2015年10月20日

桑ブラック

JANA KIRSCHNER / MORUSA(CIERNA) 2014 スロヴァキア

現時点で最新作。当初から二部作になるといっていたMORUSA:BIELAの続編。2014年10月発表。
より深淵になる音世界。前作に比べるとジャズ色が薄まり、電子音や多声コーラスがより多くなり、より現代音楽寄りにシフトしている。そしてヤナのボーカルは表情の域を越えて、冒頭の2曲などではもはや歌うというよりも音の一部になっている。後半になると歌が中心となり、6「ミツバチの背中に乗って」など佳曲が揃う。
アヴァンギャルドなのに、難解さがあまり感じられず聴きやすい。閉塞的密室音楽だが、緊張感もあるし相変わらず凄い。ただ一方で散漫な部分も感じられて、前作セッションでの余り曲ではないのかという気がしないでもない。

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2015年10月18日

JANA KIRSCHNER / MORUSA(BIELA) 2013 スロヴァキア

2013年11月に発表されたスロヴァキアのスーパースター、ヤナ・キルシュネルの7作目。MORUSAとは桑という意味。2014年に発表されるCIERNAとの2部作だ。それまでのロック/ポップスフィールドから脱却して国内外からジャズやクラシック系のミュージシャンを起用して、今までにない音世界を確立した。
聞き手としては当初は確実に困惑する作品だ。賛美歌風の冒頭から現代音楽風、民俗風、ジャズ風と、大衆迎合型のそれまでのスタイルはまったく無く、一度聴いただけでは掴み所が見えない。何度か繰り返して聴くうちに、演奏の密度の濃さ、曲によって変幻自在に声が変わるヤナのボーカルの表現力の深さに引き込まれていく。
9曲の収録曲はどれも粒揃いだが、シングルカットされた4のSamaは出色の出来。実験色の濃い9Vidinaの音楽的深みは底知れない。ヤナの表現力も凄いが、緊張感のあるバックの演奏力も尋常ない。

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2015年09月02日

シャイン

JANA KIRSCHNER / SHINE (2007) スロヴァキア

スロヴァキアのスーパースター、ヤナ・キルシュネルの5作目。
世界が認める名盤。全曲スロヴァキア語だった前作から一転、すべてが英語詩。ティアーズ・フォー・フィアーズなどを手がけたロス・カラムがプロデュースを手がけて、ワールドワイドな成功を目指したと思われる。
アコースティックギター主体のシンプルな楽曲が並ぶが、バックの演奏の密度の高さ。一音一音が濃厚。そして従来の英語曲で魅せたヤナの美声はさらに磨き抜かれて説得力を増して一分の隙のない音空間だ。
全12曲、「SHINE」、「SOMETIMES」など曲のタイトルがストレートに楽曲を表し、軽快で明快なメロディでとても聞きやすい。「RIVER」の清流のような爽やかな展開が心地よい。
フォークタッチといえるかもしれないが、とてもオシャレな感じ。おそらくヤナのアーティストとしての最絶頂期の名盤。よくできているんだけど、スロヴァキア色が皆無でちと寂しいのは贅沢な悩みだ。

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VECI CO SA DEJU

JANA KIRSCHNER / VECI CO SA DEJU (2003) スロヴァキア

スロヴァキアのスーパースター、ヤナ・キルシュネルの4作目。
傑作揃いの彼女の作品の中でもいちばんのお気に入りだったりする。特徴としては全編スロヴァキア語で歌っているということ。この人は英語曲では癖のない美声になるんだけど、母国語になると途端に泥臭い癖のある声になってしまう。それが本作の雰囲気とよくあっている。南国リゾート然としたジャケット同様、明るく開放的な曲が多くて、楽しく録音されただろう雰囲気が溢れている。7のレゲエっぽさや、10のエキゾチックな中近東旋律も楽しいし、わざと80年代の安っぽさを出した8もいい。
完成度や衝撃度では全作品中でも地味だと思うけど、個人的に辺境ポップスとして申し分のない出来だ。

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2015年08月03日

ペリカン

JANA KIRSCHNER / Pelikan (2002) スロヴァキア

スロヴァキアの国民的スター、ヤナ・キルシュネルの3作目。ペリカーン。
前作までのフレッシュなアコースティック感は後退して、曲やアレンジが緻密な構成になり作り込まれた印象だ。ジャケットの思慮深いヤナの表情がそのまま音になっている。スローからミディアムテンポの曲が多く、明らかに前作とのスタンスを感じる。前作が、ルックス優先の歌手からの脱却を狙ったのだとすれば、本作は前作の空前の成功からの脱却を図ったといえるか。脱却だけでなく、音楽的な懐がぐっと広くなり、よりアーティスティックな方向へ踏み込んでいる。
とはいえ、明快なメロディは健在で数回聴けば口ずさめるほど。歌詞は英語とスロヴァキア語の割合が半分で、3、4、8、9、11の英語曲は相変わらずの美声。スロヴァキア語の曲も地域性は薄まって、ボーカルにエフェクトが掛かっていることが多く夢心地だ。
充実発展の名盤。彼女だけでなく、プロデュースやアレンジの裏方も光る。




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2015年08月02日

ヤナ

JANA KIRSCHNER / V CUDZOM MESTE (1999) スロヴァキア

1978年生まれのスロヴァキアが誇るスーパースター、ヤナ・キルシュネル。1997年のミス・スロヴァキアに選ばれた美貌と、ほとんどの楽曲の作詞作曲をこなす音楽的才能、そしてすべての作品が大ヒットもしくは重要作という才媛。本作は年間ベスト作とベスト女性ボーカルを同時受賞して出世作となった2作目だ。
前半の1〜5は、やや濁声ながら軽快なアコースティックをかき鳴らす女性シンガーソングライターといった印象で、明快なメロディと印象的なサビが心地よい。一転後半はスローバラードが多く、表現力豊かな色っぽい声に聞き惚れる。6「Don't warry」や8「I'm your man」などの英語曲では、濁声がまったく無くなって淀みのない美声になっているのに驚く。
とにかく名曲、名作のオンパレード。後年作と比べると、驚くほどにフレッシュで微笑ましいが、スターとしてのオーラが光っている。ちょっと懐かしいメロディに独特の言語感と辺境ポップスとして理想的な1枚だ。名作。



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2015年06月03日

火星年代記2

SOLARIS / MARSBELI KRONIKAK 2 (2014) ハンガリー

東欧を代表するプログレバンド。84年の衝撃のデビュー作にして名作「火星年代記」のなんと続編作。6つのパートで構成される22分の組曲の他全8曲。
「火星年代記」といえば、明快なメロディとキレキレのフルートとチープなシンセが豪快に疾走するのが魅力だったけど、30年たった本作でもそうした要素が満載。機材の音はさすがに進化しているとはいえ、まさに続編といった雰囲気。ピンクフロイドのような女性スキャットや哀愁のバイオリンの旋律、泣きのギターソロが多いあたりが新しさを感じるが、ここぞとばかりにフルートが入ってくる場面では、おおっソラリス!と膝をうつ。
7つのパートに分かれた21分に及ぶ組曲(曲数は3)、その他二つの組曲を含む全8曲。当時のメンバーは二人欠けただけながら、彼らの残した音源なども使用。ゲストを含み15人ものミュージシャンが参加。まさにソラリスの集大成といった感。LP世代には馴染み深い45分くらいの収録時間もちょうどよい。
原作はレイ・ブラッドベリの「火星年代記」。地球人と火星人の対立、地球の核戦争と火星植民といったSFテーマが脳裏に鮮やかに蘇る。7曲目のタイトルは「私たちはあり得ない宇宙に生まれたあり得ない存在である」とのブラッドベリの言葉の引用。悠久の浪漫と文明批判の現実。SFドラマチックシンフォの最高峰だ。



