌的なメロディが新鮮な「でぶでよろよろの太陽」と、三者三様の表情を見せてくれて面白い。最終曲の13分の朝の風景は、ミュージック・コンクレート(楽器を使わない音楽)の実践なのだろうがちと退屈。
実験性に富んでいながら、なんと当時イギリスではアルバムチャートで1位を獲得、日本でもオリコンで15位と売れた。話題性もあるだろうが、今の時代から見ると驚異の評価。プログレが最も(唯一?)プログレッシブだった頃の代表作。「ピンクフロイドの道はプログレッシブロックの道なり」との名言は、この帯に書かれていたものである。

駄目だなあ。ピンクフロイドを語るには荷が重い・・


原子心母
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2004年08月12日

レイン・トゥリー・クロウ

お盆明けまで仕事は苗への水かけ程度。
本ばっかり読んでいる。
今日は、源氏物語の現代語訳を比較してみようと図書館に籠もる。
僕自身、最初に読んだのは与謝野源氏なんだけど、15年ぶりに読んでみると意外と難しくてびっくり。こんなに読みにくかったっけね。ただ、描写表現なんかは、やはり女性作家らしい視点の感じられるもので、紫式部という女性の書いた物語といったところが強く感じられるところ。それに比べると、谷崎潤一郎訳の方は、主語が省かれていたりして古典という性質を強く感じながらも、現代人でも読みやすいように巧みな言葉遣いと文章表現で、いかにも「文学」という格調すら感じさせる印象だった。瀬戸内寂聴さんのは、谷崎源氏の延長線上といった感じだけど、幾分柔らかい感じ。今泉忠義さん(誰?)のは、原文に忠実なんだけど面白みがない論文調といった感じ。
もちろん、1帖「桐壺」の触りだけを読み比べただけなんだけど、これだけ一つの原作から様々な訳が試みられるというのは、ちょっと比較対照が見つからなくて面白い。それだけ原作が偉大で魅力的だということだろう。谷崎に至っては、再々訳だから最終的に3回も訳しなおしているくらいだ。谷崎源氏、本格的に読んでみようかなあ。

今日の1枚。
RAIN TREE CROW / Same (1991)


シルビアン、ジャンセン、バルビエリ、カーンによる実質的なJAPAN再結成作品。
インプロビゼーションを主体としながらも、耳触りがよく適度な緊張感と難解さをもった会心作。シルビアンの音楽修行の延長に3人が乗っかったという感じだが、ジャンセンのトコトコとした浅いドラムや大人しいながらもカーンのフレットレスベースが乗り、そしてシルビアンの声が乗ってしまうともはやJAPAN以外の何者でもない。もちろん過去の姿ではなく、音楽的にもより深く重みをもった成長した新生JAPANの姿を伴ってだ。成長した4人が成長した音楽を作り出すんだから、これほど再結集の意義として妥当なケースは稀なことだ。
曲の多くは即興的なフレーズの積み重ねで、おそらくは膨大な録音を編集によってカット&ペーストして作り上げたんだろうが、テンションは高く、作品全体を通して冷涼な荒野のようなイメージの統一性も感じられる。そしてシルビアンの低音で抑揚のないボーカルが、抽象的なイメージに色づけをする。胡散臭さと紙一重の高尚さを漂わせる。もちろん、商業性は皆無。JAPANを知らずにこれを聴いてもピンとこないんだろうし、ミーハーでJAPANを追いかけていたファンには難解すぎる。傑作だとは思うけど、聞き手を選ぶタイプの音楽でありタチが悪い。
結局再結成は、自分のソロだと言い張るシルビアンと、再結成JAPANだと主張する3人が対立。あえなく、ツアーに出ることも無く解体されてしまう。金儲けの才能ゼロ。プライドやらイデオロギーやらに振り回されて、エゴをぶつけ合い仲違い。どうしようもなく不器用なところが面白すぎるし、だからこそこんなストイックな世界が作り出せるんだと思う。

レイン・トゥリー・クロウ(CCCD)
posted by ひろりん at 23:36| Comment(2) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月11日

苦境と前兆

新しいヴィダルの発売に僕も反対します。
これ以上、小悪魔が増えてどうするんだ。

今日の1枚。まだまだつづく。

DAVID SYLVIAN + HOLGER CZUKAY / PLIGHT & PREMONITION (1988)

元JAPANのシルビアンと、ジャーマンプログレバンドCANのホルガー・シューカイのコラボレーション作。18分と16分の2曲のみの実験色溢れるアンビエント作品。
PLIGHT(苦境)という1曲目は、「ゴーン・トゥ・アース」録音後の86年2月に単身ドイツに渡ったシルビアンが、シューカイ、カール・リッピガウス(ケルンのDJ兼ジャーナリストらしい)の3人で行った、ギター、テープ、ラジオ信号などの雑音を詰め込んだものを、後日シューカイがダビング編集を行ったもの。PREMONITION(前兆)と題された2曲目は、87年2月に二人だけで仕上げ、あまりダビングなどは行われていないとのこと。
シルビアンによると、「聴き手のイマジネーション上の視覚を重視した作品」だという。たしかに遠くの方で不気味に鳴り響くノイズの霧は、物質界というよりは精神世界を思わせるものだ。「根本的に音楽は視覚的な音楽形態になる可能性を示している」のだそうだ。そんな実験をアンタがやらないといけないのかという気もするが、ファンとしては付き合うしかないジレンマが救いようのない迷宮だ。2曲目の方が、多少楽器の音を感じさせるが、それでも十分に聞き手を寄せ付けないオーラを放っている。
難解というレベルを超越した理解不能な領域。人間ごときが近づいてはいけないような荘厳さは、神の領域すら思わせる。シルビアンの音楽修行の中でも究極の作品だと思う。良し悪しは、判定放棄。

Plight & Premonition
posted by ひろりん at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月10日

遥かなる大地へ

じつは、1ヶ月くらい、ずっと忙しかった。
ちょっと余裕がでてきた。

今日の2枚目。関係ないがシルビアンに似てるって言われたこともあるのだ。
DAVID SYLVIAN / Gone To Earth (1986)

邦題は「遥かなる大地へ」。ロバート・フリップやビル・ネルソンなどが参加した2作目のソロアルバム。2枚組の圧倒的なボリュームで、ボーカル編7曲とインスト編10曲に分かれた構成。プロデュースは、シルビアンとスティーブ・ナイ。
ジャケットから本人の顔が消えたことからもわかるとおり、コマーシャリズムとの距離がさらに深まり、より耽美な世界が広がっている。かろうじてカッコいいと思えるのは冒頭の1曲目くらいなもので、あとは淡々としていてフリーフォームな演奏と相俟って、気を抜くと眠気に襲われる心地よさを漂わせる。そんな中で、耳を捉えるのは、ほぼ全面に渡ってサポートしているロバート・フリップ。いかにもこの人らしい胡散臭いギターの音色や、フリッパートロニクスのアンビエント感などが、シルビアンの思慮深い声とよくマッチしている。相性なのか、フリップの歩み寄りなのか判断がつかないけど、90年代のシルビアン&フリップでの共演への最大の布石になったのは間違いない。
ボーカルパートでは、シルビアンの声を堪能でき、多くの曲でバンド形態での演奏になっていて、メル・コリンズの参加などもあってそれなりに聞き込む楽しみがあるが、インストパートは難解。すべてがネルソン、フリップ、ナイ、B・J・コールにそれぞれ個々にシルビアンと組むいう2人ユニット形態となっていてまるで、現代音楽界の大物の側で修行するシルビアンを見せられているようだ。とても穏やかで静的な美しさに溢れてはいつつ、宇宙的な無限の広がりを見せるものの、やや退屈な印象。聞き手の精神に訴えかけるよりも、自分の修行に手一杯といった感じだ。ただ、聞き手に緊張感を強いることがないのは、間口が広く入り込みやすい。この辺の軽さが未熟さでもあるんだろうけど。
商業性は皆無、ストイックなまでのアーティスティック志向。融通のきかないところが、いかにもこの人らしいところ。



Gone to Earth [2003 Reissue]

でもアンタ・・
多くの人には睡眠薬ですからっ。残念!
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ドリーム・オブ・リーズン

