2015年06月12日

HOSTSONATEN / Winterthrough (2008) イタリア

ファビオ・ズファンティのソロプロジェクト、ホストソナテン。四季シリーズの第二弾となる冬。
すべての音が冬である。冷涼な空気をあらわすメロトロン、静かに降りしきる雪のような静謐なピアノの調べ、生命活動の停止した世界が淡々としたリズムで流れる。四季の移ろいは人生にも例えられるだろう。冬は「死」をあらわす。管楽器の響きはまるで鎮魂歌だ。全曲は切れ目なく繋がって、やがて温かいメロディがあらわれて季節は移ろい、春の訪れを予感させて、最後は前作の「春」のメロディで締める。完璧。
一聴して他の季節よりも地味だけど、個人的には冬がいちばん好み。起伏があまりないので、逆にメロディがぐっとひきたつ。マッテオ・ナウムの泣きのギターや、名曲6のサックスの響きが心にしみわたる。
聴いているだけで冬の光景が脳裏に浮かび上がる傑作だ。

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2015年06月09日

HOSTSONATEN / SPRINGSONG (2002) イタリア

現代プログレシーンを代表するファビオ・ズファンティのソロプロジェクトで、バンド形態をとらずに叙情派シンフォを自分のやりたいようにやるという趣旨のホストソナテン。その代表作ともいえる四季シリーズのスタートを飾る「春」。2010年にベースパートの差し替えやサンプラーを本物のメロトロンに置き換えたバージョンがでている。
「四季」をテーマにした音楽はヴィヴァルディをはじめとして数多いけど、少なくともロックフィールドにおいては50年100年と聴かれ続けられるだろう名作だ。とにかく春というイメージを音を使って描ききっている。雪解けの明るい陽光、生命の息吹、たおやかな情感。キラキラとしたアコースティックギターをバックにフルートやリコーダーが、さわやかにメインテーマを奏でる。一転バイオリンの湿った情感や、ドラマチックなギターソロなど、全編にわたって一分の隙のない完成度。1〜4、9の繰り返し奏でられるメロディの流れも美しい。5の緊張感のジャズ風がギターソロに導かれて一転するところなど唸るしかない。
元々の着想は、98年に訪れたフランス・ブルターニュの美しい自然に触れたときだという。春がスピーカーからこぼれ落ちる。キャメルやジェネシスを源流とする叙情派シンフォニックの最高峰。この後、8年をかけて四季シリーズを完結。そしてそのどれもが最高レベルの出来。ズファンティ恐るべし。

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2015年06月04日

DO UT DES

UT NEW TROLLS / DO UT DES (2013) イタリア

2000年以降、権利関係で純粋なニュートロルスの名前が使えなくなり、元メンバーたちにより様々なニュートロルスが乱立しているが、これは黄金期のメンバーであるジャンニ・ベレーノとマウリツォ・サルヴィが結成したバンド。その名のとおり72年の名作「UT」期のサウンドを再現すべく結成され、2012年には日本公演も行われた。そして2013年に発表されたオリジナル新作。
クラシックとハードロックのミクスチャーである70年代の「UT」期だが、本作はいわばハードポップ。70年代から生き抜いてきたベテランといった雰囲気はあまりなくて、驚くほどフレッシュ。素直なメロディとともに、ほどよいクラシカルさをだしたアレンジと、普通によくできた曲が並ぶ。そしてプログレファンにアピールするタイトル曲6、コンチェルトグロッソを彷彿させる7など、アクセントも効いている。
ハイライトは最終10曲目。4曲目のドラマチックに盛り上がるバラードを英語に変え、客演ボーカルとして熱唱するのは、元トトのファギー・フレデリクセン。この1年後に病気で亡くなってしまうとは思えない素晴らしい歌声が胸をうつ。