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2015年05月24日

ギンガロー

SZALOKI AGI / Gingallo (2009) ハンガリー

本日、初の来日公演が一夜限りで行われているサローキ・アーギ。見に行けなくて寂しいんで、本日も鑑賞中。「子供のための音楽」をメインテーマにした2009年発表の5作目。
まず驚くのがサローキの声。前作が成熟した大人の歌唱だったのに対してまるで少女のような歌声。同じ人かなと疑うほどのギャップだけど、正確な音程や伸びやかなヴィブラートなど美声であることは隠しようもない。
曲調は、ジャズの要素は希薄で、ポップスやフォークやサンバなど多彩なジャンルが渾然としている。ただ「子供のため」というテーマのため、明るくて軽快な曲が多くて、深く考え込まずに聴きとばせる。そしてあっという間に聞き終わってしまうのだ。
1曲目に「ニッポン」や「ヨコハマ」っていう言葉が出てくるのが日本人として嬉しい。後半の20分に及ぶ男性俳優による朗読劇は、言葉がわからなくて退屈でいつも飛ばしちゃうのは許して。
2010年の最優秀子供向け?アルバムらしいが子供だけでなく、大人も楽しめるサローキワールド。ハンガリーの至宝作だと思う。

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2015年05月23日

ア ヴァージュ ムジカール

SZALOKI AGI / A Vagy Muzsikal (2008) ハンガリー

サローキ・アーギの4枚目。2009年に新婚旅行で訪れたハンガリーで目に留まったのが本作でした。日本盤も出ていて、邦題は「想い焦がれて〜カラーディ歌集」。戦前に女優歌手として活躍したカタリン・カラーディの曲のカバー集。
色っぽいジャケット同様、アダルティなムードのジャズボーカル物。しっとりと落ち着いた歌い回しが中心ながら、土着のコブシを聴かせたかと思えば、大都会のナイトラウンジに居たりと曲ごとに違う表現力の豊かさにぐっと心を掴まれる。
演奏も悪いわけはなく特にピアノとギターの存在感が抜群。一歩間違えばムード歌謡になってしまうところが、抜群のテクニックとセンスで洗練されたジャズとして成り立っている。戦前の古き良き時代の雰囲気もあれば、緊張感のあるソロの応酬があったりと、ただただ感心。
第二次世界大戦前、ハンガリーの労働者階級として初めてスターとなったカラーディ。その後ナチスによる抑留拷問を経験し、戦後女優として復帰するも、共産主義国家として生まれ変わった国で居場所を無くして国を去った彼女の激動の人生。サローキの声を通して、様々なことを考えさせられる。

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2015年05月22日

ハッルガトー

SZALOKI AGI / Hallgato (2005) ハンガリー

サローキ・アーギ、1978年ブダペスト生まれ。ハンガリーを代表する女性ボーカリストだ。なんと5月24日に初来日するそうな!!2005年発表の2作目。
本質的にはジャズ系のボーカリストで、本作もジャズ作。ハンガリーのグラミー賞にあたるFonogramでベストジャズアルバムに輝いた名作で、ハンガリー民謡をジャズにして歌うという作品だ。
あまり僕自身ジャズを聴いてないのでよく分析できないけど、とにかく凄い。バックの演奏は、現代ハンガリーのトップクラスの実力をもつアーティストで固められているそうで、とてつもない演奏力。一音一音が驚くほどに雄弁で、それが自由自在に動き回る。間合いをはかる緊張感や空気感が尋常ないレベル。そして彼女のボーカル。淡々としているようで聞き込むことに味わい深い歌声。後年作も聴いてみたが、これがガラリと歌声が違う。わざと抑揚を押さえて、魂に直接訴えかけるような深みを感じる。
7曲目「Kinek van kinek nincs」の悲哀の旋律。歴史に翻弄されてきた小国ハンガリーの哀しみが滲む。BGMにするには躊躇われる絶品だ。

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2015年05月18日

漆黒の森

AGENTS OF MERCY / Black Forest (2011) スウェーデン

ロイネ・ストルトのソロプロジェクト3作目。2作目と同じメンバー。日常にひそむ事象を漆黒の森になぞらえたコンセプトアルバムとのこと。
ジェネシスやイエスよりは、ブラックサバスやツェッペリン寄りとは本人たちの弁。ほんわかとした優しさが漂っていた前作までの作風がダークでずっしりとしたシリアスな肌さわりのものになっている。しかし根底にあるドラマチックな展開やシンフォニックな体裁は保たれていて、とてもよく作り込まれている感がある。どこか散漫な所があった前作と違って、全体をコンセプトで覆い細部まで隙のない展開を見せる。出来では、まちがいなく本作が最高傑作だ。
ドラマチックに展開する1や、ロイネの哀愁のギターソロが堪能できる8や、どの曲もいいが4の「Elegy」。まるでジェネシスのブロードウェイの「ラミア」みたいな、幻想メランコリック曲。「ラミア」のハケットのギターソロと同様、僕の心をとらえてはなさない魔力がある。
この後、ロイネはフラワーキングスを再始動させて素晴らしい復活作品を作り、ネッド・シルヴァンはハケットに呼ばれてピーガブ役でジェネシス・リヴィジテッドに参加。しばらく再始動はないと思うけど、またいつか復活してほしい。千両役者揃いのフラワーキングスよりは、ロイネ・ストルトが目立ってるしね。

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2015年05月16日

ドラマラーマ

AGENTS OF MERCY / Doramarama (2010) スウェーデン

ロイネ・ストルトのソロプロジェクト2作目。前作では流動的だったメンバーを固定。ナッド・シルヴァン、ヨナス・レインゴールドの他、キーボードはラレ・ラーション、ドラムはヴァレ・ヴァールグラン。このメンバーでライブツアーや3作目も作られた。
まるでロイネの94年ソロ「フラワーキング」がフラワーキングスに繋がったように、同じ道を辿っている。メンバーを固定して、各メンバーにイニシアチブを均等に与え、それが曲に反映されてバンドの個性に繋がる。フラワーキングス同様ロイネ色は強いが、ラレ・レーションの奇妙なフレーズが爆発する4や、ナッド・シルヴァンが作曲した6〜9曲目の軽快なメロディ曲など、ロイネでは出てこない個性がいいアクセントであり素晴らしい。
ファーストに比べると、英国のジェネシスぽさは後退。70年代懐古趣味は相変わらずだが無国籍ともいえるゴッタ煮サウンド。まさに小劇場で様々なドラマを見せられているようだ。

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2015年05月15日

マーシー

AGENTS OF MERCY / The Fading Ghosts Of Twilight (2009) スウェーデン

2007年に一時活動を休止したフラワーキングス。当然休むことなどない仕事中毒人間ロイネ・ストルトのソロプロジェクト。当初はパーマネントなグループとしてやっていく気はなかったようで、ヨナス・レインゴールドやソルタン・チョースのフラワーキングスの面々や、パット・マステロットなどが曲ごとに参加している。
本作の目玉は、UNIFAUNなるグループにいたボーカルのナッド・シルヴァン。なんとまあピーター・ガブリエルの声にそっくり。そしてジェネシスが元々大好きなロイネ。とくれば、曲調はもちろんジェネシス。まるで、ピーガブが脱退してなかったらこんなのができたんじゃないか、と思わせる楽曲ばかりだ。
ドラマの始まりを感じさせる1から、軽快なアコースティック曲を挟み、7・10といった作り込まれた大作。そしてハイライトは4「Heroes & Beacons」。哀愁の旋律をしったりと歌い上げるボーカル。そして途中のキーボードソロ、最後のギターソロと味わい深い絶品。耳の居心地がいいのなんのって。こんな曲ばかり追い求めているんだなあ。自分は。
シアトリカルなボーカル、ハケットのようなギター、よくまわるベースライン、バンクスのようなキメの細かいキーボードワーク。それにややフラワーキングスの、特に初期の頃のような瑞々しいシンフォ色が散りばめられている。ある意味僕にとって理想的な音。次回作は固定メンバーになってロイネ色は薄れていくことを考えると、やっぱりロイネ・ストルトの本質が好きなんだなと改めて実感。

