2016年06月28日

盗難車

MYLENE FARMER / INTERSTELLAIRES (2015) フランス

フランスはおろか、もはや非英語圏での最大のスターとなってしまったミレーヌ・ファルメールの10作目最新作。
近年では最高の出来では。収録曲がどれもいい。壮大なライブステージが見えるかのような1・6、フレンチポップス然とした3・4・7、懐かしいチープトリックの曲をしっとりと聞かせる8、バケモノの扮したPVがあいかわらず秀逸な10など、すべてに無駄がなくあっという間に聞き終わってしまう。最近ではダンスおばさんと揶揄されてしまうけど、メロディも良く歌い手としての魅力が存分に発揮された収録曲ばかりだと思う。
2「STOLEN CAR」は、スティングとの素晴らしいデュエット作。もともとはスティングの2002年作の収録曲を、いかにもミレーヌらしい雰囲気のアレンジを施し、艶っぽく息のあった歌声を披露する。イギリスとフランスの大スターの2人。EU離脱問題に揺れる世界情勢の中で、音楽に国境はないのになぁと嘆いてしまう。

20160628233008411.jpg











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2007年02月02日

夢見るアリゼ

074.jpegALIZEE / Mes Courants Electriques・・・ (2003) フランス

アリゼちゃんのセカンドアルバムにして、現時点で最終作である。
楽曲を手がけたのは前作同様、ミレーヌ・ファルメールとローラン・プトナのコンビ。世界進出を目論んだのか、4曲が英語バージョンとフランス語バージョンを同時収録している。

当時18歳、デビュー時に比べると大人っぽい表情になったアリゼちゃん同様、サウンドの方も幾分落ち着いたものになっている。が、完成度が尋常なく高い。アリゼちゃん自身、それほど、いやほとんど歌唱力はなく、雰囲気で勝負!といったスタイルだが、この雰囲気が抜群だ。英語曲とフランス語曲を同時収録しているが、どっちを聴いても、ほとんど違いを感じないのは、歌そのものよりも雰囲気で聞き手をねじ伏せているからだと思う。エレクトリックな要素とストリングス、生楽器などがバランスよく混じりあって、少し陰りのある耽美な音像構築が見事。アーティストの音楽作品というよりも、女優の音楽劇といったほうがいいのかもしれない。

収録曲はどれも強力で文句のつけようなし。明るい表情、物憂げな表情、挑発的な表情と、くるくると表情をかえて楽しませてくれる。なかなかこれだけの作品には出会えない。フレンチポップスの傑作だと思う。

ちなみに、この後、21歳の若さで結婚〜出産し、現在引退状態。
復帰作が現在製作中らしいが、ミレーヌらが関わっていないし、ロリータ路線でいくのは難しいので、どのような路線でいくかが不安であり楽しみでもある。

12 J'en ai marre!
http://www.youtube.com/watch?v=G2uo8zvaEg4&mode=related&search=

たぶん、これが最後のテレビ出演映像だったと思った。
もはやロリータの面影はなく、大人の表情だ。
ボディにぴったりの衣装で、体をクネクネ。
エロかわいい。
もちろん口パク。それが何か?

4 Amelie
http://www.youtube.com/watch?v=LxQ-WO6sOLc

PV。
本作中で最も気に入っているのがこの曲。
ドラマチックな展開をみせる耽美ポップス。
映画「アメリ」の映像が使われているけど、映画となんか関係があるのかな?

2 A contre-courant
http://www.youtube.com/watch?v=NmYONDZtvdU
口パクライブ。

14 J'ai pas vingt ans!
http://www.youtube.com/watch?v=3ek_IiZk2CA
PV。
みんなで踊ってる。


8 Hey! Amigo!
http://www.youtube.com/watch?v=hErzhR9BKjA&mode=related&search=

ライブ映像。
歌唱力のなさがわかってしまう。
でもそれを補うルックスと楽曲のよさ。
アルバムバージョンは、それはそれはいい曲。

15 Youpidoo
http://www.youtube.com/watch?v=RKGbuQwUiEE

ライブ映像
タオルを使って踊ってます。
これまた歌がキツイね。
posted by ひろりん at 00:14| ウィーン ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月09日