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2015年06月03日

火星年代記2

SOLARIS / MARSBELI KRONIKAK 2 (2014) ハンガリー

東欧を代表するプログレバンド。84年の衝撃のデビュー作にして名作「火星年代記」のなんと続編作。6つのパートで構成される22分の組曲の他全8曲。
「火星年代記」といえば、明快なメロディとキレキレのフルートとチープなシンセが豪快に疾走するのが魅力だったけど、30年たった本作でもそうした要素が満載。機材の音はさすがに進化しているとはいえ、まさに続編といった雰囲気。ピンクフロイドのような女性スキャットや哀愁のバイオリンの旋律、泣きのギターソロが多いあたりが新しさを感じるが、ここぞとばかりにフルートが入ってくる場面では、おおっソラリス!と膝をうつ。
7つのパートに分かれた21分に及ぶ組曲(曲数は3)、その他二つの組曲を含む全8曲。当時のメンバーは二人欠けただけながら、彼らの残した音源なども使用。ゲストを含み15人ものミュージシャンが参加。まさにソラリスの集大成といった感。LP世代には馴染み深い45分くらいの収録時間もちょうどよい。
原作はレイ・ブラッドベリの「火星年代記」。地球人と火星人の対立、地球の核戦争と火星植民といったSFテーマが脳裏に鮮やかに蘇る。7曲目のタイトルは「私たちはあり得ない宇宙に生まれたあり得ない存在である」とのブラッドベリの言葉の引用。悠久の浪漫と文明批判の現実。SFドラマチックシンフォの最高峰だ。



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2015年05月24日

ギンガロー

SZALOKI AGI / Gingallo (2009) ハンガリー

本日、初の来日公演が一夜限りで行われているサローキ・アーギ。見に行けなくて寂しいんで、本日も鑑賞中。「子供のための音楽」をメインテーマにした2009年発表の5作目。
まず驚くのがサローキの声。前作が成熟した大人の歌唱だったのに対してまるで少女のような歌声。同じ人かなと疑うほどのギャップだけど、正確な音程や伸びやかなヴィブラートなど美声であることは隠しようもない。
曲調は、ジャズの要素は希薄で、ポップスやフォークやサンバなど多彩なジャンルが渾然としている。ただ「子供のため」というテーマのため、明るくて軽快な曲が多くて、深く考え込まずに聴きとばせる。そしてあっという間に聞き終わってしまうのだ。
1曲目に「ニッポン」や「ヨコハマ」っていう言葉が出てくるのが日本人として嬉しい。後半の20分に及ぶ男性俳優による朗読劇は、言葉がわからなくて退屈でいつも飛ばしちゃうのは許して。
2010年の最優秀子供向け?アルバムらしいが子供だけでなく、大人も楽しめるサローキワールド。ハンガリーの至宝作だと思う。

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2015年05月23日

ア ヴァージュ ムジカール

SZALOKI AGI / A Vagy Muzsikal (2008) ハンガリー

サローキ・アーギの4枚目。2009年に新婚旅行で訪れたハンガリーで目に留まったのが本作でした。日本盤も出ていて、邦題は「想い焦がれて〜カラーディ歌集」。戦前に女優歌手として活躍したカタリン・カラーディの曲のカバー集。
色っぽいジャケット同様、アダルティなムードのジャズボーカル物。しっとりと落ち着いた歌い回しが中心ながら、土着のコブシを聴かせたかと思えば、大都会のナイトラウンジに居たりと曲ごとに違う表現力の豊かさにぐっと心を掴まれる。
演奏も悪いわけはなく特にピアノとギターの存在感が抜群。一歩間違えばムード歌謡になってしまうところが、抜群のテクニックとセンスで洗練されたジャズとして成り立っている。戦前の古き良き時代の雰囲気もあれば、緊張感のあるソロの応酬があったりと、ただただ感心。
第二次世界大戦前、ハンガリーの労働者階級として初めてスターとなったカラーディ。その後ナチスによる抑留拷問を経験し、戦後女優として復帰するも、共産主義国家として生まれ変わった国で居場所を無くして国を去った彼女の激動の人生。サローキの声を通して、様々なことを考えさせられる。