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2015年05月07日

マルタの女

MARTA / THE BEST (2009) ウクライナ

1986年生まれ。ウクライナ西部のチェルニウツィー出身のポップスシンガー。2004年にデビューして現在までにおそらく4枚のアルバムがある。これは2009年に出たベスト盤で、20曲とPV13曲のDVD付き。
まずこの人は何といっても見た目がエロい。他のジャケットではスケスケだし、ビデオクリップも色気が満載だ。が、ビジュアルだけではない実力派なギャップが一番の魅力だ。
ほとんどの曲は彼女の作詞作曲で、ウクライナ〜ロシアらしいちょっと懐かしいセンチメンタルなメロディが満載。アップテンポなダンスポップ、激しいロック調、哀愁のバラードとさまざまな曲調ながら、必ずサビでやられてしまう。肌の露出とは裏腹に、保守的ともいえる王道ポップス路線だ。
声質はやや鼻がかった低音で、打ち込みのダンサンブルな曲だろうが、ロック調のバンド的な曲だろうが、難なく歌いこなす。申し分のない歌唱力と作曲能力。実力はありながら、過激な露出を全面にださざるを得ないこの音楽業界の厳しさをひしひしと感じる。潰されないでがんばってほしい。

こんなにエロくピアノを弾く人をはじめてみました。



ルックスも一級品 

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2014年12月09日

МРФ / Вальсирующие во тьм (2012) ウクライナ

フルールのエレーナさんのソロプロジェクト。オルガさん以外のフルールの面々が参加している模様(ロシア語?さっぱりわからんので推測)
プロジェクト名は「My little pink fascist」の略(ピンクファシスト??)。
タイトルは「暗闇のワルツ」と訳される。2枚組、全22曲。

エレーナさんといえばアコースティックギターだけど、ピアノを弾いているのがまず驚き。そしておそらくピアノで作曲していると思われる。
音楽的にはフルールでのもの哀しい旋律とはまた違った哀しい旋律で、暗いというよりも漆黒。そしてあどけない声は狂気をにじませる。フルールでは完全にコントロールされた美意識のもとに完璧な構成の楽曲が並ぶけど、フリーフォーム的な耽美世界が垂れ流されたりと抽象画的色彩。アレンジもやりすぎなくらい凝っていいる曲もあって、ギリシアのサヴィナ・ヤナトゥーやマリア・パパドポリューが連想されるところ。
本家フルールでも、たまにゴシック趣味や狂気を感じることがあったけど、エレーナさんの正体がここにありという感じ。もちろん傑作。

グーグルで強引に訳した曲名。

1。爆発の結果
2。高等数学の自己破壊
3。サンクトゥスヤヌアリウス
4。モロク
5。紙吹雪
6。Conechko
7。エッフェル塔での新婚夫婦
8。ドッペルゲンガー
9。心電図
10。Tuulahdus
11。踊ってMescalito
12。最後の夢
13。私たち、怖いもの知らずの
14。私の新しい黒い翼
15。(JB用)不死
16。銃の下で
17。健忘
18。ラビリンス
19。レッドブル
20。Appassionastya
21。ランゴリアーズ
22。ストリップショー
23。暗闇の中でワルツ



2曲目。「高等数学の自己破壊」すごいタイトルだなあ。
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2014年12月08日

Flëur / Штормовое предупреждение (2014) ウクライナ

今年の10月に発表された8作目。
今年は特にウクライナの政情が混迷していて、ニュースや新聞などで「ウクライナ」の言葉を聞かない日は無いといっていいくらい。ニュースで出るのはウクライナ東部、フルールの面々がいるのは西部のオデッサ。大丈夫だとは思っていたけど、こうして変わらずに2年のペースを守って新作が届いただけで嬉しい。

音は説明不要で、聴く前から良いのはわかってるところ。この変わらない絶対の信頼感が彼女たちにはある。
いつもながらオルガとエレーナが5曲づつ交互にボーカルを取る、インストを含む11曲。




冒頭の1曲。すべての作品で、オルガ→エレーナという曲順でアルバムの冒頭は必ずオルガの曲になるんだけど、どの作品でも本当に、コレしかないでしょ!っていう曲をもってきてくれる。
惚れ惚れする作曲能力。引き出しは無限だ。

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2014年12月07日

Flëur / Пробуждение (2012) ウクライナ

7作目。Awakening。
今回は冒頭と中間にインスト曲があっての、いつものようにオルガとエレーナの曲が6曲づつ。
本作もいつものように高濃度高密度。オルガの声が妖艶さを増していたり、エレーナの声が現実離れを加速していたりするものの、基本的にはデビュー以来やっていることは同じ。ダークで哀愁の旋律をアコースティックをベースに奏で続けるという自分たちのスタイルをひたすら貫き通す姿勢に感動を覚える。



2012年のライブ。
ウクライナでは相当人気があると思われる彼女たちで、you tubeでは膨大なライブ映像があるものの、ほとんどはファンが勝手に撮影したものだけど、これはきっちりと何台かのカメラで撮影されている。
当時オルガさんは37歳でエレーナさんは42歳。
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2014年12月05日

FLEUR /Тысяча светлых ангелов (2010)ウクライナ

6作目。Thousands of bright angels
2枚組の超大作。どれも高レベルの作品ばかりだが、どれか1枚選べと言われたら本作。
いつもながら冒頭の前奏曲の後に、オルガとエレーナの曲がきっちりと8曲づつの全17曲。
デビュー時からのアコースティック感、4作目からのアンビエント色、クラシカルな旋律、哀感たっぷりのメロディが高い位置で融合。アレンジも抜群に曲を引き立てて飾り付ける。
どの曲もまったく隙がなくて、明解ながら奥深い。どうしたらこんなにいい曲ばかり並べられるのか。個人的には感嘆しかでてこない奇跡的な1枚。

オルガさんの曲。
この人のボーカルの表現力は、年々凄みを増している。
そしてライブでの再現性も抜群。このバンドにライブでできない曲はない。



2012年のライブ映像。
アコースティックからゴシック的な展開に行く。
ひとつの曲の中だけでも表情がくるくる変わる。



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2014年11月28日

FLEUR / Eyforiya (2008) ウクライナ

5作目。Euphoria
本作もいつも同様、二人できっちりと7曲づつボーカルを分けた、前奏曲を含む全15曲。
前作を覆っていたアンビエント音は少なくなったけど、エレクトリックなアレンジや重いリズムなどは残って洗練された感。前作と比べて、フルートやバイオリンやチェロの存在が埋もれていない。ただ、ギターの音色などが重く暗いものになっていたり、ボーカルが加工されていたりシュールなトーンが覆う。最後の2曲の高揚感はプログレ的な大仰さだ。
メロディのとっつきやすさがあまりなく、それまでに比べて地味な印象ながら奥深い。かめばかむほど味がでてくる。

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2014年11月27日

FLEUR / Vsyo Vyshlo Iz Pod Kontrolya (2006) ウクライナ

4作目。 タイトルの英訳は、Everything is out of control
一聴して変わったのが、打ち込みによるアンビエント音、
そして重くビートを刻むリズムとアレンジ面での変化が大きい。ただ暗さと哀愁たっぷりの曲調は変わっておらず、それらが合わさっていい化学変化がおきている。前作までが森の中の暗さなら、本作は地方都市の暗さといったところ。
二人のボーカルばかりに目がいくけど、バンドメンバー、アレンジャーなどの裏方のセンスの良さも感じる。

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2014年11月26日

FLEUR / SIYANIE (2005) ウクライナ

3作目。「Shining」と訳す。
1〜3作目は、どの作品も大きな印象は変わらず、相変わらずのアコースティックアンサンブルと明るさの微塵もない哀愁の曲が並んでいる。
この初期3作品はフランス盤も出ていて、エレーナの声なんかフレンチポップスにぴったりとも思うんだけど、売れなかったんだろうな。
ちなみに今は、初期3作をひとつにパッケージしたCDがあるので、最初にこのグループに触れるならコレで決まり。



オルガさんの作品。
哀メロしか作れないようだ。



エレーナ節爆発。必殺の曲でしょう。
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2014年11月25日

FLEUR / VOLSHEBSTVO (2004) ウクライナ

2003年のセカンドアルバム。タイトルは「MAGIC」と訳されるらしい。
ファーストアルバム同様、アコースティックなスタイルでの楽曲群。きっちり7曲づつをオルガとエレーナで分け合う。
この人たちの作品は、すべてのアルバムに共通するんだけど、突出して素晴らしい曲というのはなくて、全部いいという感じ。かといって単調ではなく、それなりに起伏があるうえに声がまったく違うので飽きることがない。