風の中の少女

B00005HXVJ.01._SS500_SCLZZZZZZZ_V1116191147_.jpeg今日の1枚。
ALIZEE / GOURMANDISES (2000) フランス

なぜかアリゼちゃんだ。
1984年生まれ。2000年に16歳でデビュー。またたく間にヨーロッパ中を巻き込んで大ヒット。そしてセカンドアルバムを経て、2004年に妊娠〜結婚〜引退してしまったという彗星のごとく過ぎ去っていった大スターだ。本作はファーストアルバム。

彼女のデビュー時のポジションは、いわゆる「フレンチロリータ」。フランスは伝統的に、良質のロリータアイドルをいつの時代も輩出してきたが、その2000年代の最高傑作がずばり彼女である。
彼女を語る上で欠かせないのが、フランス歌謡界のスターであるミレーヌ・ファルメールと、パートナーでもあるローラン・プトナ。この二人が、作詞・作曲・アレンジ・プロデュースと全面的にバックアップ。デビュー曲はズバリ「私、ロリータ」。これを、キンキンとした高音で舌っ足らずに歌うのではなく、低音でどこか寂しげに歌わせたことが、彼女を安っぽいアイドル歌手とは一線を隔すアーティスティックな方向へ導いた。そしてもちろん、それがピタリとハマる彼女の愛くるしい美貌と陰のある歌唱、さらに天性ともいるスターのオーラもあり、デビュー時から抜群の存在感だった。

収録曲は、トータルな完成度では次作に劣るが、緩急を踏まえた粒揃いだ。デビュー曲でセンセーショナルな1、セカンドシングルでメロディアスなグルーブと印象的なサビの3、アルバムの表題曲でアリゼ節ともいえる9などが根幹になり、フレンチアヴァンギャルドの密室感覚とストリングスの開放感の対比が抜群の5など強力な脇役曲が隙間を埋めていて、文句のつけようがない。ライブでの口パクや拙い歌唱力が批判にさらされるが、それは本作の完成度の高さの裏返しのように思えてならない。

デビュー作とは思えない完成度は、製作者側のしっかりとしたアーティストビジョンと、それに期待以上に応えた彼女の努力と素質の賜物だ。なかなかこれだけのオーラを持ったアーティストには出会えるものではない。復活を望みたい。


you tubeでみていこう。

http://www.youtube.com/watch?v=OJ5kPdCXsW0
これが衝撃のデビュー曲。
ろ・り・たぁ!

http://www.youtube.com/watch?v=bq9PP-LUkmA&mode=related&search=
セカンドシングル。
16歳にして、この存在感。
生まれついてのスターのオーラを身につけている。

http://www.youtube.com/watch?v=xgfGxIsIL60&mode=related&search=
6曲目のバラード。
セカンドアルバム後のライブ映像。
風貌が大人びてきた。黄色の衣装が似合うね〜。
やや音程があやしい。

http://www.youtube.com/watch?v=eADwnPYm2ds
日本のCMにも出てました。

posted by ひろりん at 21:56| ウィーン ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月16日

ロンリー・レインボー

d68b7bd4.jpeg今日の1枚。
VANESSA PARADIS / Same (1992) フランス

現ジョニー・デップ夫人で、エイリアンと戦っているほど強くなったヴァネッサ・パラディだ。1972年生まれ。フランスでトップスターだった彼女が、20歳のときに本格的な世界進出を目指すために作られたのが本作。懐かしいな〜。

歌手としてのヴァネッサ・パラディというと、小悪魔的なイメージになるかな。その物憂げな表情と、コケティッシュさを合わせもったビジュアル。そして歌唱力抜群ながら、どこか舌っ足らずで支えずにはいられない歌声は、彼女独特のキュートさだ。フランス音楽界の伝統ともいえるロリータアイドルの90年代を代表するのは間違いなく彼女だろう。