今日の1枚。
MICK KARN / DREAMS OF REASON PRODUCE MONSTERS (1986)

しばらくの間、彫刻に没頭していて音楽界から遠ざかっていたカーンの「心のスケッチ」以来となる2作目ソロアルバム。
前作の変態的ポップス作品とは打って変わって、深遠で荘厳ともいえるスケールの大きなインストが中心。海中の深海にいるような巨大な闇と、不気味にうごめく謎の生物のようなベース等が作り出す独特の世界。サックスの響きは、迷光のように海中を彷徨いつつ鈍く輝く。流行とはまったく関係のない音楽は、カーン自身の人間的な成長と音楽的な成熟を感じるところだ。
目玉はシルビアンがボーカルで参加した「ブイ」と「ホエン・ラブ・ウォークス・イン」。シルビアンとは水と油のようなキャラクターだが、音楽的な相性では絶妙のバランスで息のあったところを聞かせてくれる。両曲とも、解散後独自の成長を遂げた個性をぶつけながらもお互いへの歩み寄りが感じられる名曲だ。
破天荒なところはなく、とても丁寧に作り込まれた良質のアンビエント・ポップス。シルビアンの音が絵画的な趣があるのに対し、こちらが立体的な表情を感じさせるのは、彫刻からの感性のフィード・バックなのだろうか。


Dreams of Reason Produce Monsters
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2004年08月07日

ブリリアント・トゥリー

今シーズン初のキャベツの植え付け。
今の時代は全自動移植機で植えるので楽なものだ。
カチャン、カチャンと一定の規則音とともに植えつけていくので、眠気との闘いでもある。
1000uを2時間ほどで植え付け。2500u植えた。
「めざせ、カチャン、甲子園」。なぜか、今思い浮かんだ文句。

今日の1枚。誰もついてこれなくてもいいんです。
DAVID SYLVIAN / Brilliant Tree (1984)

デヴィッド・シルビアンのファーストソロ。ジャパンからジャンセン、バルビエリの他、親交の深い坂本龍一、さらにドイツプログレ界の大物ホルガー・シューカイ、現代音楽家ジョン・ハッセルなど多彩なゲストを迎えて制作された。プロデュースはシルビアンとスティーブ・ナイ。A面はジャパンの延長線上ともいえる路線、B面は後のインスト路線を思わせる実験色とガラリと印象は異なる。基本的には各参加ミュージシャンの感性に任せて演奏させてそれを捨拾選択していくような手法が取られたようだ。
A面の冒頭1のリズムの洪水は明らかに「ブリキの太鼓」を連想させるものだが、それ以外はアコースティックな楽器を使うなどして音触りに新鮮味を感じる。歌いまわしも独特のメランコリックさで、らしさは十分だ。代表曲の4「レッド・ギター」は、先鋭的な響きをもつハイパー・ポップスという感じで、数年後の世捨て人的な隔世感はなく、時代性を感じるものだ。
A面はずいぶん聞き手を意識したプロデュースがなされているんだけど、一方のB面はほったらかしというか、シューカイとハッセルに物申せなかったのか、ラフで静止画的。B1は抽象画、B3は風景画といったところか。ただ、そこに煌く感性の鋭さのようなものは、十分に刺激的である。単に円熟していないという理由もあるかもしれないけど。
シルビアンの過去を集大成し未来を予見しているといった1枚。A面の路線で攻めれば大傑作アルバム、さらに商業的にもいい線に行けたかもしれないんだけど、そうしないところがこの人のモラトリアム気質であり、僕が惹かれてしまう本質なんだと思う。


Brilliant Tree (Rmst) (Dlx)

勝手にRSSで某所を拾ってみた。
ティーカップも進化してるねえ。
クリステルといえば滝川に間違いない。
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2004年08月06日

アフター・ア・ファッション

ヴァニラ・ムードのマリコちゃんがゲームに挑戦。
不器用でボロボロだったのが、逆に好感度アップ。
今日もしかして初めてしゃべったか。


今日の1枚。ゴーイング・マイウェイ。

MIDGE URE & MICK KARN / After A Fashion (1983)

ウルトラヴォックスのミッジ・ユーロとジャパンのミック・カーンのコラボレーション唯一作。本作は12インチシングル盤で、シングル「After A Fashion」と、そのエクステンデッド・バージョン、そして「Texture」の3曲を収録。ジャケットの写真は、リンダ・マッカートニー撮影。
「After A Fashion」はウルトラヴォックスの欧州ロマンと、カーンのエキゾチックな感性の幸福な融合。執拗に繰り返す退廃的な響きに満ちたリフと、ウネウネしたベースが心地よい。歌もねちっこくも憂いを帯びた感じで、ヘンテコなリズム感でとともに奇妙な化学変化が起きている。もう1曲の「Texture」の方は新世代フリップ&イーノのような現代&アンビエントで理解不能。
「After A Fashion」を聴く限りは、どちらの持ち味も出ているし、相乗的にクオリティは高くなってウルトラヴォックス+カーン以上のスリリングでポップな近未来ロックが出来ている。これを聴けばどちらも音楽的な野心満々という感じで、このあとに予定されていたフルアルバムをぜひとも聴いてみたかった。やっぱり頓挫の原因はこのシングルが売れなかったから?残念。

040806-231812.jpg



ダークネスがドタキャン!

ちょっと、言ってみただけですたい。
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2004年08月05日

心のスケッチ

いや、いずみ先輩の悪女っぷりに震え上がった。
怖いよう。
でも島へ来たのはいいが、きっと柴田さんの方へ行っちゃうんでしょ。
かわいそうなピエロ。せめて司法試験だけは合格させて欲しい。


今日の1枚。時系列に沿っていこう。

MICK KARN / Titles (1982)

ジャパン解散を念頭においた休止期間中にメンバーの先陣をきって発表された、彫刻家兼変態ベーシスト、ミック・カーンのソロアルバム。旧A面がインストゥルメンタルサイド、B面がヴォーカルサイドと分かれている。
インストサイドでは、バルビエリとジャンセンらに少し手を借りた以外すべての楽器を担当し、あのウネウネしたフレットレスベースが全面にフューチャーされる個性的なもの。ジャンセンがコンガを叩く1は、さすがにジャパンに接近したところを見せるが、あとは独創的な自己中心的ともいえる世界が広がっている。ジャパン本体や他のメンバーのソロで感じる内省さをあまり感じないのは、キャラクターの差異が明解に現れているし、なにより自分のやっている音楽や行動に自信を持っているのが伺えて興味深いところだ。
ボーカルサイドでは、バルビエリ&ジャンセン、リッキー・ワイルド(キム・ワイルドの弟)、アンジー・アッシャー(ボウイの奥さん??)などが参加しているが特に存在感はない。カーンも下手でも上手くもないボーカルを披露しているが、いちばん目立っているのはやはりヒョロヒョロとしたベースの音である。7ではちょっぴりセンチな80年代歌謡なメロディを聞かせるが、バックの演奏に耳をやるとビヨーン、パウーンとやっぱり普通ではない。というか変。ちゃんとやられてもつまらないけど。
まあ、この人に普通のことを期待はしてないので、イメージを裏切らない作品であることは間違いない。ただこれ以降、音楽的な深度が深まりだんだんと個性が丸くなっていくのをみると、僕のイメージする「派手なメイクでちょこまかと横走りしながら超絶変態音色ベースを弾きまくる」というミック・カーン像が最もよく現れている作品だと思う。個性的すぎて名盤なのかどうか判断不能だけど、個人的には良い印象を持っている1枚です。


Titles
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2004年08月04日

ストーリーズ・アクロス・ボーダー

目はよくなったみたいだよ。
念のため視力検査をしたら0.1以下だった。
・・あんまりよくなった気分にならないのは気のせい?