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2015年05月22日

ハッルガトー

SZALOKI AGI / Hallgato (2005) ハンガリー

サローキ・アーギ、1978年ブダペスト生まれ。ハンガリーを代表する女性ボーカリストだ。なんと5月24日に初来日するそうな!!2005年発表の2作目。
本質的にはジャズ系のボーカリストで、本作もジャズ作。ハンガリーのグラミー賞にあたるFonogramでベストジャズアルバムに輝いた名作で、ハンガリー民謡をジャズにして歌うという作品だ。
あまり僕自身ジャズを聴いてないのでよく分析できないけど、とにかく凄い。バックの演奏は、現代ハンガリーのトップクラスの実力をもつアーティストで固められているそうで、とてつもない演奏力。一音一音が驚くほどに雄弁で、それが自由自在に動き回る。間合いをはかる緊張感や空気感が尋常ないレベル。そして彼女のボーカル。淡々としているようで聞き込むことに味わい深い歌声。後年作も聴いてみたが、これがガラリと歌声が違う。わざと抑揚を押さえて、魂に直接訴えかけるような深みを感じる。
7曲目「Kinek van kinek nincs」の悲哀の旋律。歴史に翻弄されてきた小国ハンガリーの哀しみが滲む。BGMにするには躊躇われる絶品だ。

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2015年05月20日

ヤクラ

JACULA / Pre Viam (2011) イタリア

プログレ愛好家の中でも、ここまで手を出したらオシマイとおそれられつづけられてきたイタリアンプログレの最深遠ヤクラ。72年の名作「サバドの宴」以来、なんと39年ぶりの新作。
ヤクラと言えば、暗黒世界を織りなすパイプオルガンと女性の呪文が強烈なインパクトだったが、本作はギターを中心として随分とソフィスティケイトされた雰囲気。それに恐怖のうめき声や死体を貪る獣の鳴き声のようなSEが散りばめられて、ヤクラの世界を再現している感じ。そこの強引さがB級ホラー映画のようにも聞こえてどこか微笑ましい。
「サバドの宴」でもそうだったが、美しいメロディにドキッとさせられる瞬間が随所にある。不気味さと同時進行する美。死や黒魔術といった要素があるからこそ、美しい部分がよりひきたつ。ここの法則こそがヤクラ最大の魅力なんだと思う。
1曲目のタイトルはずばり「JACULA IS BACK」。リアルタイムでヤクラの新作が聞けるとは思いも寄らなかった。ひょっとして来日とかする日が来るのかもしれない。恐ろしいことだ。

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2015年05月18日

漆黒の森

AGENTS OF MERCY / Black Forest (2011) スウェーデン

ロイネ・ストルトのソロプロジェクト3作目。2作目と同じメンバー。日常にひそむ事象を漆黒の森になぞらえたコンセプトアルバムとのこと。
ジェネシスやイエスよりは、ブラックサバスやツェッペリン寄りとは本人たちの弁。ほんわかとした優しさが漂っていた前作までの作風がダークでずっしりとしたシリアスな肌さわりのものになっている。しかし根底にあるドラマチックな展開やシンフォニックな体裁は保たれていて、とてもよく作り込まれている感がある。どこか散漫な所があった前作と違って、全体をコンセプトで覆い細部まで隙のない展開を見せる。出来では、まちがいなく本作が最高傑作だ。
ドラマチックに展開する1や、ロイネの哀愁のギターソロが堪能できる8や、どの曲もいいが4の「Elegy」。まるでジェネシスのブロードウェイの「ラミア」みたいな、幻想メランコリック曲。「ラミア」のハケットのギターソロと同様、僕の心をとらえてはなさない魔力がある。
この後、ロイネはフラワーキングスを再始動させて素晴らしい復活作品を作り、ネッド・シルヴァンはハケットに呼ばれてピーガブ役でジェネシス・リヴィジテッドに参加。しばらく再始動はないと思うけど、またいつか復活してほしい。千両役者揃いのフラワーキングスよりは、ロイネ・ストルトが目立ってるしね。