本作はなんといっても1曲を除いてすべて作曲しプロデュースを手がけたレニー・クラヴィッツの手腕が大きいように思う。2でヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「僕は待人」をカヴァーするなど、60年代の香りを色濃くしたポップス調に仕立て上げているのだけど、これが彼女のイメージとよく合う。本作は英語で録音されているんだけど、ちょっと怪しげなフランス訛りの英語が、儚げな小悪魔イメージを損なわずに、更なる独特の世界を作り上げている。レトロでありながら、新しく、そしてオシャレだ。当時は男性より女性の方に人気があったのも頷ける。

収録曲はどれも素晴らしい。1の閉塞感のあるギターポップス、3の深みのある表現力をみせるダークポップス、当時誰でも耳にしたことがあるだろう大ヒットした4の「ビー・マイ・ベイビー」、5の胸をしめつけるような陶酔バラード(レニーの声もいいね)、牧歌的なメロディをもった佳曲の6,7、暴力的なリズムの中で呻く声が痛切な8、彼女のもっている色気の部分を音にしたようなインスト曲9、と駄曲がひとつもない。90年代を代表する名作だと思う。

当時はレニーとヴァネッサは恋愛関係にあったらしい。惚れた男は、女をスターにしようと努力し、惚れられた女は言葉も知らない異国の地でそれに応えようと頑張る。邪推なんだけど、こんな図式を思い描けてしまうほど、レニーはよくヴァネッサの魅力をよく分かって天性の魅力をより引き出しているし、ヴァネッサもその薫陶に応えて様々な楽曲を歌いこなした。レニー・クラヴィッツなんて、あんまり好きじゃないけど(黒いジョンレノンのキャッチコピーのせい)、本作の仕事ぶりは素晴らしいものだと思う。男として見習いたいものだ。
posted by ひろりん at 22:18| Comment(2) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

幻想のバリケード

c4512770.jpg今日の1枚。
PATSY / DES ILLUSIONS (1993) フランス

1969年生まれ。デビューは88年のようで、ビートルズを連想させる「リヴァプール」というデビュー曲で有名なのだそうだ。僕は知らないなあ。本作は93年に発表された2作目。日本盤も出ていて、全曲に邦題がつけられている。

かなりの良質のフレンチポップスだ。ダンサンブルなものから、バラード、ロック、ファンクと音楽性が多彩で、流れるような素直なメロディとセンスのいいアレンジがよくできている。そしてソフトでメロウな声質と思いきや、無機質なクールな表情になったり、しっとりと歌い上げる表現力があるボーカルも好印象だ。けして声量があるわけではないけど、そこを逆手にとってアンニュイな雰囲気を出したりと様々な魅力を感じる。

もちろんフランス語で歌われている。一般にシャンソンなどでは、フランス語独特の吐き捨てるようなイントネーションが耳について、それが最大の魅力だったりするんだけど、この人のボーカルにはそういった面が少ない。意図的にフランスらしさから離れようとしたのか、世界を意識したのかわからないけど、面白いポジションだと思う。シャンソンと英米のポップスの合成物といえると思うのだけど、わざとらしさは微塵もなく自然に融合が果たされている感じだ。どっちつかずの中途半端なイメージはない。

どの曲も本当によくできている。呪文のようなボーカルが面白い2や、エキゾチックなロック調の6、典型的な90年代ダンス調の7など耳に残る。そしてバラードの完成度はかなりのものだ。エルトン・ジョンが作りそうなノスタルジックな展開から一気に空気を変えて盛り上がる3や、しっとりとした雰囲気が繊細な美しさをもって広がりをみせる4、哀愁のストリングスが愁いを醸し出す9など、佳曲が揃っている。

日本盤まで出てこれだけの完成度を誇りながら、(少なくとも日本では)ネットで検索してみてもほとんどひっかからずに、何の話題にもなっていない。そんな時代に見放されている作品のよさに気付けたことがうれしい。
posted by ひろりん at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月08日

春間近なのに、秋の音楽

81a54de8.jpeg今日の1枚。

TETE / A la faveur de l'automne (2004) フランス

先日の大阪旅行中にふらりと寄ったタワレコで視聴して、1曲目でその場で泣いてしまった1枚。

1975年アフリカのセネガル生まれ(ひろりんと同級生)。幼くしてフランスに渡り、2001年にレコードデビュー。本作は2004年に発表された2作目。日本ではNHKのフランス語講座でビデオクリップが流れて、それが反響を呼んで注目を浴びたそうだ。昨年日本公演も行われているほどだ。