今日の1枚。まさか、JAPAN祭り?
STEVE JANSEN AND RICHARD BARBIERI / Stories across borders (1991)

実質的なジャパン再結成ユニットであるレイン・トゥリー・クロウが1枚の作品を残して解散。その直後に発売されたジャンセンとバルビエリのコラボレーション。当初は80年代にこの二人でやっていたドルフィン・ブラザーズの2枚目と言われていたが、実際はジャンセン=バルビエリ名義で発表された。ドルフィンブラザーズを含め、二人は行動を共にすることが多く、本作で解散後は3作目になる。ミック・カーンが1と4でベースとサックスを、後にバルビエリの奥方となるスザンヌ・J・マーフィーが6でボイスで参加しているだけで、後はすべてのインストゥルメントを二人でこなしている。プロデュースも本人。
直近作ということもありレイン・トゥリー・クロウと空間性に富んだ実験的な雰囲気に類似しているが、即興性は後退して曲として輪郭が見えるし、ボソボソとした歌が無いだけメロディを感じるポップス寄りな作品だ。エスニックっぽい雰囲気や、JAPANを彷彿させる雰囲気など、表情も豊かで頭でっかちな音楽にしては軽やかで聴きやすい。そしてやはり、カーンのベースは相性がいい。1や4での個性的なフレーズの絡みあいは、この人たちにしか作り出せない唯一無二の異空間だ。
環境音楽や実験音楽につきものの、とっつきにくさや胡散臭さはあまり感じず、洗練されたスタイリッシュなアンビエントロックという感じだろうか。独特の空間性溢れる音作りに圧倒されます。



ジャンセン=バルビエリ/ストーリーズ・アクロス・ボーダーズ

関係ないけど、イチロー凄いなあ。
毎日MLBダイジェストにかじりついてます。
posted by ひろりん at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月03日

グッド・モーニング

ぜんぜん知らなかったけど、ネットのお友達に大変なことが起きていた。
こういうときに、本当に自分の無力さがもどかしく、やるせない。
当事者にしかわからない苦しみや辛さを思うと、百万言を費やした励ましでも励ましになるかどうか。
黙って成り行きを見ているしかないのかな。

どうしようも無いけど、とりあえず僕は僕らしくいるしかない。
いつもどおり、日記書いたり音楽聴いたりしながら、また高度なダジャレが飛び交うのを心待ちにしているのです。


いつもどおり今日の1枚。

JANSEN,BARBIERI,KARN / Beginning To Melt (1994)

集合離散を繰り返す元JAPANの残党3人名義による94年作。レイン・トゥリー・クロウでシルビアンと喧嘩別れしたが音楽自体の出来には満足していたようで、基本的にはその延長線上のアンビエントかつインテレクチュアルな作品。3人名義だが、実際に3人だけで成立しているのは1だけで、4では客演ボーカルを含み、6ではなんとロブ・ディーンが参加している。それ以外は90年代プログレ界の要注意人物デヴィッド・トーンに3人が別々に絡んだり、バルビエリと奥さんのオイスターキャッチャーなるユニット名義曲といった構成。
トーンが3人と個々に絡む3曲は実験色が強く才気が尖っていて近寄りがたいものだが、それ以外は新世代のプログレともいうべき、空間を意識させる音響感溢れる音作りや複雑怪奇なリズムの洪水などインテリ心を刺激してくれるとともに、音楽としても普通に楽しめる明解さも持ち合わせている。
バルビエリの奥さんの透明感溢れる美声がフューチャーされる2は天上界のような居心地のよさを感じさせ、本当はシルビアンに歌わせたかったんじゃないかと思わせる4のキャッチーでいて3人の個性が色濃く放出される佳曲に大満足。そして極めつけはJAPAN以来となるロブ・ディーン参加の6で、上品なリフとフリーな展開が絶妙に絡み合いつつ展開していくインストゥルメンタル曲。曲もいいが、一人だけ居ないシルビアンへのあてつけとしか思えない「エゴ・ダンス」というタイトルにもニヤリとさせられる。
心地の良い実験色に溢れた作品。JAPAN解散後ではレイン・トゥリー・クロウに匹敵する完成度だと思う。

ビギニング・トゥ・メルト
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2004年07月30日

魂の叫び

夕方、目に農薬がかかる。
大慌てで夜間診察。
とりあえず適切に処置はしてくれたものの、黒目(白目?)が減少して視力障害を起こす可能性もあるらしく、しばらく病院通いになってしまった。
家に帰ったら、独眼竜政宗を家族が見ていた。


今日の1枚。

MOODY BLUES / Long Distance Voyager (1981)

78年に活動を再開したが、グループの要(だったと思う)マイク・ピンダー脱退。代わりに、レフュジーやイエスに在籍したパトリック・モラーツが加入した新生ムーディーズの大ヒット作。
先に言ってしまうと、このバンドの全作品のうちで個人的にいちばん気に入ってます。シングルヒットした2曲、アコースティックな疾走感の「魂の叫び」と凝った自家製ポップス「ジェミニ・ドリーム」が文句なく素晴らしく、8曲目から続くピエロの悲哀を盛り込んだ組曲も抜群な出来。そしてその間を埋める楽曲も水準以上と非のうちどころは無い。新加入のモラーツは、カラフルなキーボードの音色とセンスの良いキーボードワークが冴え、プログレに片足を突っ込んでいたかのようなそれまでのバンドのイメージを完全に払拭し、最大の持ち味である温かいイメージはそのままに、大衆にもアピールするポップスバンドとしての形を整えた。結果、大衆に広く受け入れられ、アルバムは3週間1位に輝くなど、同時期に高レベルな作品を出したジェネシスやキャメル以上に売れた。
もちろんプログレとはかけ離れてはいるが、8曲目以降で見せるおもちゃ箱をひっくり返したようなサーカスを表現したり、アラビア風の異国情緒を漂わせたりするところは、思わず唸ってしまうところ。また「人生は2万2千日のショー」では、明解な切り口で人生について考えさせるなど、らしさは十分だ。「不安な日々」なんて10代の頃に歌詞を読んで片思いに身を焦がしていた思い出の1曲ですらあるほど、時代を超えて聞き手を心酔させてくれる。
80年代ということや売れてしまったということで多少影が薄い気がするけど、グループの歴史上は必然的な流れの上で、しかも最良の作品を生み出したということからも、今一度世間に評価を問いたい1枚。受験勉強をしながら一緒にコレを聴いてたT君、見てたら連絡くれ。



Long Distance Voyager
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2004年07月23日

イングリッシュ・セツルメント

今日の1枚。
XTC / English Settlement (1982)

個人的にXTCは、最も英国らしいバンドだと思っているが、そんなXTCのディスコグラフィの中でもさらに最も英国を感じさせるのが本作。オリジナル盤は全15曲アナログ2枚組だったが、英国以外では日本盤は曲がカットされたアナログ1枚など不完全な形でのリリース、さらにCD化されても当初は1曲削られていたりで、完全な形で手に入るのは90年代になってからだった。プロデュースは、ヒュー・パジャム。
「英国らしいロック」と言われても漠然な定義しかないけど、個人的には「陰りのあるメロディとセンス&ユーモア」だと思う。広大な大陸に住む民族には感じないナイーブな感性や曇り空を思わせる陰鬱さなども。そういった要素を、そのまんま凝縮したような本作。前作の延長線上だが、ややリズム感を後退させてアコースティック色を強めたような印象だが、執拗に繰り返すリフレインは呪術的な雰囲気を漂わせ、深い森へ知らず知らずに入り込んでしまう。明解なメロディの笑顔に安心して身をゆだねていると、笑顔の裏の苦悩と闇を一緒に背負わされる感じだ。前作ほど躍動感はないが、密室で作りこまれた息苦しさのようなものも、いかにも英国らしいし共鳴できる種類の陰鬱さだ。
クドイぐらいに甘いメロディやコーラス、凝ったアレンジなど、相当アクは強い。アクを取れば、広域的に不特定多数を満足させるタイプの音楽に近づける気もするけど、そのアクこそが最高のうまみであり媚薬である。大人数で楽しむというより、家でこっそりと一人で聴いてニヤニヤするタイプ。例えるならロックファンの隠れ家か。
とはいえ意外にも、XTC史上、最もセールスのよかった作品で、アルバムは全英5位、シングルの「センシズ・ワーキング・オーヴァータイム」は10位のヒット。なんだ、みんな好きなんだ。

English Settlement (Lp-Facsimile) (Rmst)
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2004年07月17日