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2015年05月16日

ドラマラーマ

AGENTS OF MERCY / Doramarama (2010) スウェーデン

ロイネ・ストルトのソロプロジェクト2作目。前作では流動的だったメンバーを固定。ナッド・シルヴァン、ヨナス・レインゴールドの他、キーボードはラレ・ラーション、ドラムはヴァレ・ヴァールグラン。このメンバーでライブツアーや3作目も作られた。
まるでロイネの94年ソロ「フラワーキング」がフラワーキングスに繋がったように、同じ道を辿っている。メンバーを固定して、各メンバーにイニシアチブを均等に与え、それが曲に反映されてバンドの個性に繋がる。フラワーキングス同様ロイネ色は強いが、ラレ・レーションの奇妙なフレーズが爆発する4や、ナッド・シルヴァンが作曲した6〜9曲目の軽快なメロディ曲など、ロイネでは出てこない個性がいいアクセントであり素晴らしい。
ファーストに比べると、英国のジェネシスぽさは後退。70年代懐古趣味は相変わらずだが無国籍ともいえるゴッタ煮サウンド。まさに小劇場で様々なドラマを見せられているようだ。

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2015年05月15日

マーシー

AGENTS OF MERCY / The Fading Ghosts Of Twilight (2009) スウェーデン

2007年に一時活動を休止したフラワーキングス。当然休むことなどない仕事中毒人間ロイネ・ストルトのソロプロジェクト。当初はパーマネントなグループとしてやっていく気はなかったようで、ヨナス・レインゴールドやソルタン・チョースのフラワーキングスの面々や、パット・マステロットなどが曲ごとに参加している。
本作の目玉は、UNIFAUNなるグループにいたボーカルのナッド・シルヴァン。なんとまあピーター・ガブリエルの声にそっくり。そしてジェネシスが元々大好きなロイネ。とくれば、曲調はもちろんジェネシス。まるで、ピーガブが脱退してなかったらこんなのができたんじゃないか、と思わせる楽曲ばかりだ。
ドラマの始まりを感じさせる1から、軽快なアコースティック曲を挟み、7・10といった作り込まれた大作。そしてハイライトは4「Heroes & Beacons」。哀愁の旋律をしったりと歌い上げるボーカル。そして途中のキーボードソロ、最後のギターソロと味わい深い絶品。耳の居心地がいいのなんのって。こんな曲ばかり追い求めているんだなあ。自分は。
シアトリカルなボーカル、ハケットのようなギター、よくまわるベースライン、バンクスのようなキメの細かいキーボードワーク。それにややフラワーキングスの、特に初期の頃のような瑞々しいシンフォ色が散りばめられている。ある意味僕にとって理想的な音。次回作は固定メンバーになってロイネ色は薄れていくことを考えると、やっぱりロイネ・ストルトの本質が好きなんだなと改めて実感。

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2015年05月12日

アリエナトゥーラ

IL TEMPIO DELLE CLESSIDRE / Alienatura (2013) イタリア

1stで参加していたガリフィは、なんと本家ムゼオ復活のため脱退。代わりに、似たような野太い声質のボーカリストが加入したイル・テンピオ・デッレ・クレシドレの2ndアルバム。
「あ、風が吹いてきた。風は何でも運んでってしまうんですね。」という日本語のナレーションではじまる「KAZE」で幕を開けるオープニング。日本のアニメが大好きなエリーザらしい面が微笑ましいが、ギターがうなりを始めれば、前作の延長線上の安心して聴いていられるヘビーシンフォ。新加入のボーカルも存在感たっぷりだ。
全体としてギターの成長というか存在感が増している。ダークな重厚感とリリカルな叙情、そしてそれに絡むドラマチックなキーボード群。ムゼオという呪縛がやや薄れた分だけ、フレッシュさを感じる。そして小悪魔的なボーカルを披露するエリーザ嬢もいいアクセントになっている。
ガリフィの脱退をものともしない1stに劣らない傑作。エリーザ嬢はメイキャップアーティストとしての顔があるなど多才多忙な人だけど、3ndアルバムも期待しています。