この人の最大の魅力は声にある。フランス語の吐き捨てるようなイントネーションが、この人独特のリズム感と相俟って、不思議な個性を醸し出している。さらにレニー・クラヴィッツを彷彿させるような濁声ながら、湿った詩情を感じさせ、心にぐっと響いてくる。そしてアコースティックギターを中心とするサウンドが、この声とぴったりくっついている。ストリートミュージシャン上がりで、ギター1本でライブなどをこなすスタイルが、そのまま真空パックされているようだ。本作では弦楽器などを用いて素晴らしい哀愁のアレンジが施されていて、憂いの表情がさらに増幅されている。

刻々と表情を変える楽曲群。小曲、肩を抜いてリラックスした楽曲などを散りばめているが、魅力の根幹になっているのは哀愁的な楽曲だと思う。2のリズミカルな哀愁感、7の緊迫感のある哀愁、メランコリックな9などが耳に残る。しかしやはり白眉はひろりんを一発でノックアウトした1だ。もの悲しいアコギの爪弾きから必殺の声が入り、ドラムが入り、仄かなオーケストラが被さり盛り上がっていく。どこか懐かしくもある甘美なメランコリー。名曲だと思う。

季節に例えるなら晩秋の趣。冬の訪れを感じる風が、郊外のひと気のない並木道を通り過ぎていく。そんな中でふっと触れたい温かな人間味。人恋しいときに思い出したい1枚だ。
posted by ひろりん at 23:03| Comment(0) | TrackBack(1) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月26日

世界中で1500人も聞く音楽だとはあまり思えないよ

今日の1枚。

ASGARD / Tradition & Renouveau (1978) フランス

フランスのフォーク/プログレバンドのセカンド。70年代に2枚の作品を残して歴史から消えたバンドで、以前は高額のプレミアがついていたという。メンバーは、ボーカル・ギター・フルート・サルテリー(中世ハープらしい)のパトリック・グランピエロンを中心に、ギターのダニエル・マントヴァーニ、ベースのドミニク・ユリティ、キーボードのドミニク・パラールという4人組。ドラムはゲストクレジット。旧A面である1〜6がフォーク、B面である7〜10がシンフォニックなプログレタイプという構成だ。
フランスのフォークは珍しいと思うんだけど、基本的にはブリティッシュフォークのような、メロディアスで幻想的な肌触りだ。フランス語の吐き捨てるような独特のイントネーションが一風変わった不思議な幻想空間を作り出していてるが、泥臭いトラッドフォークというよりは、ポップスよりの明解なメロディで、とても聴きやすい。またフォークサイドである前半には随所にメロトロンやシンセサイザーが効果的に使われていて、フォーク&トラッドの新解釈といった試みにも思える。
しかし素晴らしいのは、後半だ。中世の詩人フランソワ・ヴィヨン等をコンセプトにした楽曲群で、印象的なフレーズを織り込みながら、静から動へドラマチックに盛り上がる曲がつづく。8の美しさと大胆さが同居するメリハリや、10の大平原の夕焼けを思わせる壮大なシンフォニック曲は、気持ちよさを通り越して感動に耳が震えるくらいだ。
B級らしい佇まいながら、繊細な美しさをもったフォーク&シンフォニックとしては申し分のない作品。「隠れた名盤」のような言葉が似合いそうだ。

ちなみに僕のCDは、2001年に1500枚限定で再発されたもので、手書きの通し番号が入っている。僕のは「0597」。世界でどれだけニーズがある音楽なのかわからないけど、それほどありがたみは無い(笑)
posted by ひろりん at 22:14| Comment(1) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月21日