スター誕生'81

一日中トラクター。
トラクターのオーディオは、カセットテープしか聞けないんで、昔作ったテープを適当に持ち出して聞きながら仕事。
今日のは、どうも80年代特集らしく、サヴァイヴァーやミスター・ミスターやブロンディ、ヒューイ・ルイスにリック・スプリングフィールドやジョン・クーガーなどが入っていた。
「アイ・オブ・ザ・タイガー」や「ラプチュア」とか、今でも頭の中でぐるぐるしている。

そんなぐるぐるしている中の今日の1枚。

SHEENA EASTON / Take My Time (1981)

イギリスはスコットランド出身のシンガーのデビュー作。なんでもテレビ番組で、レコード会社にオーディションを受けさせるという企画で、見事(演出どおり?)EMIと契約、デビューを果たしたのだという。話題性もあって瞬く間にイギリスでヒット、アメリカへも進出し「モーニング・トレイン」は全米1位に、「モダンガール」も18位と大ヒット。グラミー賞で最優秀新人も獲得するなど、これ以上にないほどのデビューを飾った。
圧倒的ではないが確かな歌唱力と表現力を持ち合わせるとともに、チャーミングな表情や凡百の新人とは異なる確固とした自分のキャラクターを持っているなど、現在から見ても魅力は色褪せてはいない。当時のことは知らないけど、きっとオリビア・ニュートン・ジョンの後継者のような扱いがされていたんだと思う。そしてそのキャラクターを生かした楽曲が佳曲揃いだ。夫の帰宅を待ちわびる「モーニング・トレイン」は古典的ポップス、現代的な奔放な女性を歌う「モダン・ガール」は典型的な80年代歌謡曲と、大ヒット2曲は対比がお見事。アップテンポな曲はさすがに時代を感じさせる面もあるが元気で表情豊かな彼女の歌声はそれを帳消しにしてくれるし、スローなバラード曲はしっとりと安定した表情を見せて不安なところは無い。特に旧B面の大ヒット曲と湿っぽいバラードを織り交ぜた展開はかなり贅沢でレベルが高いと思う。
色気やダンスに走らず、正統派ポップスシンガーとして正統的によくできた作品だと思う。落ち込んでいるときに元気を貰える様な、音楽の王道的な効能も持ち合わせている。最近というか90年代以降、こういうシンガーって少なくなってきたよね。後追い世代にも関わらず、爽やかな印象を持ち続けるアーティストの一人です。
一時期、シーラ・Eと混同していたことは内緒。


モダン・ガール

ちょっと帯が面白かったんで抜粋。
「スター誕生’81、シーナはシティ・エレガンス。シーナ、きみはキュートで可愛いポップアイドル。」
いい時代ですなあ。
posted by ひろりん at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月12日

ノー・クォーター

ちょっとサボり気味。
2日とも、ペイジプラントを聞きながら眠りに落ちてしまった。

というわけで今日の1枚。

JIMMY PAGE AND ROBERT PLANT / No Quarter (1994)

ついに実現したペイジとプラントの合体。当時はツェッペリン再結成!といった感じで異常的な盛り上がりだった。ニュースステーションにも生出演して、イカレースのニュースのあとに登場したことを随分根に持っていたのは有名な話。
もともとはプラントにMTVからアンプラグドの出演依頼があり、ペイジを誘ったという経緯らしい。ただ、良くありがちな再結成に見られたくないという今となってみれば意固地なこだわりを持っていたため、アンプラグドでの演奏ではハードロック調の代表曲を外し、ケルト&フォークなアコースティック調の曲のセルフカバーや、「カシミール」や「ノー・クォーター」の新解釈などで構成された。そのときの録音(だと思われる)に、新曲4曲を加えたのが本アルバム。
やはりツェッペリンナンバーの再演は、ジョンジーもボーナムも居なくても盛り上がる。アコースティックなツェッペリン時代の名曲は、二人のコンビネーションとともに色褪せを感じさせないものであるが、新鮮味はなく、どちらかといえばノスタルジーすら感じる。「カシミール」の新アレンジにしても原曲のアレンジが勝っていて斬新とはいえず、かといって、「ノー・クォーター」はやりすぎていて原曲のよさが失われているような感じ。ただの再結成ではなく新しいものをやりたい、と言っていたわりには全体にちぐはぐで音楽的に何をやりたいのかが中途半端にうつる。「天国への階段」や「ロックンロール」なんかを絶対にやらない!というだけの再結成という字面へ神経質になっているだけのような。
ただ新曲はよく頑張っていると思う。多少リズムがループしている5や9が残念だが、ツェッペリン時代から取り組んでいた脱西洋音楽への挑戦といったものが結実寸前といったところだ。この路線ばかりで1枚作るというのも面白かったかもしれない。間違いなく売れないが。
ツェッペリンファンにとっては、良くも悪くもツェッペリンの偉大さを再確認できてしまう作品。今となってはジョンジーも交えての再結成でもよかったと思う。ドラマーがよく頑張っているだけに、何かが起きたかもしれない。伝説の汚点というほどではないが、ファンの期待を飲み込むには器が小さすぎた。期待が異常に高すぎるかもしれないけど。

ノー・クォーター(UNLEDDED)
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2004年07月10日

フィーリング・ホット

メロン出荷中。
順次発送中。

今日の1枚。
COVERDALE・PAGE / Same (1993)

ホワイトスネイクのデビッド・カヴァーデイルとジミー・ペイジとのかなり本気なユニット。ペイジはプラントとツェッペリンを再結成したいという願望があったが、なかなか首を縦に振らないプラントに業を煮やしてディープパープル〜ホワイトスネイクと屈指の実績と実力をもつカバーディルを引っ張り出し結成したという噂。
圧倒的な迫力のツェッペリンクローンともいうべきサウンド。ペイジはツェッペリン時代に培った音楽性と方法論を、惜しげもなく開放している。随所にらしさを感じさせて、強烈に存在感を放つ。ツェッペリン解散以後では彼のベスト、そしてそれまでの集大成的な趣さえ感じさせる。緊張感もあるし、ツェッペリンサウンドの要はやはりペイジのギターだと再認識させうるほど充実している。カヴァーデイルのボーカルに関しては批判が多いけど、ツェッペリンの大ファンだったというんだからどうしてもプラントみたいになってしまうのは仕方ないところだし(ペイジ・プラントよりもツェッペリンらしい)、やはりプラントでは出せないワイルドな咆哮とツェッペリンサウンドの融合は新鮮な響きだ。リズム隊も個性には乏しいが、水準レベルで特にマイナスではないし、全体としてよく出来ていると思う。コンポーザーとしてもペイジの息が行き渡っているようで、面目躍如といった感じだ。
(少なくともツェッペリンファンにとっては)これだけの高水準の作品を作っておきながら、カヴァーデイルは存続に意欲を見せていたらしいが、ツアー終了後解散。ペイジはプラントと再び組むことになる。ペイジが改めてプラントの必要性を感じたのか、プラントがカヴァーデイルとのコンビネーションに危機感を持ったのか知らないが、ともあれペイジ=プラント結成の最大の布石になった作品であることは間違いない。とはいえ、通過点的な評価だけでは、余りに手落ちすぎる。10年を経た今、再評価が進むのは間違いない作品だと思う。

見直す間もなく寝る。

Coverdale Page
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2004年07月09日

アウトライダー

暑い。
すこし前に、秋口に収穫予定のメロンをハウスに植えたが、今年は暑さを予想して新兵器を導入したので安心。
植物性の物質でできたオランダ生まれの遮光ペイント、レディソイル
これはいいね。
ひろりんアウォード2004(今作った)にノミネートだね。


今日の1枚。
JIMMY PAGE / OUTRIDER (1987)