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砂時計の宮殿

IL TEMPIO DELLE CLESSIDRE / Same (2010) イタリア

現代イタリアのヘビーシンフォニックバンドの1stアルバム。
イタリアンプログレの最盛期に驚愕の名作「ツァラトゥストラ」1枚を残して歴史に消えた伝説的な名バンド、ムゼオ・ローゼンバッハ。彼らの音楽を敬愛するエリーザ・モンタルド嬢が、「ツァラトゥストラ」の世界を再現すべく当時のボーカリスト、ステファーノ・ルポ・ガリフィを引きずり出して2006年に結成したのがこのバンド。バンド名は訳すと「砂時計の宮殿」で、「ツァラトゥストラ」の収録曲から引用されている。すべての曲は、エリーザとベーシストのFabio Gremoによって書かれている。
このバンドはムゼオを愛するエリーザ嬢の情熱がいちばんの魅力だ。ハモンドやメロトロンをはじめビンテージ感溢れる多彩なキーボードを駆使して、幻の彼方の世界を現代に蘇らせている。いかにも70年代なドタバタした豪快なドラム、よく走り存在感たっぷりのベース、繊細さと剛胆さのギターとすべてにエリーザの情熱を叶えるべく最良の仕事をしている。そして仕上げは、本家本元のガリフィの力強く精神性の宿った声が入って完璧。結成から4年余り、曲を練り上げてアレンジにも細心の注意を払ったんだろうことが伺える。
70年代のイタリアンロックのもつ哀愁とドラマチックなシンフォニックロックのすべてを現代に再現させた傑作。今となっては本家ムゼオが復活しているので、なんとなく影がうすくなっているけど、素晴らしい作品であることは変わりがない。

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2015年05月10日

どこの音楽をしました

DODI BATTAGLIA & TOMMY EMMANUEL / Dov'e Andata La Musica (2015) イタリア

イタリアの国民的ロックバンド、イ・プーのギター職人ドディ・バッタリアの12年ぶりソロ3作目。バンド活動休止中にロビー、レッドに続き最後にやっぱりこの人もだすんだね。4曲のインストを含む全12曲。「アコギの神様」の称号をもつオーストラリアのスーパーギターリスト、トミー・エマニュエルとの連名作。
なんといってもフィンガーピッキングの達人が絡むインスト曲がかっこいい。冒頭1「Mediterranean girl」のむせび泣くドディのギターと超絶アコギの哀愁の旋律の掛け合いの格好良さと言ったら!トミー作の5「The Journey」のゾクゾクするようなフレージング、10「Louis and Clark」の流れるようにキラキラと輝くアコギの旋律、ドラマチックなシンフォニック12「Vale」と、素晴らしい。
そして忘れちゃいけない歌モノ。シングルカットされた2「Grazi」、プーの作品にあっても違和感のない6「Tu resti qui」、オーディション番組出身の若手女性歌手Beatrice Ferrantinoとのデュエット曲があったりとバラエティに富んでいながらどの曲もいい。
ギターリストのソロアルバムって割とつまらないものが多いんだけど、いやはやドディさん参りました。傑作でしょう。
それにしても、プーの3人が3人とも素晴らしいソロアルバムを1年間の間に出してくれてなんと幸せなことか。来年の結成50周年に期待が膨らみます。