2006年のライブ映像。
エレーナさん、ほぼ微動だにせず。




今度はオルガさんほぼ微動だにせず。
お互いの曲には、最低限の介入しかしないのだ。
コーラスもほとんどつけないけど、この曲ではつけている。
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2014年11月24日

FLEUR / PRIKOSNOVENIE (2002) ウクライナ

ここ10年くらいの間、最も聞いているのはプーだったりズファンティ関連だったりするんだけど、もうひとつがこのフルール。
ウクライナのオデッサで結成されたグループ。
このグループの大きな特徴は、異なった個性をもつ二人のソングライターがそれぞれに歌っているということ。
アコースティックギター担当で、フレンチポップスのようなあどけない声質のエレーナ。
ピアノ担当で、フォークトラッドな声質のオルガ。
この二人の楽曲がすべてのアルバムで同曲づつ、さらに偶数曲はオルガ、奇数曲はエレーナといった具合に規則正しく振り分けられている。

個性際だつ二人のボーカルに、アコギ、ピアノ、フルート、チェロ、コントラバス、パーカッションという布陣。
曲調は、明るさは微塵もなく、哀愁感のあふれる暗い曲ばかり。
ブリティッシュフォークに近い雰囲気だ。

冒頭に必ず入る1分くらいのオープニング後の2曲目と3曲目。
この2曲で僕はイチコロにされました。

デビュー作にして、とにかく恐ろしい完成度。
無駄な曲はもちろん、無駄な瞬間さえないと感じるほどでした。




これが2曲目のオルガさんの曲。デビュー間もない頃。





こちらが3曲目。エレーナの曲。
この2曲が気に入れば、全作品買うしかないでしょう。
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2006年07月15日

ゴールデン・ユニヴァーサル・エンジェル

B00005GKSF.09._SS500_SCLZZZZZZZ_.jpeg今日は猛烈に暑かった。
タイミングが悪いことに、しばらくハウス内で仕事。遮光ペイントなどで日差しを遮っているものの、日陰でさえ暑かった。
冬の生まれ僕は暑さに弱い。おまけに、昨日は寝つきが悪く、寝たと思ったら金縛り(シドかな?)にあったりと睡眠不足で、いつも以上の疲労感だ。
そんな不快な暑さから逃れて、冷房のきいた部屋で聞きたくなったのがこの1枚。

今日の1枚。
METTE HARTMANN / SWAN (1995) ノルウェイ

1975年ノルウェー生まれ。スラリし長身で鮮やかな金髪と美貌からファッションモデルとしても活動していたというメッテ・ハートマンのデビュー作品。デビューシングル「アイ・ビリーブ」がノルウェイのチャートで1位になり、それに目をつけたEMIにより同時に世界デビューも果たした。

日本盤の帯に書かれているのは、「オスロのカフェ、午後7時。僕はメッテに恋をした。〜時代はスムース・ジャジー・ボーカル」というお洒落でコンテンポラリーなAORかなという印象。しかしこれが聞き込んでみるとそんな生やさしいものではない実力派ボーカリストであることがわかる。
アルバムの全曲に作詞もしくは作曲に携わり、ソウル、ポップ、ジャズ、ボサノヴァといったバラエティなジャンルを表現豊かに歌い上げる。基本的に透明感のある美声といえるんだけど、当時20歳とは思えない落ち着きや、バラードなどで冴える抜群の表現力など、只者ではない。またバックの演奏も安定感とともにセンスがよく、特にジャジーな場面でのギターやリズムパターンなど、ツボを心得たものだ。しっかりした歌唱と演奏という点で、ズバリ、北欧のシャーデーといってもいいと思う。

ヒット曲で日本でもFMを中心にガンガンかかっていたというスムース・ジャジーな1「アイ・ビリーブ」が強力だが、他の収録曲もすべていい。R&B的なリズム感とジャジーさが同居した3、7、9や、歌唱力のない歌い手ではクサくなってしまう5、15のバラードなども一級品だ。

軽めのBGMとしてセレクトしたつもりが、いつの間にか聞き入ってしまった。昼間の体に浴びた熱気をクールダウンさせるつもりだったのが大誤算。大量消費され使い捨てられる1枚ではない。かなりの好作力作だと思う。

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2006年04月26日

らいららい

5ff0a996.jpeg今日の1枚。

LAILA / IT'S ALL ABOUT LOVE (1998) スウェーデン

ぜんぜん知らなかったんだけど(汗)、1998年前後は北欧ポップスがブームだったようだ。特にスウェーデンからはアバを輩出した土壌のよさからか、多くの魅力的なアーティストが登場した(ジャスミンもそうだ)。彼女も、そんなブームの中の一人だ。(たぶん)1973年生まれ。ジャケットから見るに、鮮やかなブロンドとヘソだしルックというファッションモデルのような美女だ。エイス・オブ・ベイスを手がけ、メイヤを発掘したという名プロデューサー、アンダース・バックが、本作のプロデュースとともにほとんどの曲を書いている。

何の予備知識もなく最初聴いたときの印象を一言でいうなら「懐かしい!」だ。60年代のシュープリームスのようなソウルポップや、70年代後期のテイスト・オブ・ハニーやシルヴァーズのようなダンスポップといったイメージが連想できた。そして、ジャケットを見たら制作年が1998年でびっくり。それほどに、時代感覚が失われてしまう雰囲気だ。とはいっても古臭いということはなく、素直なメロディに、素直な明るさをもった曲の数々は、流行とは別次元のいつの時代でも受け入れられるポップスの王道ともいうべきものだ。

そして素直なメロディを歌うライラのボーカル。これがまた声が澄んでいて癖がない。たとえるなら冬の日曜日の朝にさえずっている小鳥だろうか。清廉潔癖でありながらそこに感じるぬくもりが優しい。色気や女性っぽさが希薄なんだけど、こういう単純明快なポップスではあっていると思う。

4はCMで使われていたようだし、8は「ジャスト」で使われていたなど、耳馴染みのある曲もあって楽しい。やっぱりこれ1枚だけで消えてしまったようだけど、名作とは言えないまでも、残された本作は素晴らしいものだ。現実逃避でも、情熱の発露でもない、純粋に音の楽しさだけを追求した音楽。心が疲れきったときに、思い出したい1枚だ。
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2006年03月10日

ジャスミンに首ったけ

a4885858.jpg今日の1枚

YASMINE GARBI / YES (1997) スウェーデン

ジャスミン・・、それは亜熱帯に生息する可憐な花
ジャスミン・・、甘く官能的な匂いのハーブ
ジャスミン・・、清純という花言葉
ジャスミン・・、スウェーデンの歌姫・・・・

綴りは「YASMINE」だが、ジャスミンと読むらしい。
1971年生まれ。それまでは女優として活動をしていたが、自称ソングライターのパトリック・バーグレンなる者が彼女の声にほれ込み、歌手としてデビューした。本作はそのデビューアルバムだ。すべての楽曲をパトリックが書いている。

スウェーデン産の女性シンガーだが、北欧的な地域色はほとんどなく、洗練されたポップスといった印象だ。フォーク、ロック、バラードといった様々に表情を変える曲調を、癖のない爽やかな声が清らかに歌い上げる。どこを取っても良くできていて、単純明解ポップスのタイトル曲2、しっとりとした色気を感じる5、穏やかな春の日を思わせるフォークタッチの6、7、切れ味鋭い8、楽しさで溢れたミュージカルポップな10、そしてジャスミンという名前を裏切らない(?)哀メロが全開の大曲11と、聴き所が満載だ。ひろりん的に女性シンガーに求めるほとんどの要素を網羅しているといってもいいだろう。もちろんルックスもいい。

だが本作1枚で彼女はシーンから消えてしまった・・。日本盤も作られるほどに、世界的な成功を目指したが大コケしたようだ。その原因は、インパクトに欠ける部分にあると思う。癖のない声は個性の無さであり、程よく上質に作りこまれた曲は楽曲間の起伏を無くしアピール力を減退させる。このあたりを考えると、本当にヒットを作り出すことの難しさを感じてしまう。

もちろん彼女は消え去ったとはいえ、作品はずっと残るものであり、その素晴らしさは変わらないものである。むしろ時代から離れたところから捉えた方が、本作の良さに素直に気付けるのかもしれない。北欧に咲いたジャスミンに溢れた音の雫・・、それは永遠に乾くことは無いのだ。