ツェッペリン解散後はサントラなどあったものの、事実上のファーストソロアルバム。
ゲストとして、ボーナムの息子ジェイソン・ボーナム、ボーカルとしてジョン・マイルス、クリス・ファーロウ、そして1曲のみロバート・プラントも参加。
オーソドックスなタイプのロックナンバーが並ぶが、当初は2枚組になる予定だった楽曲を精選したためかどれも良く出来ていてクオリティは高いと思う。随所にツェッペリンを感じさせるギターリフや、アレンジなども聴けて、楽曲全体にツェッペリン時代のようにペイジ色が行き渡っている。どうしてもファンとしては過剰に期待をもっているので、一人ツェッペリンのような迫力のなさを感じるのは致し方ないところだが、ボーカル、特にクリス・ファーロウはなかなか力強く表情も豊かだし、ボーナムの息子も父を大分意識しているけど健闘していると思う。
いちばんの聴き所は、プラントがボーカルの「オンリー・ワン」。やっぱりこのギターとボーカルのコンビネーションはツェッペリンそのもの。体が震えずにはいられない。ペイジもプラントも化学変化が起きたかのように、ピッタリと息のあったところを見せ付けた。ただしかし、これがいけなかったと思う。せっかくファンの望むツェッペリンの延長線上のギターと新顔のゲストメンバーと新境地ともいえる方向へ漕ぎ出そうとしながら、一方で過去の遺産であるプラントとのコンビでファンの御機嫌をとるような。未来に行くのか過去に行くのかが中途半端な印象さえうける。過去も現在も未来も踏まえた上でのペイジ流のバランス感覚だったのかもしれないが、ペイジとプラントの相性のよさを忘れようとしてるのに鮮烈に思い出させてしまった。
せっかく、ファームでは感じられなかった本領を発揮しているのに、作品全体の印象ではちぐはぐさが拭えない。けっこう個々(特に旧B面)では聴き所が多いんだけどね。それほどツェッペリンに思い入れのない人の方が素直に良さがわかるかもしれない。


Outrider
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2004年07月08日

アリスは大統領

ハンガリーにはTin-Tin Quartetというジャズロックバンドがいるらしい。
ロシアにはヴァイアグラという女性ユニットもいるらしい。
コラボレーションしたらどうなるんだろう。


今日の1枚。ツェッペリン祭りの様相。

THE FIRM / Same (1985)

元ツェッペリンのジミー・ペイジ、元バッド・カンパニーのポール・ロジャースの二大巨頭を中心に結成されたバンドのファースト。ベースは後にブルー・マーダー(知らん)、ドラムは後にAC/DCやDIOに参加するサイモン・ライト(ちなみにオーディションにはブラッフォードも来たらしい)。2枚の作品がある。
二人のルーツでもあるブルースを基調としたバッド・カンパニーの延長のような曲調に、多彩なペイジのギターが絡む。ツェッペリンが解散し5年を経てパーマネントなグループとして再始動し、周囲の期待も相当に大きかっただろうが、ペイジはツェッペリンの幻影を引きずることなく、ロジャースのボーカルの個性にあった演奏に徹している感じ。もともとツェッペリン時代も楽曲全体を考えてギターフレーズを構築するタイプなんで、意外なことではないものの、やはりちょっと大人しすぎる存在感だ。ただ、こじんまりとしてはいるものの、都会的な雰囲気で洗練された新時代のブルースという感じもするし、リズム隊もタイトなドラムとよく動くベースとバランスがよく、大人のロックという印象。ねちっこさと無機質さの同居した「レディオ・アクティブ」なんていう代表曲も生まれた。
アルバムもまあまあ売れたし、それなりに頑張った作品だとは思う。ロジャースのボーカルも安定しているし、ペイジのギターもうねるようなグルーブ感はないものの躍動感を感じさせる。でも、比較対照がどうしても高くなってしまうし、ファンの要求の高さも尋常ではないところがどうしようもなく不幸だ。バッド・ツェッペリンとか言っていじめたのは誰だ?


The Firm
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2004年07月07日

ハニー・ドリッパーズ

今日の2枚目。昨日、サボったからね。

HONEY DRIPPERS / Volume One (1984)

ロバート・プラント、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、ナイル・ロジャースによるスーパーバンド。ではない。プラントのルーツである50年代60年代のR&B、R&Rの名曲をカヴァーするためのプロジェクトで、ペイジやべックはゲストという位置づけだろう。騙された!
全5曲のミニアルバム、3はレイ・チャールズや4はベン・E・キングのオリジナルではないが代表曲、5はロイ・ブラウンの作品ということだが、かなりマニアックな選曲のようだ(僕は1曲も知らん)。原曲の曲のよさもあるが、オーケストラを交え完全になりきって陶酔しながら熱唱するプラントが素晴らしい。世界一の轟音バンドの雄姿とは一線を画しているが、たぶん本来の彼の姿はコレだと思えるほど、確信と自信に満ちた歌声だ。また、5では、まるでエルヴィス・プレスリーの物真似をしているようで、彼への尊敬具合も微笑ましい。
2の「シー・オブ・ラブ」が全米5位、アルバムも売れた。思いっきり懐古趣味でいながら、どこか新鮮ささえ匂わせる。この辺は音楽のもつ次元を超えた普遍さもあるんだけど、なにより生き生きとした演奏と艶っぽいボーカルがいい。かなり本気だ。
ただ、ペイジやべックはどこで何をしてるのかあんまりわからないんだな。時代の最先端を走っているナイル・ロジャースもどこ?過剰な期待を持ってずっこけたのは、みんな同じ。

ヴォリューム・ワン
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2004年06月24日

ドラマ

下のブログはブログペットのひろぴょんが勝手に投稿したらしい。
まったくもって意味不明。
焼酎飲んで台風を通過させた?ワシはポールか。
それにしても真実は、相当ブルーだな。ひろぴょんの心の闇は深いとみた。飼い主に似るのかな。
話しかけたら、「金ー!」と叫んでいた。
どこで覚えたんだ。

今日の1枚。
YES / Drama (1980)

ジョンとリックが脱退という危機を、バグルスの二人をスライドさせるという技で乗り切った痛快作。
ホーンのハイトーンボイスは意外なほどジョンと似ているし、タウンズもカラフルなキーボードと新機材の導入などウェイクマン不在を微塵も感じさせない。そして、ジョンの思想性が取れたせいなのか、いつも以上に伸び伸びと自己主張をするスクワイアのベース、いつも以上にひきまくるハウのギターも存在感十分。そして、そのすべてをダイナミックに引っ張るホワイトのドラムは、彼のベストワークではないだろうか。
前作で不満に感じた曲の短いことによるインタープレイの中途半端さや、全盛期でも時折顔を見せた精神性に託けた冗長な部分などがすべて改善。やりすぎの大仰さはなく、適度に大仰で聴きやすい。テンションや疾走感も最後まで持続し、惰性で聞かせるという部分がほとんどない。バッキングトラックをエディ・オフォードが手がけて全盛期を彷彿させるプロデュースをみせれば、バグルスの持ち込んだ未来的ポップス感やヒュー・パジャムのエンジニアリングなどはバンドに新鮮さをもたらすことに成功している。さらにはジャケットもロジャー・ディーン。個人的にイエスに求める魅力が濃縮還元されたような感じだ。
以上を踏まえ、理論的に考えるなら、イエスにジョンは必要ないという結論になってしまうのだ。ただ、やはり外見上はよくできてはいても、どこか軽さを感じる面もたしかにある。ジョンの思想性の欠如なんていう高尚なことではなく、ドタバタ感や胡散臭さといったもの。このラインナップで「危機」をやっても、「喜々」になってしまうような。このあたりの個人的なニュアンスは、本当によくやったバグルスの二人には申し訳ないんだけどね。
この文章を書いていても、「イエスの最高傑作」という言葉が何度も浮かぶんだけど、これを言ってしまうと何かが崩れてしまう気が。評価するのに本当に苦慮する作品です。


ドラマ


こういうの好き。
http://www2.odn.ne.jp/~cbz92910/oshibori0.html
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2004年06月18日

リフレックス

師匠に習って、ブログペットを飼ってみました。
僕のブログで覚えた言葉をしゃべるそうな。
「錬金術師ー」とか「洗濯ー」とか「tako」とか、ろくな言葉を覚えていない。
そのうち勝手にブログを投稿するみたいだけど、飼いうさぎに噛まれるのはごめんということで許可していない。
けして設定方法でつまずいているわけではない。

もひとつ、最新の音楽ニュースを表示させてみました。
おお、音楽ブログという感じ。
ただ、情報元と同時には更新されないようで、4時間くらいタイムラグがあるようだ。
ま、どの情報も一刻を争うような情報ではないが。

デュラン・デュランのニューアルバム、サイモン、ジョン、ニック、アンディ、ロジャーのオリジナルメンバーで製作するのは83年以来なのだそうだ。
そっか。ネタいただき。