ストーリーが一応あるんだけど、これを理解できる人はいるんだろうか

今日の1枚。
PULSAR / HALLOWEEN (1977) フランス

フランスを代表する叙情派プログレバンド。70年代に3枚の高レベルな作品を残しているが、77年に発表された3作目の本作はプログレ史上に残る大名作だ。組曲となっているハロウィーン・パート1、パート2の全2曲。
本作の評価は「哀しみと美しさに満ちたシンフォニックロック」という言葉で言い表されることが多い。たしかにパート1のひたすら沈み込んでいく暗い情景や、メロトロンやフルートなどのシンフォニックに欠かせない楽器が活躍している点でその通りなんだけど、本作の凄さは、哀しみを超越したところの無常観や、美しさを超越したところの狂気のような部分にまで達している点にあるように思う。底なし沼のような意識の混濁、幻想と現実の交錯は、けして喜怒哀楽の単純な感情では推し量れない心の闇の世界か?不安定な心の海を、小さな船で揺られているような不安感と同時に夢の中のようなまどろんだ陶酔感を感じさせる。
とはいうものの、よく聴くと時折不自然なサイケデリック面が出てきたり、パート2のやや散漫に感じる部分などがあって、完全無欠の作品ではない。思うに、バンドの当初の意図としては、ピンクフロイドの重みや、クリムゾンの硬派の叙情性、ジェネシスのファンタジー性などの、プログレバンドのオイシイ部分だけを切り取って再構築することを試みたが、実際にできあがったものは、予想をはるかに超えた合成怪物ができあがってしまったようなところではないだろうか。もちろん、それを可能にしたのは、バンドのポテンシャルが高度なものであり、できあがった楽曲をより効果的に聴き手に聞かせる素晴らしい音響をを施したエンジニアなどの裏方の努力があってのことだと思う。
バンドは本作がほとんど売れずに一旦解散してしまうのだけど、ビジネス上だけでなく、これ以上の作品は作れないんじゃないかという部分もあったんだろう。それほどに、孤高の存在感を放つ1枚だ。僕自身もう何年も聴いているけど、未だに出口の見えない迷宮に迷い込んでいるような錯覚に陥り、そしてその感覚はこれからも続いて行くように思う。もしかしたら、音触りだけでなく難解さが心地よい作品と言えるかもしれない。

Halloween
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2004年11月26日

ネヴァー・グッド・アット・セイイング・グッバイ

今日の1枚。
SANDROSE / Same (1972) フランス

当時のフランスロック界では屈指のプレイヤーであるジャン・ピエール・アラルサン(g)とヘンリ・ガルラ(key)を中心とするシンフォニックロックバンド。アンジェやアトールが活躍する以前のフレンチロック黎明期に高度な本作を1枚のみ残して解散。
1曲目のハード&フォークな展開にのけぞるが、基本的には女性ボーカルをフューチャーし、ジャズやフォークのエッセンスを取り入れメロトロンやハモンドが響き渡るという初期クリムゾンタイプといった表情。静と動の対比、インプロビゼーション的な展開など、安心して聞いていられる安定感だ。激しい疾走感がブレイクして叙情的な流れる展開になったり、静寂から徐々に盛り上がっていく展開など、印象に残る聞かせどころが無数に点在し満足度は十分。中でも一際素晴らしいのがアラルサンのギターワークで、ぱっと全面に出てきたかと思うと余韻を残しさっとひき、ボーカルやキーボードが全面に出るときは味のあるバッキングでひきたて、様々な表情で楽曲の細部にまで存在感が宿っている。メロトロンの草原をギターがゆったりと駆け回る5や、緊張感をもったインプロ大会の3、テクニカルにひきまくる7など、聴き所は枚挙に暇が無いほどだ。
それに比べやや存在感が薄いのが女性ボーカル。小粒なリンダ・ホイルといった感じで、高レベルのバンドアンサンブルの中にあっては分が悪い。一般的にフランスのバンドはフランスらしい独特のアクを感じるのだけど、英語で歌っていて異国感が無いのも残念。4や5など、情感たっぷりに聴かせる部分があるのに、息切れしちゃったり安定感に乏しいのが惜しい。


Sandrose
posted by ひろりん at 23:41| Comment(4) | TrackBack(1) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月09日