ジャスミン・・、それは瞬きの中の輝き
ジャスミン・・、ブックオフで210円(爆)
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2005年02月01日

復帰

今日の1枚。韓国ドラマで泣いた後に・・

AFTER CRYING / AFTER CRYING SHOW (2003) ハンガリー

現代のプログレ界の巨星、アフタークライングの現時点での最新作。
前作からは6年のインターバルを経たが、基本的には重厚なオーケストラとヘビーなプログレクラシックが緊張感を保ちつつ壮大に絡み合うといったそれまでの延長線上。ただ、以前作までは感じられなかった重苦しい叙情感が漂っている。レッド期のクリムゾンのもつ、凶暴さに纏わり付く美しさや、闇雲に疾走する出口の見えない閉塞感など、以前作でも感じた古典プログレのイディオムがより強調されて、聴き手を圧倒させる。強圧的なまでの巨大な存在感は、比較対照を探す気にならないほどに、唯一無二のものだ。
このバンドを聴いていて感じるのを例えるなら、現代に恐竜が生きていたというところだろうか。とうの昔に絶滅したプログレが、現代に昔のままの姿で忽然と現れた。プログレの生きた化石。一見恐竜っぽい名前のアネクドテンなどとは次元が違う本物の姿に、僕はひれ伏すしかないのだ。


After Crying Show
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2004年11月25日

ヨーグルト

今日の1枚。
FSB / 2 (1978) ブルガリア

ブルガリアはおろか、東欧を代表するシンフィニックバンド。FSBとは「Formation of StadioBalkanton」の略であり、バルカントンとはブルガリア国営レコード会社のことで、そのスタジオミュージシャンらによって結成されたバンドらしい。76年にデビュー。90年には、他のミュージシャンの曲でだがプロデューサーとアレンジャーとしてグラミー賞にも輝いているそうだ。知らなかった。
本作は2作目。このときのメンバーは、ルーメン・ボヤジエフ(key,vo,ds)、コンスタンティン・ツェコフ(key,vo)、アレキサンダー・バハロフ(b)の3人。ツインキーボードを生かしたカラフルでスペイシーなシンフォニック空間を軸に、力強いバンドアンサンブル、ジャジーな展開などが散りばめられる。全8曲のうちインストが6曲で、イエスのようなテクニカルシンフォニーに、トトのようなタイトな風味も加わる。地域色はあまり強くなく、垢抜けてソツのない水準の高い演奏だ。またボーカルの入る3、6では、伸びやかな声と爽やかなコーラスに導かれて楽曲がドラマチックに展開していく聴き応えのあるもの。音の厚いベースラインに専属ではないだろうに力強くテクニカルなドラミングも存在感たっぷりだ。
世界に通用するシンフォニックロックな1枚。唯一の不満は32分弱と短いところか。もっとこの世界に浸りたい。
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2004年08月17日

トリアナ

今日の1枚。
TRIANA / El Patio (1975) スペイン

ロックとフラメンコの融合させたスペインを代表するバンドの記念すべきファーストアルバム。アンダルシアはセビージャ出身。メンバーは、キーボード&ボーカル、フラメンコギター、ドラムの3人組だが、ゲストとしてカナリオスからアントニオ・ペレスらが参加。
なんといってもフラメンコギターの印象が強烈だ。哀愁を振りまくキレのある高速フレーズと、いかにもプログレなメロトロンをはじめとする重厚なキーボード群と、ヘビーに爆発しまくるドラムの同居が、異色でありながら実に新鮮な響きを奏でている。曲によっては、フラメンコの楽曲を強引にロックスタイルでやっているような強引さもあるが、情熱のほとばしりにねじ伏せられ納得させられてしまう勢いがある。土臭く熱唱する味わいのあるボーカルも、バンドのスタイルによくあっていると思う。
日本人が通常的に想像するスペインという地域性と民族性が色濃く出ている作品だと思う。洗練されてはいないが、哀愁と情熱に満ちた、無理矢理ドラマチックプログレ。力強い演奏に終始圧倒されます。
posted by ひろりん at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月16日

朝もや

今日の1枚。
FLOWERYARD / Morning Mist (2003) ノルウェイ

ノルウェイの美声3人組。曲を書いてメインボーカルをとるTORHILD NIGAR(ジャケ左の人)と、コーラスのLine Ivarson Blixt(右のカメラ目線でいちばん目立っている人)、Hanne Skjønneberg(中央)という構成。
ハープや弦楽器などしっとりとしたアンサンブルの中を、透き通るような美声ボーカルが舞い、天上界のごとく澄み渡るコーラスが一面を覆いつくす。フォーク調、ケルトっぽい民族調、シンフォニック調とゆるやかに表情を変えながらも、ひたすら心地のよい音空間が眼前に広がる。声だとか楽器だとかの構成要素は、いつしか溶け合って分離が不可能なほど一体化し、どこか別の世界へ入り込んでしまったかのように現実社会を歪ませる。エンヤあたりと似ているかもしれないが、あそこまでは作りこまれていないし、ポップスの香りも時折漂うなど、ほんのちょっとの非日常といった演出で入り込みやすい。タイトルどおり「朝もや」といった表現が最も適していると思う。
極上の全9曲40分。まじりっけの無いピュアセレクト。きっとマイナスイオンやα波がたっぷり満ちた音楽、というか音。猛暑のお供にぜひ。体感温度が5℃は下がります。

FLOWERYARD
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2004年07月05日

顔がにやけたケロンパ

ドライブというわけでもないが、隣町を車で走っていたらトンネルができていた。
いっいつの間に。
全長1キロ、かなり立派なトンネルだ。
しかしこれがまた存在価値が不明。
トンネルを通る必要性が地勢的に乏しいし、実際上の必要性も何も思いつかない。
10分くらい車を止めていたが、その間に1台も車に出会わなかった。
謎のトンネル。ある意味怪奇スポット。

今日の1枚。
GIPSY KINGS / Same (1987) スペイン

日本でもお馴染み、ジプシーキングス。チャップリンに涙を流させ、ブリジッド・バルドーを虜にしつつフランスにおいて2枚のアルバムを作った後に87年に大手ソニーと契約して発売した世界デビュー盤。当時のワールドミュージックの波を牽引し、世界中で大ヒットした。
レイエス家とその親戚であるバリアルド家のファミリーによって構成される8人組。スパニッシュギター、手拍子、ヒゲの濃そうなボーカルが特徴だが、仄かな哀愁とダンサンブルなリズム覚えやすいメロディと魅力はたっぷりだ。1「バンボレオ」、8「ジョビ・ジョバ」(サビは「顔がにやけたケロンパ」としか聴こえない)の大ヒットシングル、チャップリンを感動させたというマイ・ウェイのカバー7、鬼平犯科帳(!)のエンディングテーマで使われた6「インスプレーション」と、収録曲も話題に事欠かない。
実際にジプシー(流浪の民)だったという彼等。定住の地を持たず、音楽を生活の一部とする背景がありありと目に映るようだ。音楽は楽しいもの、音楽は愛しいもの、音楽は尊いもの、そして音楽は必要なもの、といった言葉にするのにも恥ずかしいようなフレーズが頭をめぐる。商業性とは対極にあるもの。きっと彼らは世に出てはいなくても、こんな音楽を今でもやっていたことだろう。
個人的には、スペイン語のアクの強いボーカル曲も魅力的だが、3、6、9といったインスト曲が実にエキゾチックな哀愁に満ちていてお気に入り。ギターさばきも、手足の一部のように自然でいてよく響く。一般のロックギターの「○○になりたい」や「ビッグになりたい」といった動機のもとに積み重ねられたものとはまったく異次元のものだ。世界中に受けたというのが、実に痛快。


流浪の民ジプシー、スペインのロックとしてカテゴリー分けはあんまり意味なさそうだな。なんか国なんてどうでもよくなってきたな。そうだ祭りはスペインだけではないのだ。僕も流浪しよう。明日はどこへ。(スペイン祭り一旦終了)