今日の1枚。
DURAN DURAN / SEVEN AND THE RAGGED TIGER (1983)

デュラン・デュラン全盛期の1枚。「ユニオン・ザ・スネイク」、「ニュー・ムーン・オン・マンディ」、「リフレックス」と3曲の全米トップ10シングルを擁するメガヒット作。着実に人気も出てきて、はじめて自分たちのペースで作りたいものを作れたという本作、前作の「リオ」と比べてもダンサンブルなロックに、ゴージャスさや深みが加わった。より洗練されたベースライン、複雑に絡むコーラスやシンセなど良く作り込まれている。ただカンヌ、モンセラ島、シドニーと場所を変え、6ヶ月という長期間のレコーディングのせいか、曲ごとのテンションに差があるし、作りこまれすぎてグルーブ感や疾走感が犠牲になっていると感じる面も。毎日美人をみていても飽きるというか、贅沢な注文なんだが。ただ本人たちもこの後にパワー・ステーションとかに分裂しちゃうんだから、自分たちの到達した音楽の息苦しさのようなものを感じていたのかもしれない。
とはいえ、MTV時代の寵児、アイドルなんていう側面から見ると、やってる音楽の質は高いし、誠実によいレコードを作ろうという姿勢も強く感じる。ルックスも良くてアイドルのくせにしっかり音楽も作るんだから、同時代に生まれなかったことに感謝したい。


セヴン・アンド・ザ・ラグド・タイガー

シングルバージョンの「リフレックス」よりも、アルバムバージョンの方が好きだなあ。
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2004年06月14日

ブレスレス

人工呼吸の訓練があった。
最初に見せられるビデオの解説するおじさんの髪型が、重度の枝垂れバーコードで笑いをこらえるのに必死だった。
緊急救命も大事だが、まず自分を救えよと皆思ったはず。
人の外見でとやかく言うのはなんだが、フットボールアワーの左よりも笑えるんだ。
しかも、最後にもののはずみで、ボールペンを転がしてしまい、それが机の上でくるくる転がっていくし。
普通ならNGなのに、編集者も頭に注意がいっちゃってたんだろうね。

訓練、妙に上手な人がいるよね。
「もしもし、大丈夫ですか?」「誰か救急車を」というセリフが、やたら迫真している人。
劇団の人ですか?

今日の1枚。ちゅうことで、ブレスレス。

CAMEL / Breathless (1978)

7作目。前作でゲストだったメル・コリンズが正式加入、そしてピート・バーデンスが在籍した最後の作品。
レコードのライナーを見て気付いたんだけど、邦題は「ブレスレス〜百億の夜と千億の夢」。凄く良い邦題なんだけど、これ、今は風化したタイトルだよね。
中期の傑作として名高いこの作品、前作では中途半端だったボーカルものとインストものとの対比が、ボーカル曲はじっくり聞かせ、インストはインストでしっかり聞かせるというように、曲の役割をしっかりと分担している感じで、全体としてもバラエティに富んでいるが、曲の流れ上はスムーズでいてどの曲も埋没はしていない。
フルート、ギター、オルガン、管楽器などを駆使して全体を覆う、フュージョン&ファンタジー感もより洗練されている。歌という部分を発展させたポップスな面も目立つが、優しく人懐っこいカラーも失ってはいない。叙情性という要素を外せば、本作はセカンドからのキャメルサウンドの完成形といってもよいと思う。
そして、名曲「エコーズ」の存在も大きい。スピード感溢れるイントロの泣きのギターで未だに転がります。ボーカル部がやや退屈だけど、再度の盛り上がり。良い曲ばかりの本作だが、一際印象深い曲だ。4曲目のほとんどキャラバンも面白い。
再編ブームの昨今、バーデンスが再加入!というシナリオもあったかもしれないが、それも永遠にかなわなくなってしまった。
最後の参加作ということで、最初聴いたときとはまったく別の意味で、感慨深い作品になってしまった。惜しい。


ブレスレス

「息切れ」という名のタイトル。
バンドの一つの到達点という意味がこもってしまうのは皮肉なところ。
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2004年06月13日

ミラージュ

スカパー時代劇で、「真田太平記」を見る。今回は上田攻め。
天守閣て碁をさしつつ敵を迎え撃つ、伝説のシーンに感激。
敵が神川の流れに押し流される光景は、もうちょっと迫力を出す演出はできなかったんだろうか。
でも、さすがに今週、遠路上田までいっただけのことはあって、あの川を氾濫させたんだなとかイメージが沸き立って嬉しい。
ひそかに想いを寄せる弥生が結婚してしまってうろたえる信幸も面白かった。
ナレーターも、「歴史を変えるほどの事件ではない」とつめたい。

紺野美紗子さん登場。かわいいねえ。気の強さがなんとも。
僕の中学生の頃の憧れでした。

今日の1枚。
CAMEL / Mirage (1974)

セカンドアルバム。ファーストでは「自分たちのやりたいことを手探りで模索していた」との言葉どおり、ファンタジックかつテクニカルで叙情性に溢れたキャメルスタイルともいうべき音楽性を確立させた記念すべき作品。全世界の溢れかえるシンフォニックバンドの総本山のひとつといってもいいだろう。
バーデンスは、ハモンド、メロトロンに加えミニムーグも使用(通称三種の神器)、ラティマーは以降のトレードマークともいうべきフルートを使いはじめた。とにかくこの二人の絡み合いが絶妙。アコースティックギターに絡むメロトロン、ハモンドのバッキングとフルート、そしてメロディアスな感情を得たギターが、ラテン、ジャズ、ハードロックと様々な曲調の中で冴え渡る。そして作品を覆う陰鬱なファンタジー色が全体に統一感をもたらす。
ハードなインタープレイが強烈な1、フルートが美しい2、むせび泣くギターと後半の奔放でいてドラマチックに展開する3、疾走感に溢れ、エモーショナルなインタープレイの4、そして12分にわたる大曲「レディー・ファンタジー」の全5曲。「レディー・ファンタジー」は以降ほとんど見られない長尺曲で、曲の断片を繋ぎ合わせたようなこの時代に良く見られる構造なんだけど、展開していくごとに表情を変え、感情溢れるインタープレイの応酬を経て、エンディングにむかう大作。なんでも女性との出会いから告白までを曲にしたらしく、歌詞なんかみなくてもどんな状況なんだかたやすく見当をつけられるほど。ただ、ここまで人間的な表情は、彼らの代名詞たるファンタジーとはやや遠い感じなんだけど、傑作であることに変わりはない。



ミラージュ(蜃気楼)+4
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2004年06月09日

キャメル

休み。
目的地も決めずドライブに出かけた。
自宅→<東名、中央道>→諏訪(セロリ産地勝手に視察)→<ヴィーナスライン>→上田市(真田太平記館と上田城)→野辺山高原(高原野菜勝手に視察)→<国道52号、1号>→自宅、というルート。
走行距離690キロ、15時間。

本当に行き当たりばったり。
でも天気もよくて、高原のオープンカーは気持ちがよかった。
がっかりだったけど、休館日だったのも、僕らしいといえばらしい。
もしかしたら、徳川家の領土に住む僕を、真田親子が計略で追い返したかもしれない。なんてね。
帰りは山梨から静岡を抜けて、高速道路を使わず。快走できる道ばかりでよかった。


今日の1枚。ドライブに持っていった。
CAMEL / Camel (1973)

人懐っこいメロディと、ジャズっぽいインストがスピーディに展開するファーストアルバム。
フルートは無いものの、効果的なハモンドのバッキングやメロディアスなギター、様々な表情を見せるメロトロン、すでに完成されているリズム隊と、シンフォニックの形態を整えているが、印象は大リーグボール開発前の星飛雄馬といったところだろうか。
疾走感のある気持ちのいい快速球をビシビシと投げ込みながら、どこか軽い。
往年のプログレバンドの持つ、重さというか胡散臭さは皆無だ。だからこそそこを逆手にとるような、叙情的なフィーリングが次作以降花開くわけかもしれないけど。
ただ軽くとも、アコースティックギターとメロトロンが絡むイントロから、ジャジーに疾走する展開の「ネバー・レット・ゴー」は、名曲中の名曲。
73年デビューということは、プログレバンドの中では最後発の部類なわけだが、後発の利を生かして、それまでのプログレのテクニカルな部分やジャジーな展開などのエッセンスを凝縮し、スタイリッシュに新世代のロックを提示して見せたというところだろうが、次作以降のバンドスタイルが確立された音と比べると、やや荒削りと言うしかない。