モナリザの微笑



今日の1枚。
MONA LISA / Le Petit Violin De Mr.Gregoire (1976) フランス

アンジェと並ぶフレンチシアトリカルバンドの3作目。4作目とともに傑作の呼び声が高い。邦題は「グレゴリア氏の小さなバイオリン」。
アンジェの前座を務めていたというだけあって、演劇めいたドミニク・ル・ギュネのボーカルやバタバタとした曲展開など共通点が多い。ただ、ボーカルはエキセントリックなクリスチャン・デキャンと比べて癖がやや弱く甘いんだけど、その分だけ親しみやすい聞きやすさに繋がっている。ギターやキーボードやドラムなども特に突出したところは薄いんだけど、逆にバランスのよさにつながっていて素直に楽曲そのものに耳を向けることができる。ただ、その中でふっと入ってくる哀愁のフルートの響きは、甘い雰囲気の楽曲によいアクセントを与えていると思う。
シアトリカルというよりはシンフォニックロック寄りで、出来は水準以上。印象としてはジェネシスの「月影の騎士」に近い。耳あたりがよいので、アンジェと比べるととっつきやすくてわかりやすい。ただこの優等生的なカラーがやや個性を埋没させているような印象。アンジェとジェネシスの中間という中途半端なポジションが損していると思う。

monalisa3
posted by ひろりん at 22:28| Comment(2) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月08日

新ノア紀

ハウスのビニールの張替え中に手を切った。
左手の親指の先端をザクリと。
ツメまでザクリと。
見た目は痛々しいが、あんまり痛くなくてなんか損した気分。


今日の1枚。
ANGE / Au-Dela Du Delire (1974) フランス

現在も活動を続けるフランスを代表するプログレバンド。デキャン兄弟を中心に69年に結成され、本作は3作目にして最高傑作の呼び声も高い名作。カリスマ的な人気をもつクリスチャン・デキャンのヒステリックな演劇性を持ったボーカルと、フランシス・デキャンのヘビーシンフォニックなキーボードワークが特徴。演劇性の強いスタイルは、シアトリカルロックやロックテアトルなどと形容される。
邦題は「新ノア紀」。中世の農夫ゴドヴァンが時空を超えた旅に出て神とまみえるという旧約聖書にリンクしたストーリーをコンセプトにした作品。重いオルガンや繊細なギターや突如響き渡る弦楽器などが作り出すフランスらしいドタバタとした野暮ったさを持った中に、胸のうちを吐き出すようにして一人芝居を演じるボーカルが駆け巡る。ドラマチックだったり、陰鬱だったりと様々な表情が変幻自在で、聴いていて飽きが来ない。ただ、全面を鉛色の空のようなベールが覆っているような雰囲気は、どこか狂気のようなものも感じるところ。感情の爆発、演奏の狂乱といった何が飛び出すか分からない中を、ズンズンと進んでいるような感覚だ。時折、美しいアコースティックギターやメロトロンが響くなど、光りが差し込むのも、落ち着きが無くて逆に聴き手の意識を離さない。
演劇性が強いという点で初期ジェネシスと比較されることもあるが、ストーリーを聴かせる面のインパクトは強烈。ジェネシスの上品な叙情性とは似付かない、土臭い叙情性も独自のものだ。ジャンルとしてはドラマ性の高いヘビー・シンフォニック作ということになろうか。音楽芸術というよりは、音楽演芸といった趣の力作。

anje3
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2004年08月31日

インターフェイス

今日の1枚。
HELDON / interface (1977) フランス

フレンチアヴァンギャルドの雄、エルドンの「スタンバイ」と並び称される傑作6作目。無機質に反復するシーケンサーに襲い掛かるFrancois Augerのドラミング、ムーグで怪しく重厚にベースラインをなぞるPatrick Gauthier、そしてロバート・フリップ張りのメロディの無いギターソロを垂れ流すRichard Pinhasが縦横無尽に絡み合う、スペイシーかつヘビーな作品。
A面小曲、B面大曲というよくある構成で、小曲は比較的音が整理されていてスッキリとしていて、大曲は楽器間の絡み合いが曖昧でごちゃごちゃとしているものの、全体を通して曲調と雰囲気に大きな変化はない。「スタンバイ」と比べると、こちらの方がシーケンサーを中心に据えて、その周りに各楽器が配されてインタープレイをするといった感じだが、ロック的なダイナミズムは後退していて密室で行われた音楽実験といった雰囲気がある。ただ反復リズムの理性に挑みかかるような暴力的な人間演奏は、まるでコンピューター対人間の戦いを見ているようで面白い。
受験勉強の眠気覚ましに使っていたのは僕です。夜中の精神高揚にはもってこい。大音量で聴くべし。