ジプシー・キングス
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2004年07月04日

四季

今日の1枚。ようやく出た。

CANARIOS / ciclos (1974) スペイン

スペインで最も有名で重要なプログレシッブバンド。という割りにに知らなかったんだけど、これは3作目で以前は普通のロックバンドらしい。本作のみ突然変異的にプログレになったとか。ヴィバルディの「四季」を独自の解釈でアレンジした、LP2枚組片面1曲で4曲の大作のみ。CDでは1枚に纏められている。
とにかく壮大にして美装絢爛豪華、巨大なシンフォニック構築物。メロトロンが一面を覆いつくし、ギターやムーグが飛び交い、合唱団や女性ボーカル(顔怖い)が彩りをそえる。様々な効果音も賑やかに盛り上げる。クラシックのロック化という言葉では表現できない斬新な独創性。安易な解釈を許さないような、近寄りがたいオーラと気品に満ちている。ロックのダイナミズムとクラシックの整合感、そしてプログレの何でもあり感のすべてが同居する驚異の構成力、張り詰めた糸のようなテンションの高さに満ちた演奏、とすべてに申し分ない。
スペインという国で評価するにはあまりに大きい一大スペクタクル。74年の段階で、ここまでの作品を作るというのは信じ難いが、かといって後年になって作れるとも思い難い。多くのミュージシャンと優秀な裏方が一体になって作り出した奇跡。終始、圧巻な一枚。
ただ、・・・本音をいうとちょっと疲れます。
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2004年07月03日

かまちょ

HILARIO CAMACHO / De Paso(1975) スペイン

現在も現役で、10作以上の作品をリリースしているシンガーソングライター、イラリオ・カマーチョの75年発表の3作目。
基本的には英米のシンガーソングライター然としたアコースティックギターを中心ボーカル物なんだけど、エレピやフルートやメロトロンといったプログレ寄りのアンサンブルが耳を捉える。
やや濁声で(誰かに似てるんだけど思い出せない)メロディアスに切々と歌い上げるんだけど、イタリアほどではないものの仄かにドラマチックさを感じさせるとともに人間の温かみを感じる味のある声。ブルースやシンフォニック、フォークと表情は多彩だが深入りはしていない。そしてあくまで声を引き立てるために機能する楽器アンサンブルも、温かく丁寧でいてさりげなく美しい。イタリアのレアーレあたりに近い印象だが、歌に比重がかけてある分だけ直接的に感情を刺激してくるような感じ。
スペインらしさというのはあまり感じず、70年代初期のアメリカの閉塞感的な雰囲気はちょっと珍しい気がする。ただ、母国語でこれを聴けば、きっと胸にぐっとくる音楽。スペインの良心。
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2004年07月02日

ゴマ

笑金、最近自分の評価と番組での結果が一致していることが多い。
スピードワゴンとタカアンドトシは、正統的に面白い。どちらも関西人ではないということが、逆に漫才の様式美を純粋に高めることができたかのよう。
韓国ドラマの図式にちょっと似てるかも。


今日の1枚。スペイン祭り復帰。
GOMA / 14 DE ABRIL (1975) スペイン

スペインはセビリア出身のバンド。ひらけゴマ、ではなくゴーマと読む。「ゴム」という意味。変な名前。「4月14日」というタイトルの作品。ジャケットにはマヤ文明の神殿を思わせるイラストがあるんだけど、なにか関連があるのだろうか。
バンドは専任のサックス奏者を含む6人組。収録曲は4曲のみですべて8分以上と長尺だが、かなりガッチリとした演奏力と次々と展開する構成の巧みさで完成度は高い。2曲目で聴かれるスパニッシュギターは、スティーブ・ハウが安っぽく聴こえるほど本場の音だし、サックスの響きも意外とシンフォの世界では珍しく個性的に聴こえる。カッチリとした曲構成にジャズロック的なフリーの展開を織り込むなど、緩急をつけていながら緩みきらずに、何事もなかったかのように平然と戻ってくる(この辺はゴムか)。
ボーカルもメロディアスな歌心を感じるし、ギターやシンセなども十分のセンスとテクニックを見せ付けるが、エゴをさらけ出すほど突出することなく楽曲に殉じている。リズム隊(ドラマーはこの後グラナダへ)も申し分なく、メンバー全員がそれぞれにレベルが高い。全員で畳み掛ける部分ではちょっと鳥肌がきます。
スリリングで地域性に溢れたハードシンフォ。傑作だと思う。
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2004年07月01日

ハンバーガー・コンチェルト

炎天下のドライブ。
名四国道が渋滞すごかった。
ひろりん特選80年代コレクションCDをかけながら大声で歌っていたら、前の車両の後部座席のお子さんに手を振ってもらえた。

今日の1枚。
FOCUS / HAMBURGER CONCERT (1974) オランダ

ヤンのやる気を起こすための「ライブ・アット・レインボー」をはさんでの5作目。ドラムが、イギリス人のコリン・アレンに変わった。旧A面は小曲、B面は大作という「ムービング・ウェイブス」と同じ構成。曲調も大雑把にいえば「悪魔の呪文」が無いことを除けばほぼ同じだ。
一聴して地味。個性の強いヤンとタイスのキャラのぶつかり合いがこのバンドの大きな魅力だが、本作においてはお互いに遠慮しあっているように大人しい。ただ注意深く聞くと、タイスはいつも以上にキーボードの比重が大きいし時折奇声を出したり、必殺の哀愁のフルートも健在。ヤンもいつもどおり弾きまくっている。つまりは、お互いがしっかり力を出していながら、それがピッタリとはまってしまったためにいつもより大人しく聴こえてしまうのだ。そしてその整合感は格調の高ささえも醸し出し、クラシカルな雰囲気がより濃厚に漂っている。ドラムに関しても、ロックタイプのリンデンよりも、堅実にリズムを刻むタイプのコリン・アレンへの交代は本作の構築性の高さの大きな要因だと思う。
個人的にはこれがフォーカスの最高傑作。奇抜さに欠けるところはあるけど、楽曲はよく練られている(とくに大作)し、しっかり盛り上がるところは盛り上がってくれる。粗というか手抜きもほとんだ感じられないし、隙のない完成度の高さだと思う。、
本作を最後に大作は姿を消し、次作を最後にヤンも脱退。フォーカスがフォーカスらしかった最後の作品。深読みするなら、バンドが到達点を迎えてしまった作品といえるかもしれない。「レア→ミディアム→ウェルダン」と展開していく協奏曲「ハンバーガー・コンチェルト」、焼ききったとなればあとは焦げつきるだけなのだ。


フォーカス、いいバンドだよなあ。しみじみ。
有名すぎる嫌いがあるけど、プログレの美味しいところを全部持っているっていう感じ。
あの不遜な天才肌のヤンと、器用な職人肌なタイスのキャラの対比もバッチリだもん。
タイスの読み、なんかよく揉めてるけど(笑)、僕はティッジィスとは呼べないなあ。

あっ、しまった、スペイン祭り中だった。すぐ帰ります。
オランダ惜敗記念ということで。

ハンバーガー・コンチェルト
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2004年06月30日

エリクサーちょうだい

ビヨンセはソファーに寝そべっただけで3億円だとか。
休日に、ソファーに寝そべっているだけなのに、邪魔物扱いされる全国のお父さんは泣いてください。

おっと、ひろぴょんが投稿してくれた。
前回と比べてちょっと賢くなってない?
クラウゼしたってどういうことだろう。
ヘンリーカウに飲み込まれたとか?