うーん、キャメルには手厳しい。素直に「大好き!」と言えばいいのに、言えないみたいな。

長野県上田市


真田太平記〈11〉大坂夏の陣
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2004年05月30日

ファイアーマン

楽しみにしていたPOOHの新作CDなどが届く。
どひゃーん、またまた素晴らしいではないか。
1曲目なんか、オーケストラがロマン組曲のようなんだけど、リズムやコーラスが強力。その絡み合いが新鮮だし凄い。
未だに進化してる。30年以上に渡って、コンスタントに30枚くらいアルバムを作ってきて、今もなお、前を向いているのが凄い。
さっそく聞いていたら、あまりの心地よさに眠ってしまった。


今日の1枚。辛口かも。

THE FIREMAN / Strawberries Oceans Ships Forest (1994)

ポール・マッカートニーの変名プロジェクト。キリング・ジョークのベーシスト・ユースとのコラボレーション。
帯には「快感だらけのアンビエントミュージック」とか書かれていたが、音楽の内容はアンビエント・ハウス、ダンステクノといったもの。
当時、買う前から、ほとんど聴くこともないと思いつつも買ってしまう自分が悲しかった。「リバプール・オラ・トリオ」とともに、ポールファンの踏み絵とも言われていた。
収録曲は全9曲で、すべて8分前後で、ほとんど同じような曲調。「バック・トゥ・ジ・エッグ」や「ブロード・ストリート」などの曲の断片や、ポールの声と思われる「アゥ」という声などを耳が捉えるものの、全体的にBGM的に聞き流してしまえ、この手の音楽にほとんど造詣のない僕としては特に面白みはない。ライナーをビートルズシネクラブ(当時)の方が書いているのだが、なんだか書きづらそうにも思えてしまう。
ただ、こういうジャンルをポールがやってみるというのも、意外なことではない。昔からロック以外のフィールドに興味をもちそれを自身の音楽にフィードバックしてきたし、80年にはテクノ風アルバムを作ったりも。また、変名プロジェクトにしても、ジャズをやったカントリーハムズなどいくつかあって常習犯だ。いろんなものに好奇心を持ち、ときには失敗を重ねながらも、一方でとんでもない名作を作る。そう考えると本作も、いかにもポールらしい作品ということになる。本作は裏ポール音楽の真骨頂かもしれない。
Strawberries Oceans Ships Forest
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2004年05月29日

メタル・ファティーグ

昨日の焼肉が胃にもたれている。
最後の石焼ビビンバ、注文するかしないか相当迷ったんだけど、最終的に明日胃に来ることを覚悟で頼んだ。
いつも焼肉では、ビールを飲んでしまってお腹いっぱいなので、ご飯に到達するチャンスはほとんど無いので千載一遇と思い切った。
やめとけばよかった。


今日の1枚。ちょっと難しい。
ALLAN HOLDSWORTH / Atavachron (1986)

究極のギターシンセ、シンタックスを用いた最初の作品。
ファンの間では賛否両論どころか、否定派もしくは新技術への努力だけは買うという評価がほとんどらしい。
個人的にこの人のギターリストとしての魅力は、独特のクリアなトーンとフレージング、ハンマリング・プリングを多用する高速フレージングにあるんだけど、それがまず犠牲になっているのがマイナス。
たしかに1曲目なんか聴いた事のないような音色での早弾きに、おおっとなるんだけど、それ以外の曲で果たして効果的に使われているかどうか。キーボードがゲストで参加してるんだけど、どっちが弾いているのかわからなかったり。
たぶん、目的はデジタルシンセを、ギターのフィンガリングで独特のトーンを出すということだと思うんだけど、とりあえずは弾きこなして、アルバム体裁を整えたという感じ。もっとも、弾きこなしレベルや、作品の質は凡人から見れば物凄いんだけど。
ただやはり、これだけギターリストとしてのテクニックを持ち、尊敬を集めている人が、名声の上に胡坐をかかず、常に前進し新境地を見出そうとしている点はやはり凄いし、そういう点も含めて尊敬も集めるのだと思う。神様がギターを弾いているんじゃないんだからね。
音楽的には???なんだけど、印象は良い。僕にとってはそんな作品です。

Atavachron
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2004年05月27日

安息の館

トラクターの1日。
一日中、冷房に当たっていたので、鼻水がズルズル。

左下の「livedoorファイナンス」に株式会社クリムゾンさんの株価を載せているんだけど、載せてから毎日値下がり。大丈夫か、クリムゾン。プログレファンの希望の星。いやスターレスか。
突然に社長が解散宣言とかしないだろうな。7年後に復活するんだろうけど。



今日の1枚。

ORCHESTRAL MANOEUVRES IN THE DARK / ARCHITECTURE & MORALITY (1981)

「エノラ・ゲイの悲劇」で知って、「ドリーミング」で興味を持って買いました。
直訳すると、暗闇の中の管弦楽的戦略ユニットによる、建築と道徳?
わけわかんないけど、とにかくもポール・ハンフリーと、アンディ・マクラスキーを中心とするシンセ・グループ、OMDの3作目。邦題は「安息の館」で、LPは穴開きジャケットだった。
チープなシンセとピコピコとしたシーケンサーが時代を感じさせるが、メロディアスで温かな雰囲気は、あまり他のこの手のユニットでは感じられない個性だ。キャッチーな雰囲気の一方で、実験的な香りがするのもいい。
シングルカットされてヒットした3曲が特にいい。ポップなメロディとポールの中性的なボーカルが魅力の「Souvenir」、ドラマチックな広がりを感じさせる「Joan Of Arc」、壮大に盛り上がっていく「Joan Of Arc Maid Of Orleans」など。叙情派テクノ。
派手さはないけど、しっかりと細部まで作りこまれた好印象な1枚です。

やっぱりアンディは、枕が好きなんだろうか。


Architecture & Morality [US Bonus Tracks]
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2004年05月26日

ライフ

WOWOWでモントルー・ジャズフェスティバルのシンプリー・レッドを見た。
もしかしたら動いているミック・ハックネルははじめて見たかもしれない。
若い頃から予想通りに歳を重ねているという風貌なんだけど、歌声はまったく変わらない。ちょっと感動した。
放送されたのはホーム・ローン・ブルース、ホールディング・バック・ジ・イヤーズ、サンライズの3曲。
これだけソウルフルに歌う場合は、バックの演奏がしっかりとしていないといけないんだろう。スティーリー・ダン並みに、完璧でいながらグルーブ感のある演奏。サックスやトランペットの響きがカッコいい。黒人コーラスも、サンライズでの中盤に原曲が出てくるところなんか椅子から転げ落ちた。

そんなわけで今日の1枚。
シンプリー・レッド / ライフ (1995)

今聴いているんだけど、やっぱり10年前の方が声量が違うなあ。

大ヒット作「スターズ」から4年のインターバルを経て発表された5作目。
大好きだったバンドで、当時は本当に待ち焦がれた上での発売だった。
「スターズ」と比べると幾分地味ながらも、ブルー・アイド・ソウルなどと揶揄された頃よりも、シンプリー・レッド節ともいえるスタイルが確立しているよう。大スターの風格を漂わせながらも、危なげなく横綱相撲で寄り切ったといった感じだ。
クールな1曲目「You Make Me Believe」、一気に盛り上がる4曲目「Fairground」や個人的にはフェイバリットなダンサンブルでキャッチーな8曲目「Remembering The First Time」など、聴き所満載。
昔は6曲目「So Beautiful」なんか、いかにも簡単に作ってしまったようなバラードでイマイチだったけど、けっこういいなあ。徐々に盛り上がるバックの演奏と、呼応するように歌に熱が入る。
前作に参加した日本人ドラマー、屋敷豪太が不参加だったり、ミックによる音楽至上のワンマン体制の人事に「性格悪いんじゃないの?」説もあった。性格というより、前作(最初から?)からミックの個人プロジェクト化してたから当然といえば当然か。