Interface
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2004年07月18日

ラジオのように

マツケンサンバの波が広がっているようだ。
電話口で「オーレ、オーレ」と言う、マツケン詐欺に気をつけよう。
盗まれるのはハートだが。

今日の1枚。
BRIGITTE FONTAINE / Comme A La Radio (1971) フランス

ブリジット・フォンテーヌといえばこれ。プログレ界にその名をとどろかす名盤。アメリカからフランスにやってきた前衛ジャズ集団、アート・アンサンブル・オブ・シカゴとの共演。サラヴァレーベルに移籍して本格デビューしてからの2作目。制作年は諸説ある。
規則性のあまり感じられない即興的な不協和音、ボソボソとしたフォンテーヌの囁くような声、公私にわたるパートナー、アルジェリア出身のアレスキー・ベニンガムが民族的なパーカッションなどが混然一体となって作り出した合成怪物。およそ、聞くに堪えない音楽だと思いきや、奇妙なグルーブ感や、内面を抉り出す内向的で個人的なモノローグ調な語りなどが、聞き手の感性を刺激する。耳で聞くというよりは、雰囲気に体を馴染ませ脳で聞くといった感じだろうか。ただ入り口は広くとも、簡単に出口は見つからないし、かといって核心に聞き手を容易には寄せ付けない尖った感性に圧倒される。そんな中で、唯一といってもいい広域的な求心力に満ちた表題曲の「ラジオのように」の明解さは、本質への糸口であると同時に安息地である。
詩的な面を見せながら尋常ではない緊張感。個人的には名作と迷作を行ったり来たりする問題作。ただ、プログレ的な尺度とは別の、人間の本質的な部分での共鳴があるような気がしての不朽の存在感のようなものを感じる。毎日は聞かなくとも、1年に1回くらいは引っ張り出してしまう自分の内面が無意識に欲しがってしまうような。傑作と評価するのは簡単だが、あえて振り回され続けたいと思わせる1枚。


ラジオのように
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2004年06月08日

ミュージシャン・マジシャン

今日の1枚。

ATOLL / Musiciens-Magiciens (1974)

ユーロロックを代表するアトールのファーストアルバム。
イエスとの類似性が物議を醸し出したバンドだが、シンフォニックなセカンドの「夢魔」などに比べると、コーラスや緻密な構成のアンサンブルとダイナミックに展開するインストパートなど、サード以前のイエスと似た印象。ただ、コーラスがメインの独特のメロディセンスは、閉塞的な英国では出てこない個性だ。
独特のポップス感の3曲目のタイトル曲や、スリリングなインプロと印象的なフレーズの飛び出る大作シンフォニックの2曲目などが作品の根幹をなし、ドラマを感じさせるオープニングや、ハード&テクニカルな4、5、叙情的なバラード6が脇を固め、最後に再びシンフォニックな大作で締める。よく言われる荒削りな印象は個人的にはあまりなく、すでにファーストアルバムにして音楽性が完成され、さらにしっかりと形になっている印象。むしろ、ロック的なダイナミズム感では、凝っている後作より本作が抜きん出ていると思う。最後の終わり方がちょっとがっかりするくらい。
ま、このバンドの70年代に出した4枚は、全部傑作。という結論。


ミュージシャンズ・マジシャン


僕自身、アトールでは最後にこのファーストを聞いたわけだが、「夢魔」の特異性が浮き出た印象。
「夢魔」を除けば、「ファースト」→「サード」→「ロックパズル」と進化の形態が見て取れるが、「夢魔」はこの流れの外にあるような気さえ。だからこそ傑作になるのか。
posted by ひろりん at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ハレンチロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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