今日の1枚。スペイン祭り開催中。ちょっと楽しい。たぶんひとりぼっちだが。

AZAHAR / Elixir (1977) スペイン

「オレンジの花」という意味のバンドの、「錬金薬液」というタイトルの作品(また出てきたぞ錬金術)。kazkazさんが欲しかったのはもしかしてこれか。
南米のウルグアイで活動していたホルへ・バラルがマドリッドで結成されたバンドとのこと。ドラムレスの4人組。浮遊感のあるスペイシーなストリングス空間を、スパニッシュだったりノイジーだったりロックだったりと、様々なスタイルのギターが絡む。ちょうどスティーブ・ハウのスタイルのような感じ。それに曲によってはいかにもスペインな、巻き舌でアクの強いボーカルが乗る。7〜9曲目はメドレーのようで、錬金薬液を調合しているような効果音とともに、ミステリアスで妖異な雰囲気とともに中世ロマンを感じさせる展開がなかなか良い。ドラムレスだが、しっかりとテンポアップして盛り上がっていくグルーブ感は凄い。錬金術を描かせた音楽に駄作なし。(ひろりん金言集)
特異的でありながら、地域性に富んでいて面白い。スペインロックの奥深さをはかれる1枚。
posted by ひろりん at 23:08| Comment(2) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月29日

錬金術師の歩み

ネットラジオって自分で配信できるらしいね。
お気に入りの音楽を全世界へ配信できるんだね。
お気に入りといっても、辺境ロックなんだが。
誰も聞いてくれずに自己満足で終わるんだろうなあ。
著作権とかどうなってんのかなあ。バーレーンやペルーに著作権料払うの?

今日の1枚。スペイン祭り開催中。

ALFREDO CARRION / Los Andares Del Alquimista (1976) スペイン

「四季」のアレンジでお馴染みのカナリオスで、アレンジャーとして名前を見ることができるアレフレッド・カリオンのおそらくは唯一作。クレジットを見ると総勢15人のメンバーが入り乱れているが、自身は作曲と指揮(?)で参加して演奏には加わっていないようだ。カナリオス同様、形態としてはプロジェクト的なようだ。
スペインのオパス・アヴァントラの異名どおり、低い女性ボーカルがなかなかの熱唱を聞かせる。ただ、前衛的な雰囲気はなく、どちらかというとフォーク的である。牧歌的な哀愁感、オペラチックな盛り上がりなど、歌心のあるメロディに載せて展開する。インストパートやバッキングでの控えめの弦楽器や管楽器もよく楽曲に馴染んでいる。4曲目では多少実験的になるが、それでも歌物の曲としては成立している。
しかしフォーク的な展開から一転、旧B面での大作ではシンフォニックな雰囲気に。クラシカルで荘厳なオープニングからボレロのリズムに乗せてジャズ的に展開、そして正統派シンフォニック的、ハードロック的なアンサンブル、そして男性コーラスが入っての壮麗さと疾走感が同居するテクニカルでセンス溢れる表情へと次々と展開していく。無理な展開ではなく、各パートは独立して表情を持っていて、まるで映画音楽(B級映画だが)のように流麗にドラマを紡ぎだしている。時折入る弦楽器が華麗だったり緊張感を呼び起こしたり息抜きをさせてくれたりして、よくアレンジされている。タイトルは「錬金術師の歩み」と訳せるようだが、テーマなんてどうでも良いほど聴き所は多い。
前半フォーク後半大作シンフォという二面性だが、どちらもよく作りこまれていて不満はない。多少土臭さのようなものを感じるが、スペインといった雰囲気で逆に個性が出ている感じ。好印象な1枚です。
posted by ひろりん at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月28日

エドワルド・バルトー

9月下旬出荷予定のメロン定植。
これから暑い夏のハウス内の仕事は、ダイエットに最適。
ビールもうまいよ。

今日の1枚。
EDUARDO BORT / Same (1975) スペイン

スペインはバレンシア出身のシンガー、エドワルド・ボルトー75年作。地中海でアメリカ艦隊と契約(拉致じゃないよね)し航空母艦の上でコンサートを開いたり、グァテマラの大統領に招かれて同国でテレビ番組を持ったり、癌撲滅のためのチャリティーを開いたりと、変人なのかなんなのかわからなけど、凄そうな人。もしかしたら有名人かも。
基本的この人自体は、アコースティックを弾きながら歌うというスタイルなんだろうけど、バックを固めるバンドがメロトロンとムーグが2台あったりするところ尋常ではない。
アコースティックギターとメロディアスなボーカルにヘビーなギターが絡み、ドラムは力強いビートを刻み、ムーグがうねりをあげる。それと呼応するように、歌にも情熱の炎が燃え出す。やや荒削りだが、そこが逆に何が飛び出すか予想できない緊迫感を伴って聞き手を圧倒する。後半ではさらに、メロトロンの洪水で強引に盛り上がる。洗練された構成とは言い難いが、ここまで思いつきでやりたい放題やって(いるように感じる)、曲が破綻していないのが凄い。ハード&へヴィシンフォ。
歌詞は英語だが、雰囲気がバタ臭く語尾の伸ばし方も特徴的で、英語圏の雰囲気がまるでないのが面白い。


うーん、livedoor blog の調子がおかしい。
昨日は投稿できなかったし、今日は編集ができず日付を変えられない。
というわけで、昨日の投稿が途切れたようになっているにゃん。
posted by ひろりん at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月27日

レトロポリス

エアコンを2台買いに行った。
さすがに2台も買うと、値引き交渉もスムーズ。
すぐに担当の兄ちゃん、上の者と相談しに行ってくれた。
エアコン自体は、これ以上値引きできないので、工事費やリサイクル料など2万円ほど肩代わりしてくれた。
店頭表示に「ワンプライスで値引き不可」と書いてあったが、言ってみるもんだ。

今日の1枚。
FLOWER KINGS / RETROPOLIS (1996) スウェーデン

前作から僅か半年でリリースされた2作目。メンバーやゲストなど、ほとんどが同じ。
前作では高レベルのシンフォニックを構築しながら、巧く機能しなかった面や中途半端だった部分が(後年から遡ってわかることだが)、スッキリと改善された。顕著なのはキーボードのトーマス・ボーディンの目立ち具合で、カラフルな音色を駆使してバッキング、ソロと的確でいて印象度の高いプレイで大活躍。さらに楽曲も手がけ、ロイネ・ストルトと共にバンドに無くてはならない存在に成長した。また楽曲自体も前作と比べて、より複雑でダイナミックになりながらもメロディも重視されており、フラワーキング節ともいうべきスタイルができあがったように思う。
根幹となる曲がすべていい。変化に富んだオープニングのインスト曲「Retropolis」、ロイネとハッセのツインボーカルでポップでいてシンフォニックな要素が散りばめられたフラワーキング節ともいうべき「There is more to this world」、ロカビリー調で遊び心に溢れた「Silent sorrow」、そしてヘビー&ドラマチックに展開する「Judas kiss」と、すべてに濃密な要素ギッシリの曲が続く。そしてそれらを結ぶ小曲も、哀愁感や実験性に富んでいて息つく暇もないほど。全11曲68分恐ろしいほどの音密度だ。
次作からはより深く発展していくのだが、純粋に音楽として明解に楽しめるという点では本作がいちばん。凡ファンと言われようが初期フラワーキングスの集大成にして名盤だと思う。常に前向きでハートフルな姿勢に励まされます。


レトロポリス
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2004年06月25日

ムービング・ウェイブス

オランダの方2名と飲むことになった。
当然、オランダといえば聞く事はこのこと。

ひろりん「ワタクシオランダのオンガクがスキなんです」
おらんだ「オオー、なんたらなんたらデスカ?」
ひろりん「???」「えーと、フォーカスやトレースやカヤックなどデス」
おらんだ「???」
ひろりん「えっと、70年代のバンドナンデスケド」
おらんだ「オオ、フルイネ。ナマエクライシカシラナイ」

オランダ音楽の話終わり。

でもさすがにヨーロッパ人はサッカーには熱い。
ユーロの話で、相当熱くなっていた。
絶対の自国の勝利を、全身をつかって熱弁していた。

というわけで今日の1枚。
FOCUS / Moving Waves (1971) オランダ

ロイヤラロイヤララッパッパーの「悪魔の呪文」で世界を席巻してしまったユーロロック史上最も成功した2作目。曲は全米9位、アルバムも8位で長期間チャートにとどまった。
「悪魔の呪文」のヨーデルボイスをフューチャーした奇曲のインパクトが強いが、この曲以外は実に叙情的なシンフォニック。3曲目のフルートの哀しみの旋律に涙し、4曲目の室内楽的なクラシカルな展開に震撼し、5曲目のキャメルのようなメロディアスに盛り上がる瞬間にガッツポーズ。やったね。そして旧B面のすべてを使った大曲は、ハードだったりポップだったりジャズだったりと、様々な曲の断片が緩急を付けて次から次へと切り替わっていくオムニバス調。美しさと激しいインタープレイの応酬が同居した大作だ。
クラシックを下敷きにした、タイスの表情豊かなキーボードと必殺のフルート、ヤン・アッカーマンの超絶にして表現力に優れたギターのコンビネーションが冴え渡っていて、明解なメロディをもっていながら聴き所は随所にあって聞き飽きない。ただ、どの曲も、中途半端な印象で、A面はどの曲も実に魅力的な響きを持っているものの、展開しつくさないまま終わってしまうし、B面の大作にしても強引に繋ぎ合わせたような雑然さを感じる。原石を磨いて、一応ダイヤになっているが、もうちょっと磨けばもっと光り輝いたのにといった感じだろうか。ただ磨かなくとも、この方が断然ロック的ではあるという点で、さじかげんが難しい。
有名作だが、最高傑作ではない。とはいえ、さまざまな表情を持つフォーカスの魅力は、すべて本作で提示されているので、最初に聴くならやはりコレから。