ライフ
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2004年05月23日

レッド・レイン

変な天気だなあ。
今日は天気が良いはずだったのに、結局雨。大雨。
しょうがない。家に引き篭もり。

ピーター・ガブリエルのグローイング・アップ・ツアーを見る。2003年イタリアミラノ公演。
頭を剃りあげて、白髪まじりの髭をはやし、顔も体も丸くなった御大。老けたピーガブを大丈夫かと心配していたんだけど、歌い出せばあの声は昔のままだ。もともと若くなかった声だったしね。
ステージ演出が相変わらず凄い。上から巨大な構築物が降りてきたり、ピーターとメラニーが逆さに宙吊りになって歩きながら歌ったり、巨大な球体の中に入って動き回ったりと。ライトアップも普段は薄いブルーで舞台を引き締め、曲によっては表情を変えて効果的に演出している。円形のステージを観客がグルっと囲んでいて観客の熱気が物凄く、派手なステージ演出のたびに歓声が上がるのが痛快だ。
演奏もタイトで、安心して音に身を委ねることができる。お馴染みトニーレビンも、相変わらずの存在感だ。
それにしても、この人のライブは毎回、僕にとって井上和香以上の癒しを与えてくれる。なんなんだろうね。
大スターなのに、僕のことも見ていてくれているような、そんな錯覚に陥る。
シークレットワールドツアー同様、精神状態が芳しくないときの特効薬になりそうだ。

それにしても、コーラスをしている娘さんはジェネシス時代の髪の長い頃のピーガブにそっくりだねえ。
あと発見したこと。ピーガブは、開演から最後までに5歳若返る。

ところで、ちんすこうの黒糖も美味ですなあ。

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2004年04月30日

原点

ちょっと忙しいので、かなり昔に書いた文章がパソコンに残っていたんで濁そうと思う。


GEORGE MICHAEL / FAITH  (1987)
EPIC/SONY 25.8P-5180

 アイドルユニット、WHAM!を解散後87年に発表されたソロ1作。英米でアルバムチャートNO1、6曲のシングルヒット(4曲は全米NO1)を生み、翌88年ともに全世界で1500万枚を売り上げた怪物アルバム。白人ではじめてソウルチャート制覇、グラミー賞最優秀アルバム、88年の年間ビルボードアルバム1位と書くのも疲れるくらいの大ヒットアルバム。この1枚で、マイケルジャクソンやマドンナなどに肩を並べる80年代の顔になった。作曲、アレンジ、プロデュースをすべて一人でこなしてトータル的な音楽的才能を見せ付け、50年代からのポップの歴史、黒人的なリズム感、近代的なエレクトロニクスを内包させ、そらにそれを抜群の歌唱力で歌い上げるのだから、もうひれ伏すしかないでしょう。80年代、いや20世紀の最強の1枚。(←思い入れ強すぎなもんで)ジャケットの下の奇妙な記号は、左から信念、音楽、金銭、宗教、愛をあらわしているというが、アルバム内容を端的に表現しているといえる。

@ FAITH

アルバムからの2枚目のシングルカット。全米1位。88年のビルボード年間チャートでも1位になった。(ジョージにとっては、「ケアレスウィスパー」に次いで2回目!)静かなオルガンからはじまり、軽いアコースティックギターのカッティングではじまり、一度もコードチェンジしないまま進んでいく。リズムは40年代〜50年代にジャズで流行ったジャイブビートだが、リズムマシーンと軽やかなギターによって近代的なテイストに仕上がっている。中間のかっこいいロカビリー風ギターソロも素晴らしい。「I WANT YOUR SEX」は、直接的肉体的だが、この曲では精神的な男女間について歌われているのも面白い。

A FATHER FIGURE

アルバムからの3枚目のシングルカットで全米1位。恋人への献身的な愛を歌うバラードで、ささやきのようでいて力強いジョージのボーカルが冴えている。派手な1曲目と3曲目にはさまれて地味な印象があったが、聞き込むごとに良さがわかってくる曲。後年、「アンプラグド」でこの曲を演っていたが、無茶苦茶かっこよくてますます好きになった。もうすこし地味なバッキングの方がいいかなとも思うけど、アルバムの流れを考えるとこれがベストか?

B I WANT YOUR SEX(Part1&2)

映画「ビバリーヒルズ・コップ2」の主題歌で、アルバムの発売に先行して発売された。直接的な歌詞・タイトル・プロモのため、放送禁止にしたラジオ局もあったが、全米2位まで上昇。ブラック的なダンスビートとリフで淡々と進む。すべてのインストゥルメントをジョージ一人でこなしている。「君とセックスがしたい」と歌う部分だけがクローズアップされるが、こうした曲を作った背景にはエイズ蔓延による社会不安が大きく影響している。「セックスはけして敵ではない、無差別なセックスがいけないんだというメッセージをこめた」と当時語っている。理由はともあれ、ワム時代の、「ケアレス・ウィスパー」や「ディファレントコーナー」のような清廉な美しいバラードを歌い上げるジョージ像を、いとも簡単にぶち壊すことができた功績は大きい?

C ONE MORE TRY

4枚目のシングルカットでこの曲も全米1位。何度聴いてもため息のでる感動のバラード。この曲の主役はなんといってもジョージの声。情感たっぷりに力強く歌い上げ、盛り上がる部分では声域をフルに活用して聴き手を煽る。たまらない。迷っているときや悩んでいるときにこの曲をリピートし続けて聴いて何度救われたことか。プロモーションフィルムも、変な小細工なくただ歌う姿だけを捉えた素晴らしい出来。

D HARD DAY

すべてのインストゥルメントはジョージ。アップテンポなダンスチューン。ファンクなベースラインがかっこいい。おそらくさらりと作ってしまった曲なんだろうけど、こんな曲にも才気を感じさせてしまうのはさすが。ボーカルはアップテンポで声色を使い分けたりして様々な表情を見せてくれる。最後では、ボーカルに効果をかけて音程を変えて遊んでいる。

E HAND TO MOUTH

一転して、哀愁感漂う曲調。ストーリーテラー風に歌うボーカルが、ジョージにしては新鮮。

F LOOK AT YOUR HANDS

70年代のローリングストーンズを彷彿させる曲調。だがストーンズと決定的に違うのはボーカルが旨いこと?この曲だけ、友人であるデビッド・オースティンとの共作。

G MONKEY

5枚目のシングルカットで、この曲もアルバム発売から半年以上経っているのに1位に昇りつめた。ファンキーなダンスナンバーで、無機質なジョージのボーカルがかっこいい。

H KISSING A FOOL

アルバムの最後を飾るのは、ジャジーな落ち着いた大人のナンバー。アルバムから6枚目のシングルカットとして、全米7位になっている。しっとりと歌い上げるジョージと、それを支えるイギリスきって腕利きミュージシャンたちの息もぴったりと合っている。この曲は、かなり前から温めていた曲らしく、細部まで煮詰められている感がある。そういえば、ケアレスウィスパーも長年温めた曲だったな。こういった曲があっても温めていられる姿勢は、才能のバラ売りをしてしまいがちな業界の中にあって真の才能を持つものだけが出来る芸当か?

以下CDのみボーナストラック
I HARD DAY(Shep Pettlbone Remix)

J A LAST REQUEST(I WANT YOUR SEX Part3)


フェイバリットアルバムということで一言

僕が中学3年生のときにはじめて買ったCDがこれ。何気に音楽雑誌を読んでいたときに、80年代を振り返るディスクレビューがあって、その中でなんか「ジョージ」と「マイケル」とファーストネームが並んでいる奇妙な名前を覚えてしまい、レコード屋さんでそれを思い出して買ってしまったのが運の尽き。それがいまだ出口すらみえん洋楽トンネルの入口だった。
 もうはじめて聴いてから10年以上たち、何千枚の洋楽CDを聴いてきたけど、いまだにこれがいちばん好き。ビートルズにハマってようが、プログレに浸かっていようが、常にその傍で聴いてきたし、これからもそうだと思う。こういうアルバムに出会えたことは、運がよかったし、幸せなことだと思う。
posted by ひろりん at 23:22| Comment(1) | TrackBack(0) | ブリティッシュロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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