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本能と星

RED CANZIAN / L'istinto e le stelle (2014) イタリア

イタリアの国民的ロックバンド、イ・プーのベーシスト兼ビジュアル担当。ロビーにつづきイ・プーの活動休止中に発表された28年ぶりとなるソロ2作目。ジャケットはさすがは元ビジュアル担当、様々な技法を使ってかっこいい。左手で頬をおさえると小顔に見えるんだね。
発表は2014年9月30日。全12曲。アレンジは、義理の息子フィル・メール。
プーの作品の中でもレッドの作る曲はメロディが素直な曲が多いけど、同じ傾向の曲がならぶ。アレンジも含め、後期ビートルズ〜ポールのソロあたりと似た古き良きブリティッシュロックの香り。冒頭曲はまるでジョージ・マーティンが関わっているようだ。
楽曲は粒揃い。2000年以降レッドの作る曲はどれも素晴らしくて、プーの重要な個性になっているけど、その充実ぶりが継続。軽快な曲、しっとりとした曲、プーに入っていても違和感のない曲とどれもいい。最終曲はお得意のフレットレスベースが活躍するしっとりしたインスト曲で締める。

傑作。ソロアーティストとして自信に満ちている。

強引翻訳

本能と星


1沈黙の賞賛
2あなたがそこにいる
3私はあなたに実行
4無限
5どのような問題が発生した
6一瞬
7毎日あなたが愛する別の日です
8容赦なく
9すべてのライト
10星から1ステップ
11ボクサー
12秋のソナタ
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2015年05月08日

しかし、私の人生

ROBY FACCHINETTI / Ma che vita la mia (2014) イタリア

イタリアの国民的ロックバンド、イ・プーの絶対的フロントマン、ロビー・ファッキネッティの最新ソロアルバム。
2016年のプー結成50周年に備えてバンドとしての2年間の活動休止を発表。メンバーは皆60を超えて、ロビーも70。さすがにゆっくり休憩したいんだろうと思いきや、元気の有り余るワーカホリックじいさんたち、それぞれにソロアルバムを発表。さらにはそれぞれプロモーションやライブツアーにと精力的すぎ。止まっていると死んじゃう人たちなんでしょう。その先陣をきって、ロビー20年ぶり3作目のソロアルバム。
冒頭とラストのインスト曲を含む全10曲。本作はなんといっても2013年1月に亡くなった、今までのプーのほとんどの曲で詩を書いてきたヴァレリオ・ネグリーニとの最後の共作となったこと。1曲目のドラマチックなインスト曲。まるで「早く歌詞をつけてよ」と言っているようで胸をうつ。
収録曲はどれもいい。軽快な2、ロビー節の3・6、ドラマチックな9とどの曲も粒揃い。そしてどの曲も艶っぽいロビーのボーカルが満載。70近いのに衰えるどころか表現力が増しているような気もする。おそるべきジジイ。
近年のプーの作品と同様、つけいる隙のない傑作。ただ「ひとりプー」状態になっていないのは、様々な音色のキーボード比重の高さとバラード系の曲の多さ、そして何より他の二人の不在だろうか。結果として、早くプーの新作が聴きたいなぁ。

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2015年05月07日

マルタの女

MARTA / THE BEST (2009) ウクライナ

1986年生まれ。ウクライナ西部のチェルニウツィー出身のポップスシンガー。2004年にデビューして現在までにおそらく4枚のアルバムがある。これは2009年に出たベスト盤で、20曲とPV13曲のDVD付き。
まずこの人は何といっても見た目がエロい。他のジャケットではスケスケだし、ビデオクリップも色気が満載だ。が、ビジュアルだけではない実力派なギャップが一番の魅力だ。
ほとんどの曲は彼女の作詞作曲で、ウクライナ〜ロシアらしいちょっと懐かしいセンチメンタルなメロディが満載。アップテンポなダンスポップ、激しいロック調、哀愁のバラードとさまざまな曲調ながら、必ずサビでやられてしまう。肌の露出とは裏腹に、保守的ともいえる王道ポップス路線だ。
声質はやや鼻がかった低音で、打ち込みのダンサンブルな曲だろうが、ロック調のバンド的な曲だろうが、難なく歌いこなす。申し分のない歌唱力と作曲能力。実力はありながら、過激な露出を全面にださざるを得ないこの音楽業界の厳しさをひしひしと感じる。潰されないでがんばってほしい。