ムーヴィング・ウェイヴズ
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2004年06月20日

マキャベリズム

「真田太平記」、
どのような女子が好きかと秀吉に聞かれて、女忍びのお江を脳裏に描き「白木蓮のような女子」と答えた幸村、くぅー痺れた。
そのセリフ、頂いておこう。なにかを花に例える練習をしておこう。

今日の1枚。
MACHIAVEL / MECHANICAL MOONBEAMS (1978) ベルギー

76年のデビューしたベルギーのロックバンドの3作目。
ボーカル、キーボード、ギター、ベース、ドラムという、(珍しく)オーソドックスな編成。
時代的なものだろうか、アメリカプログレ勢の70年代後期の雰囲気。プログレの趣を残しつつも産業にはなっていない頃。明解なメロディと大仰になりすぎない複雑な展開がつかず離れずお互いに共存していてバランスがいい。楽器の音色は穏やかで尖った部分は無いが、ときおりふっとプログレ的旋律が入るなどして油断している聞き手にカウンター。演奏も目立たないけどよく聴くとテクニカルなもの。特にタイトなベースと機敏なドラムのコンビネーションは良い。クィーン張りのコーラスも曲を引き立てて効果的に機能している。
プログレの範疇で語られることは少ないバンドらしいけど、メロトロンや12弦ギターなどジェネシスの影響が見れるし、曲の構成などイエスあたりと似ている面も感じる。大袈裟ではないが、シンフォニックな盛り上がりを見せる曲もありプログレ的に満足できるし、非プログレとして捉えてもメロディアスで凝ったポップスロックとして水準以上の仕上がりだ。優等生的傑作。逆に言えば、多少インパクトに欠けるんだけど。
イタリアの政治学者で「君主論」で有名なマキャべりから名をとったグループ。「国家が危機にあるときは国王は道徳や倫理を超えた手段(権謀術数)も必要」と解くマキャベリズム(知ったかぶり)だが、プログレが衰退する危機的状況下でのポップスセンスの導入だったりしてね。


花に例えるなら紫陽花かな。
うーん例えがイマイチ。
Mechanical Moonbeams


君主論
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2004年06月12日

tako

今日の1枚
TAKO / TAKO (1978) ユーゴスラビア

現セルビア・モンテネグロはベオグラード出身のグループ。旧ユーゴの最高峰とも言われるグループで、フルートを吹くキーボードに、ギター、ベース、ドラムの4人組。作品は2枚のみで、これはファーストアルバム。グループ名は、日本人としては「タコ」と読みたいが「ターコ」と読むらしい。
一応フルートが響き渡ったりジャジーな展開があったりとシンフォニックな音楽をやっているんだけど、手数の多いドラムや不気味にうねるベース、暗く盛り上がるボーカルなど独特の緊張感とねっとりとした重さを感じさせ、ヘビーシンフォニックといってもいい一筋縄ではいかない独自の世界を作り上げている。
リリカルだとか、叙情的だとか、テクニカルだとか、暗さとかいったプログレの要素がごった煮になっているが、場面場面でそれぞれに聴き所があって、捉えどころが無いものの水準以上の満足感を与えてくれる。スペイシーな雰囲気があるのは、時代性だろうか。これがまた、いい雰囲気を作り上げている。
最大の聴き所は、重厚かつハード&ドラマチックに展開していく最終曲16分のインスト大作。戦禍の絶えない国民性なのかな、重苦しく哀しみも感じさせるが、同時に平和への希求のようなものも感じさせる。面白くも、一方で深い。そんな印象の力作。
posted by ひろりん at 23:08| Comment(2) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月28日

グレート・ディシーバー

株式会社クリムゾン、今日も値下がり。
ただ、チャートとか見てみると、3月頃に急騰しているみたいで、その反動がきているみたい。
音楽同様、爆発力は凄い。

社員もクリムゾン好きで入る筋金入りのファンもいるだろう。
入社面接とか、さりげなくキングクリムゾンを匂わせると、喜ばれるかもしれない。
「うちの会社のどこが気に入りましたか?」
「はい、御社の、よりよい人材を得るための冷徹なリストラ、新技術の積極的な導入、民主主義の衣をかぶった社長ワンマン体制による統制など魅力を感じています」
「入社後は、どのような仕事をしてみたいですか?」
「はい、リリカルで叙情的で暴力的に働き、錬金術師や詐欺師として、あぶく銭を稼ぎたいと思います」
間違いなく不合格。


メールを頂いた。
取り上げるCDがマニアックすぎ、との有難い御指摘をいただいたが・・・無視する(笑)
そんなに最近、マニアックじゃないと思うんだけど。

今日の1枚。
IBIO / CUEVAS DE ALTAMIRA (1978) スペイン

4人組のシンフォニック・プログレバンド、78年発表の唯一作。
古代ロマンに溢れたジャケットや、アルタミラの洞窟というタイトルから、古代をコンセプトにした作品だと思っていたんだけど、実際は彼らの出身地であるカンタブリア地方のサンタンデールの自然と伝統をテーマにした作品とのこと。
1曲目から、壮大なメロトロンとシンセが響き渡り、泣きのギターが入り、儚げな哀愁感をもった不思議な魅力のボーカルと魅力たっぷり。以降、ジャジーに展開したり、テクニカルな演奏を聴かしたり、さらにハードな面も見せる。
演奏力は申し分ないし、構成も複雑でバラエティ。そして時折ふっと入る哀愁のフレーズにトドメをさされる。
テンションはそれほど高くは無いけど、最後まで息切れのしない持続力。目立たないながらも傑作。


The Great Deceiver (Live 1973-1974)
posted by ひろりん at 16:55| Comment(2) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月25日

サーカス

下の2枚は、携帯電話から投稿したもの。
携帯のカメラで撮って指定されたアドレスに送るだけで、自動的に投稿が完了する。
仕事中にハウスからちょっとやってみた。
これをモブログ(モバイル+ブログ)と言うんだって。

今日の1枚

CIRCUS / MOVIN'ON (1977) スイス

ユーロロック屈指の名盤として名高い。
スイスのバンドの2作目。テナーサックスを吹くボーカル、アルトサックスとフルート、それにベース、ドラムという4人組。
旧A面が小曲で、B面が大作という構成。
初期クリムゾンの香りが強く、グレッグ・レイクのような声質のボーカルや、イアン・マクドナルドが吹いているようなサックス、ジャイルスのようにドタバタと手数の多くジャズ調のドラムにニヤリとさせられる。ただゴリゴリとしながらよく走るベースや、メロディアスな曲を軽やかに歌う面を見せるボーカルとコーラスなどに個性を感じるし、ドラムに関してはジャイルズのドラムが高速になったような切れ味で相当の腕前だ。
前半の小曲もそれぞれによく、4曲目などは実験的な色さえ見せるが、やはり大作「MOVIN'ON」の出来が素晴らしい。疾走感と緊張感、そして幻想と透明感、さらに狂気や破壊性といった、プログレの持つツボをすべて押さえているようだ。ただ、暗くはなく眉間にしわをよせて聞くような趣はない。が、そこがまた言いようのない不安を感じさせ、妖しい動きをするドラムやベースに感情をあおられて緊張を強いられる。
posted by ひろりん at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | その他ヨーロッパの国々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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