こんなにエロくピアノを弾く人をはじめてみました。



ルックスも一級品 

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2015年05月06日

訃報

元ルネッサンスのジョン・タウトが5月1日に亡くなったそうだ。

ルネッサンスの全盛期、「PROLOGUE」から「AZURE D'OR」までの7作品に参加。
天使の歌声のアニー・ハスラム、リーダーとして曲をコントロールするマイケル・ダンフォード、そしてエレガントかつクラシカルなキーボードワークのジョン・タウトの3人こそがルネッサンスの根幹だった。野暮ったいキャメルやムーディーブルースには無い優雅さや気品の重要なピースはジョン・タウトの旋律であり、彼なくして「燃ゆる灰」や「シェヘラザード」、「ノヴェラ」という名作はあり得なかった。
ダンフォードが2012年に脳出血で突然亡くなり、そして今度はジョン・タウトが肺不全で逝った。
合掌。
これからも聴き続けます。


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2015年05月04日

オリンピア

BRYAN FERRY / OLYMPIA (2010)

フェリーさん2010年作。
純粋なスタジオアルバムとしては「フランティック」以来8年ぶりの13作目。マンザネラ、イーノ、マッケイの3人が、ロキシーの「フォー・ユア・プレジャー」以来37年ぶりの共演でも話題。その他、デヴィッド・ギルモア、ジョニー・グリーンウッド、フレアなど豪華ゲスト。ドラマーとして息子タラ・フェリーのクレジットもある。オリジナル8曲に、ティム・バックリーとトラフィックのカバーを含む全10曲。
最初聴いたときの印象は「フェリーが帰ってきた!」だ。2007年のディランのカバー集が聞き手置き去りな自己満足の作品だとするなら、本作は「ボーイズ&ガールズ」以降のいわゆるフェリー節が全開。著名な敏腕ミュージシャンを侍らせ、抑揚のない楽曲を自己主張を許さずに彩らせる。声量のないボーカルを逆手にとった枯れた色気を醸す。いつもながらの傑作。誰にもマネできない偉大なるマンネリ。これからもずっとこんな作品を作り続けてくれるだろうという信頼すら感じるところだ。
冒頭のイントロを「アヴァロン」から拝借していたり、ジャケットにスーパーモデルのケイト・モスを起用(モネのオリンピアをモチーフにしてるそう)していたりとロキシー時代からのファン心もくすぐってくれる。
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2015年05月03日

アヴァンモア

BRYAN FERRY / AVONMORE (2014)

フェリーさんの最新作。
ジョニー・マー、ナイル・ロジャース、マーカス・ミラーがフル参加。フリー、ロニー・スペクター、マーク・ノップラー、メイシオ・パーカー(サックス)、トッド・テリエ(ノルウェイのプロデューサー)なども参加。プロデュースは、ロキシー時代からのお馴染みレット・デイヴィス。
オリジナル8曲に、スティーヴン・ソイドハイム「悲しみのクラウン」とロバート・パーマーの「ジョニー&マリー」のカバーを含む全10曲。
ジャズ物やディランカバー集をのぞけば、80年代からお馴染みのフェリーの音。著名ミュージシャンを贅沢に起用配置しながらも、すべてフェリー色に染まる楽曲群。肩の力がまったく入ってないボーカルと、それを逆手に取るメロディ、タイトなリズム、一方緻密に構築されてオーバーダブの重ねられたアレンジと、ぜーんぶいつもと一緒。今更変えられても困るし、誰も期待していないんだが。
ワインにたとえれば、複数のぶどうをブレンドするボルドーの赤ワイン。しかし熟成していない芳醇さ。ここの感覚が、69歳ながら現役バリバリの色気だろう。
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